English

プログラム(敬称略)



美甘レクチャー(日本心臓財団美甘基金)

英 語

3月27日(土)8:00-9:00

座長: 平田 健一  神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野

演者: Eric Olson  UT Southwestern Medical Center, USA

真下記念講演

日本語

3月26日(金)14:00-15:00

座長: 斎藤 能彦 奈良県立医科大学 循環器内科

演者: 本庶 佑  京都大学高等研究院

WCC Special Lecture

日本語

3月26日(金)15:05-16:05

座長: 小川 久雄  国立循環器病研究センター

演者: 山中 伸弥  京都大学iPS細胞研究所

会長講演

日本語

3月27日(土)13:50-14:30

循環器病医学の今日と未来

座長: 中尾 一和  京都大学メディカルイノベーションセンター

演者: 斎藤 能彦  奈良県立医科大学 循環器内科

MIRAI

MIRAI 1 リアルワールド・データの活用の未来

座長: 永井 良三  自治医科大学
今村 知明  奈良県立医科大学 公衆衛生学講座

演者: 永井 良三  自治医科大学
黒田 知宏  京都大学大学院 医療情報学
大江 和彦  東京大学大学院 医療情報学分野
今村 知明  奈良県立医科大学 公衆衛生学講座



MIRAI 2 我が国におけるAIホスピタル構想

座長: 中村 祐輔  内閣府SIP AIホスピタルによる高度診断・治療システム プログラムディレクター
陣崎 雅弘  慶應義塾大学 放射線科

演者: 中村 祐輔  内閣府SIP AIホスピタルによる高度診断・治療システム プログラムディレクター
陣崎 雅弘  慶應義塾大学 放射線科
村垣 善浩  東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
小林 英司  慶應義塾大学 臓器再生医学寄附講座



MIRAI 3 循環器画像診断におけるAI活用の最前線

座長: 佐田 政隆  徳島大学大学院
陣崎 雅弘  慶應義塾大学 放射線科

演者: 楠瀬 賢也  徳島大学病院 循環器内科
高橋  愛  千葉大学 循環病態医科学
藤井 健一  関西医科大学 第二内科
浅海 泰栄  国立循環器病研究センター 心臓血管内科



MIRAI 4 循環器医療へのAIの応用

座長: 吉村 道博  東京慈恵会医科大学 内科学講座 循環器内科

演者: 三宅  淳  大阪大学大学院 工学研究科



MIRAI 5 これからの健康長寿を支える社会について

座長: 斎藤 能彦  奈良県立医科大学 循環器内科

演者: 荒井 正吾  奈良県知事



MIRAI 6 未来の医療前支援(予防)、医療後支援(リハビリ、介護)

座長: 筒井 裕之  九州大学大学院
吉野 正則  日立製作所

演者: 山海 嘉之  筑波大学 システム情報系
多田 荘一郎  GEヘルスケア
中山 譲治  日本製薬工業協会
吉野 正則  日立製作所

プレナリーセッション

日本語

01. Big Dataによる新たなevidence

座長: 宮本 恵宏  国立循環器病研究センター
康永 秀生  東京大学 公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学

座長の言葉

ビッグデータは、AIやBIを通じて、すでに社会の様々な分野で活用されているが、医学分野においてもビッグデータを活用する環境が構築されている。医療分野では、診療レセプト、DPC、特定健診・特定保健指導、電子カルテに入力された診療情報から2次的に作成されるビッグデータが、医療の質改善や医療費適正化といった医療政策や診療におけるサポートツール、発症・重症化予防などに活用される期待が持たれている。また、疾患登録(レジストリ)にも悉皆性が高くビッグデータとして活用することができる条件を備えたものがある。それらは、医療の現状の把握、医療の質の向上のための研究に加え、精度の高いデータベースの構築を目指すことで、治験、臨床研究への患者リクルート、医薬品等の開発での使用、市販後調査などにもその活用が注目されている。本プレナリーセッションでは、日本循環器学会のデータベース事業であるJ-ROADや心臓外科手術データベースであるJCVSDなどの我が国を代表する医療データベースを読み解くことで得られたエビデンスやデータベースの活用事例を紹介していただくとともに、これからの循環器疾患のデータベース事業のあり方を提案していただきたい。

日本語

02. 大動脈解離の新しい知見

座長: 荻野 均  東京医科大学 心臓血管外科
吉野 秀朗  医療法人財団慈生会 野村病院 杏林大学 医学部 循環器内科

座長の言葉

大動脈解離(AD)は突然に発症し、かつ致死率の高い重篤な急性循環器疾患の一つである。特に、急性ADにおいては、患者救命のため、円滑な患者搬送・収容、迅速な診断、適切な治療の重要性が叫ばれているが、ADの発症メカ二ズムを含め診療実態において未だ不明な点が多い。一つの解析策として、欧米の主要施設を中心に国際レジストリ(IRAD)が組織され、この20年、多くの知見が報告されてきたが、AD発症頻度の差をはじめ、本邦の実情とは異なる部分も多く、IRADの報告をそのまま本邦の診療に適合させるわけにはいかない。一方、本邦においても急性ADの全国規模レジストリ(JRAD)や東京都のレジストリが存在し複数の報告がなされているが、急性・慢性ADに特化した全国レベルの実情に迫る調査・研究が必要である。他方、急性ADに対する診療において、発症機転につながる画像(血流)解析や血管内視鏡所見が明らかとなりつつあり、治療においても、B型解離に対する大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を中心とする血管内治療の進歩により治療選択の幅も広がってきている。慢性ADに対しては、B型だけではなく、A型の残存解離に対するTEVARの適応も増加傾向にある。本セッションでは、急性・慢性ADを対象に、発症機転、画像診断、急性期・慢性期治療などの新たな知見について、さらなる診療レベルの改善をめざし議論したい。

英 語

03. 特殊大動脈疾患の診断と治療の最前線

座長: 磯部 光章  榊原記念病院
Eric Isselbacher  Cardiology Division, Massachusetts General Hospital, USA

座長の言葉

大動脈には頻度の高い解離や動脈瘤の他にも様々な疾患が発生する。血管炎として循環器領域で遭遇し問題となるのは高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、ベーチェット病などである。最近本邦から発信されたIgG4関連疾患も血管炎を発症し、着目されている。これらの疾患は循環器内科や心臓血管外科で診療する機会が少なくない。いずれも診断面では特異的なバイオマーカーが存在していないことから、臨床所見と非特異的な炎症マーカーと画像診断に頼らざるを得ないのが現状である。画像診断は大きく進歩しており、大型血管炎ではFDG-PETの有用性が認識され普及しているが、課題も多い。治療面では従来の免疫抑制剤に加えて、トシリズマブはじめ様々な免疫抑制剤の有効性が示されている。血管狭窄・拡大や大動脈閉鎖不全の治療においては血管内治療の可否、手術の時期なども未解決の課題である。また遺伝性大動脈疾患であるMarfan症候群は近年遺伝子解析が進み、様々な類縁疾患が報告されている。このように病態解明、診断、治療面で様々な課題があり、今後の研究が待たれる疾患群である。本セッションでは広く関連の基礎研究、診断・治療面での最新情報と研究成果を持ち寄り総合的な討議を行いたい。

英 語

04. 慢性心不全の新しい治療薬

座長: 筒井 裕之  九州大学 循環器内科学
John McMurray  BHF Cardiovascular Research, University of Glasgow, UK

座長の言葉

病態の解明と大規模臨床試験に基づくエビデンスをふまえて、心不全の薬物治療は従来の利尿薬と強心薬を中心とした治療から、神経体液性因子の活性化を抑制する治療へと大きく進歩してきた。左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)に対してはACE阻害薬・アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)などのRAA系抑制薬やβ遮断薬が推奨される。一方、左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)に対してはうっ血の改善を目的とした利尿薬の投与と心不全増悪に結びつく併存症に対する治療を行う。

薬物治療の進歩にもかかわらず心不全患者の予後は依然として不良であり、より有効な治療薬の開発が進められている。HFrEFに対してIfチャネル阻害薬イバブラジンとアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)サクビトリルバルサルタンの予後改善効果が証明され、わが国でも使用されている。さらに、DAPA-HF試験で糖尿病治療薬であるSGLT-2阻害薬ダパグリフロジン、VICTORIA試験で可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬vericiguatのHFrEFにおける予後改善も証明された。心筋ミオシン活性化薬omecamtiv mecarbilのGALACTIC-HF試験も進行中である。

近年、従来の標準治療からの変更もしくは上乗せにより更なる有用性を示す心不全治療薬が次々と報告されている。本プレナリーセッションでは、幅広い立場から慢性心不全の新たな治療薬に関する最新の研究成果を発表いただき、心不全治療の現状と将来を展望したい。

英 語

05. 心筋症に対するゲノム医療からのアプローチ

座長: 井手 友美  九州大学大学院 医学研究院 循環器内科学
Christine Seidman  Cardiovascular Medicine and Genetics, Brigham and Women's Hospital and Harvard Medical School, USA

座長の言葉

近年、遺伝子解析技術の進歩により、遺伝性心筋症の原因遺伝子が次々と同定されてきている。これまでの古典的な遺伝子変異を検出することによる直接的な機能異常との関連だけでなく、遺伝的背景の違いによる発症のしやすさが変わる、あるいは、予後や薬物療法への応答性が異なるなど、より複雑にその病態に関わっていることが明らかとなり、詳細なゲノム診断によって、さらに個別化された治療へのアプローチが提案できる可能性がでてきた。

今後、様々な心筋症の診断と治療において、詳細なゲノム変異、あるいは関連した蛋白やmRNAの変化と病態における役割が明らかになることで、具体的なprecision medicineが可能となってくるであろう。

さらに、近年のゲノム編集技術の現状とそれらの技術を用いたゲノム修復の試みも取り組みがすすんでいる。また、iPSをはじめとする、様々な幹細胞からの分化誘導技術が報告され、難治性心筋症の分子基盤に介入する研究も大幅に進捗している。文字通り心筋再生がその技術的進歩とともに加速され、現実味を帯びてきた。

肥大型心筋症、拡張型心筋症だけでなく、様々な遺伝的背景が関連した二次性心筋症を含めて、その最新の解析技術、治療応用への可能性、臨床へのフィードバックをふまえ、今後、心筋症におけるゲノム医療を現実的にすすめる時代における課題と展望について、基礎、臨床問わず幅広く議論できるシンポジウムとしたい。

英 語

06. 心不全で多臓器を見る意義

座長: 猪又 孝元  北里大学 北里研究所病院 循環器内科
Rudolf Allert DeBoer  Cardiology, University Medical Center Groningen, Netherlands

座長の言葉

心不全とは、何らかの原因で生じた心ポンプ異常により低灌流やうっ血が生じ、各臓器が障害される状態と定義されます。そもそも心不全とは、心臓が決める状態ではなく、心臓以外の臓器により判断される病態とも言い換えられるわけです。しかし、心不全における臓器連関の見識は、臨床現場に十分生かし切れていません。その背景として、心不全における各臓器への影響を可視化する臨床指標が乏しかったことがあげられます。

このセッションでは、心不全における脳、肝臓、腎、腸管、筋肉など各臓器の臨床指標の意義につき、画像評価を中心に議論したいと思います。

日本語

07. 循環器画像診断におけるAI活用の最前線

座長: 佐田 政隆  徳島大学大学院 医歯薬学研究部 循環器内科学分野
陣崎 雅弘  慶應義塾大学 医学部 放射線科学教室

座長の言葉

医療画像分野において、人工知能(AI)による効率的な画像再構成・患者のトリアージ・臨床判断の支援など、多くの応用が試みられている。循環器領域では、CT・MRI・核医学・カテーテル検査心エコー図検査など適応の幅は広く、うまく活用すれば有用なツールになるであろう。一方で、教師データを作成するにあたり患者データを使う際の法的な問題(要配慮個人情報)、ビッグデータで学習させた場合に学習データに適合しすぎて、異なるデータでは正解率が低くなってしまう過学習の問題、深層学習自体が解析結果の根拠がブラックボックスになってしまうこと、現場のワークフローへうまく組み込むことの課題、医薬品医療機器等法では再学習した場合に再認可が必要となることなど多くの障壁があり、実臨床の現場で活用されているものはわずかである。

本シンポジウムでは、循環器画像診断におけるAIの医療画像分野への応用の最新状況を学び、また克服すべき今後の課題について議論したい。

英 語

08.

弁膜症に対する新しい治療戦略
カテーテルインターベンションvs低侵襲外科手術

座長: 澤 芳樹  大阪大学 心臓血管外科学
Joseph Woo  Department of Cardiothoracic Surgery, Stanford University School of Medicine, USA

座長の言葉

我が国では社会の高齢化とともに大動脈弁狭窄症が増加を続けており、これに伴って高齢患者に対する大動脈弁置換施行件数も増加を続けている。しかしながら高齢患者が多いこともあり、大動脈弁狭窄症としては手術適応であるものの併存疾患やfrailtyなどのために手術リスクが高いと判断され開心術が見送られてしまう例も少なくなかった。このような手術リスクの高い患者を対象とする低侵襲治療として経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)が我が国でも保険償還され,認定施設において実施されている。既にPARTNERIII試験では、Low RiskのAS症例における、AVRに対するTAVRのRCTによる比較試験も行われ、その結果によって今後のAS治療に対するパラダイムシフトが予想される。一方、高リスクの僧帽弁閉鎖不全症例に対する非侵襲的治療としてMitraClip®が承認され、我が国でも保険診療が開始され、一方TMVRやNeochordの臨床試験も始まっている。一方、外科治療もMICS手術やロボット手術そしてSutureless Valveが保険適用され、低侵襲化が進んでいる。本セッションでは、このような弁膜症に対する経カテーテル低侵襲的治療法について、外科治療と比較しながらその安全性や有用性、医療経済の面から最新の外科治療との比較からも議論し、次世代治療法の確立の一助となればと考える

英 語

09. 腎デナベーション Up-to-Date:基礎と臨床エビデンス

座長: 苅尾 七臣  自治医科大学 循環器内科学
Felix Mahfoud  Innere Medizin III, Saarland University Medical Center, Germany

座長の言葉

循環器疾患の発症と重症化抑制を目指し、循環調節システムを修飾する新規イノベーション治療である腎デナベーションに注目が集まっている。腎臓は循環体液量の主要調節臓器で、高血圧や心不全の病態に直結するが、本治療は脳と腎臓の臓器連関経路である腎交感神経を部分的に遮断する。デナベーション手技としては、主に高周波アブレーション、超音波アブレーション、アルコールを用いたケミカルアブレーションがあり、いずれも腎動脈内腔より経カテーテルで除神経する。近年発表されたシャム手技群を設けた無作為比較試験(SPYRAL HTN-OFF MED/ON MED試験、RADIANCE-HTN試験)では、腎デナベーションにより夜間・早朝を含めた24時間にわたる明確な降圧効果が示され、コントロール不良の高血圧管理、さらにその先にある不整脈や心不全などの発症や重症化予防に期待が高まっている。一方、基礎研究として中枢神経を含む正確な降圧機序や循環血液量、代謝、さらに炎症免疫系への多面的効果、臨床的研究としてはレスポンダーの同定、治療効果の評価、除神経手技の技術革新新、SGLT2阻害やARNIなど新規循環器系薬剤を含めた薬剤との相互作用など、まだまだ未解決な課題が山積している。これらの解決のためには、基礎と臨床のトランスレーショナルリサーチが重要となる。 本プレナリーセッションでは、臨床導入が真近に迫った腎デナベーションをめぐる基礎と臨床の最新エビデンスを総括し、今後の展望を図りたい。

英 語

10. 糖尿病と心腎連関を考える

座長: 室原 豊明  名古屋大学 循環器内科
John McMurray  BHF Cardiovascular Research, University of Glasgow, UK

座長の言葉

2型糖尿病患者は世界的にも、日本でも増大している。日本では700万人を上回る人が2型糖尿病と診断され、2030年までに約900万人に達すると予測されている。2型糖尿病は大血管・細小血管合併症を伴う慢性の進行性疾患であり、患者の生活の質(quality of life:QoL)に悪影響を及ぼし、さらに心血管死のリスクを高める。2型糖尿病が心血管系に及ぼす悪影響の機序としては、直接的な血管内皮機能障害に基づく動脈硬化性疾患の増強、毛細血管障害に伴う腎症、神経症、網膜症などがまず挙げられる。さらに近年では、心筋細胞への悪影響も指摘されており、これには心筋内代謝異常、ミトコンドリア機能異常、これらの結果としてのエネルギー産生異常が指摘されている。また心臓や腎臓の間質の線維化も挙げられる。また糖尿病に伴う腎症は近年DKD と言われ、腎機能の低下は体液貯留、貧血、交感神経の活性化、RAS系の活性化などを介して心臓に悪影響を与える。このセッションでは、「糖尿病と心腎連関を考える」と題し、2型糖尿病と心・腎疾患の連関について様々な角度からdiscussion を行いたい。この分野に関連する演題を募集したい。

英 語

11. 学校検診の是非を問う

座長: 三谷 義英  三重大学大学院 医学系研究科 小児科学
Jonathan Drezner  Department of Family Medicine, University of Washington, USA

座長の言葉

学校心臓検診は、その始まりからは60年以上の歴史があるとされるが、学校保健法施行規則の改定により、1995年から現在の小中高校1年生全員に心電図を含む心臓検診が開始された。その後のガイドラインの整備の後に、2016年の学校心臓検診のガイドライン(日本循環器学会、日本小児循環器学会合同)が整備された。現在の学校心臓検診の目的は、小児心疾患の早期発見と管理指導、心臓性突然死の予防が挙げられ、QT延長症候群、心筋疾患、肺動脈性肺高血圧等の個々の疾患について、その有用性が報告されてきた。しかし、本邦において心電図の判読の標準化、均てん化が課題とされる。海外でもその心臓性突然死の予防効果が注目はされているが採用されておらず、心電図判読にかかる人的リソース、費用対効果が課題とされてきた。

近年、種々の医学領域で、深層学習の応用がなされ、学校心臓検診の領域でも期待される。また、2019年12月に脳卒中循環器病対策基本法が施行され、今後は、成人病予防の観点からも学校心臓検診の役割が期待される。

以上の点から、ガイドライン整備5年後の時点での本邦の学校心臓検診の達成点を総括し、国内外の課題に対する検診心電図判読への新しい取り組み、成人病予防に対する取り組みについて、欧米の状況も含めて、最近のデータを持ち寄り検討し、今後の課題を探りたい。

英 語

12. GWAS が拓く循環器疾患の先制医療

座長: 吉田 雅幸  東京医科歯科大学 先進倫理医科学
岡田 随象  大阪大学大学院 医学系研究科 遺伝統計学

座長の言葉

次世代シークエンス技術の発展は大規模かつ網羅的なゲノム配列解読を可能にした。大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)による疾患感受性遺伝子変異の同定だけでなく、がんゲノム領域におけるパネル検査の導入など、ゲノム医療のコモディティ化を引き起こしている。コンシューマー型ゲノム検査企業の台頭やバイオバンクデータの公開など、「誰もが自分たちのゲノムを知ることができる時代」が到来した。得られた大規模ゲノム情報に基づき個人の健康寿命の延伸や疾患発症予測を行う先制医療の社会実装に期待が高まっている。循環器疾患領域においても、先制医療の精密化が必要である。GWAS結果に基づきゲノム領域全体の遺伝子変異を統合するpolygenic risk score(PRS)の導入は、集団中における疾患発症高リスク群の同定を可能にし、循環器疾患においても活用が有用と考えられている。一方、PRSに基づくリスク推定値には集団構造化の影響などバイアスが生じる点も指摘されており、臨床応用に向けた解析手法改良が進められている。GWASだけでなく、多彩なオミクス情報を活用することで、先制医療の高精度化が可能と考えられている。シングルセルシークエンスに代表されるオミクス情報取得技術の発展は、細胞組織特異的なオミクス情報を時系列的に取得することを可能にした。ポストPRS時代を見据えたオミクス情報解析ストラテジーをどのように構築すべきか、更なる検討が必要である。本シンポジウムでは、循環器疾患を中心に先制医療の今後を論じたい。

英 語

13. 加齢と炎症と免疫反応

座長: 南野 徹  順天堂大学 大学院医学研究院 循環器内科
Kenneth Walsh  School of Medicine, University of Virginia, USA

座長の言葉

動脈硬化や糖尿病、心不全など多くの心血管代謝疾患は、加齢とともにその発症が増加する。加齢に伴って惹起される慢性炎症(Inflammaging)が、心血管代謝疾患を含めた様々な加齢関連疾患の発症・進展に関与すると想定されている。例えば、動脈硬化の発症・進展には、高コレステロール血症を基盤とした血管の慢性炎症が重要であることは、スタチンを用いた多くの基礎・臨床研究で示されているが、CANTOS研究ではさらなる炎症制御を行うことで、残余リスクを低下させうることが示されている。また、肥満や加齢に伴う内臓脂肪の慢性炎症が全身性のインスリン抵抗性を惹起することで、心血管系の機能を負に制御しうることが示されている。さらに、心不全の病態においても、心筋細胞や非心筋細胞における加齢性炎症形質が、その発症・進展に関与することが示唆されている。これらの加齢性慢性炎症の機序には、クローン性血球増殖や腸内細菌叢の異常、老化細胞の蓄積、異常な免疫系の反応など、様々な病的老化形質の関与が示唆されているが、全貌は明らかでない。また、これら加齢性慢性炎症を標的とした心血管代謝疾患に対する治療法の開発も発展途上である。そこで本セッションでは、加齢性慢性炎症による心血管代謝疾患制御に関して、現状と今後の展望について議論することで、加齢によって増加する心血管代謝疾患に対する新たな治療ストラテジーの開発に繋げたい。

英 語

14. 再生医学の基礎研究 up-to-date

座長: 福田 恵一  慶應義塾大学 循環器内科
Charles Murry  Institute for Stem Cell and Regenerative Medicine, University of Washington, USA

座長の言葉

本邦における循環器領域の再生医学の基礎研究は著しく発展し、臨床応用への加速に大きな貢献をしている。ES細胞iPS細胞からの心筋細胞への分化誘導系はほぼ確立し、心室筋心房筋への選択的分化も可能になった。また、心筋細胞を試験管内で成熟化する技術も徐々に開発され、創薬への応用も期待されている。さらに様々な遺伝性心疾患に対して疾患モデルiPS細胞が作出され、病態解明や創薬ターゲットの解析に使用されるに至っている。また、再生医療の臨床応用を見据えた大動物モデルでの研究や、組織工学的手法を用いたミニ心筋組織の開発も行われている。臨床応用を見据えた大量製造法の開発や、心筋細胞の純化精製法に関する研究も大きな成果を上げている。線維芽細胞等に心筋特異的遺伝子を導入することにより、心筋様細胞を作出するダイレクトリプログラミング法に関しても技術開発が進み、作出効率も向上している。本プレナリーセッションではこれらの心筋再生医療を牽引する基盤技術の開発にフォーカスをあて、近未来の心筋再生医療の将来像を見通すことを目指す。

英 語

15. 心原性ショックの循環管理

座長: 田原 良雄  国立循環器病研究センター 心臓血管内科
Robert W. Neumar  Department of Emergency Medicine, University of Michigan, USA

座長の言葉

集中治療室に入室する患者のなかでもとりわけ心原性ショックは、その方向性を見誤ると救命困難に至ることもあり、血行動態の評価および治療法の選択など迅速な決断を要する場合も散見される。心原性ショックの死亡率は1970年代に70%を超えていたが、2010年以降は30~40%まで改善してきた。最近10年間で新しい補助循環装置も登場したが、現在の日本における心原性ショックの発生頻度と死亡率は不明である。わが国における心原性ショックの転帰を改善させるために病院前救護体制、病院収容後の救急診療、集中治療管理などの現状を把握することは重要である。本セッションの目的は、①地域での心原性ショックの発生頻度と予後予測因子、②循環器専門施設への集約化と早期治療開始の啓発、③心原性ショックの初期対応医と循環器専門医の連携および循環器専門医と集中治療専門医の連携、④急性心筋梗塞、急性心筋炎等の心原性ショックをきたす疾患ごとの病態の相違と転帰、⑤IABP、ECMO、IMPELLAなどの補助循環装置の効果と選択のタイミングおよび合併症予防(適応、導入、管理、離脱もしくはその限界)、など心原性ショックの死亡率改善の対策を講じることにある。本セッションではこの分野では先進的な施設での治療成績から最新の取り組みまでをも紹介していただき、このセッションを聴講したすべての参加者が明日からの心原性ショックの循環管理の実践に少しでもお役に立てれば幸いである。

英 語

16. 遠隔医療を含むAIの循環器診療活用への展望

座長: 西村 邦宏  国立循環器病研究センター 予防医学疫学情報部
Khung Keong Yeo  Cardiology, National Heart Centre of Singapore, Singapore

座長の言葉

近年ICTおよびAI技術の活用は、国内外の様々な医療分野において、大きな注目を集めている。

Deep Learningという革命的な学習方法が登場してから15年が経過し、CNN、Xgboostなどの手法も普及し、一般的な研究者が研究をすすめる環境が整ってきており、循環器領域においても、心エコー、冠動脈CTなどの画像、心電図を中心とした波形データ、また臨床指標による予後予測などに応用分野が広がっている。さらにゲノム・オミックス情報や生体モニングによる情報など個別化医療の現実化の取り組みも多く開始されている。臨床研究においても従来のClinical Randomized Trial(CRT)から大量のReal World DataをAI処理、活用する方向へとパラダイムの変換が進んでいる。本シンポジウムでは医療の新時代におけるこれら循環器領域のAIの活用について国内外の最新の動向を紹介し、将来の展望について議論を深めたい。

シンポジウム

英 語

1. Vulnerable plaques and vulnerable patients: Up-to-Date

座長: 上村 史朗  川崎医科大学 循環器内科
Ik-Kyung Jang  Cardiology, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, USA

座長の言葉

「不安定プラーク:vulnerable plaque」は、1989年にMullerらによって提唱された比較的古い概念で、将来の血栓形成に引き続いて急性冠症候群や心臓突然死などの心血管イベントの発症リスクを有する動脈硬化巣と定義されている。その後現在までの約30年の間に冠動脈硬化症の基礎的な病態解明が進み、同時に臨床的なエビデンスが積み重なって不安定プラークに関する理解が深まってきているが、実際の診療現場における心血管イベントの一次および二次予防にもたらせた成果は未だ不十分と思われる。

本シンポジウムでは、不安定プラークの病態と診断に関して、病理組織を含む不安定プラークの基礎医学的な最新の知見、ポジトロンエミッションCT(FDG-PET)、MRI、冠動脈CTなどの非侵襲的診断、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)などの侵襲的冠動脈イメージングによる診断の現状、さらにhigh sensitivity-CRPに代表される血液中のバイオマーカーなどについてこの分野のエキスパートから発表いただき、最新の知見を知る機会としたい。さらにこれらの発表から残された問題点を整理し、さらに精度の高い診断に基づいてどのような予防的・治療的介入を行っていくかに関して、本学術集会のメインテーマである「Next Stage」につながるような議論を行いたい。

英 語

2. 重症AMIの治療戦略

座長: 伊苅 裕二  東海大学 循環器内科
Navin Kapur  Division of Cardiology, Department of Medicine, Tufts Medical Center, USA

座長の言葉

Primary PCIはST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に対する第一選択の治療法であり、STEMIの死亡率はPrimary PCIを行うことで著しく低下する。ただし、PCI施行率が不十分であることや、心原性ショックを伴う例の死亡率が高いことなどは、まだ解決されていない問題点である。PCI施行率はPCI施設へ運ばれた症例にはほぼ全例PCIが施行されているにも関わらず、全体の施行率は72%と低いため、患者自身の覚知の問題、搬送の問題、病院アクセスの問題、循環器内科以外の医師の初動の問題などが複雑に絡む領域と考えられる。

一方、心原性ショックについては新たな治療法が待ち望まれる領域である。心原性ショック例の中には、AEDが一般に使用されるようになり、従来病院搬送前に死亡していた左主管部病変の心筋梗塞が多く病院で認められるようになってきた。左主管部病変は安定狭心症の場合には冠動脈バイパス術による再治療率が低く優れているが、左主管部病変の心原性ショックの場合にはPCIで治療するしか生存の可能性を見いだせない。さらに、左主管部病変はプラーク量が多く末梢塞栓を合併し、スローフローとなれば生存の可能性はゼロに近い。PCIの技術も通常の待機例とは異なった戦略が必要である。補助循環として従来はECMOとIABPが主流であったが、2016年に日本で保険適応となったImpellaは期待が持てる器具である。Impella+ECMOの併用は生理学的にも優れた方法であることが示され本領域の予後改善に期待される。

重症AMIの治療戦略は次世代循環器内科診療の大きな壁であり、これらを議論したい。

英 語

3. 冠動脈疾患治療におけるハートチームの重要性

座長: 中村 正人  東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
David Taggart  Cardiovascular Surgery, University of Oxford, John Radcliffe Hospital, UK

座長の言葉

冠動脈疾患に対する多くのエビデンスが毎年蓄積され、これらを反映したガイドラインでは多くの推奨事項が記されているが、ガイドラインを適用可能な症例は限定的であることが知られている。超高齢社会を背景として弁膜症や低心機能、腎機能障害、全身血管病などの併存疾患の問題に加え、社会的、精神心理的な脆弱性も検討されるべきである。また、そこには患者・家族の希望も大きな役割を担う。従って、単に内科、外科の議論にとどまらない多職種による議論が必要になっている。加えて、本邦においては、心臓外科を開設していないPCI施行施設が少なくなく、地域におけるハートチームの形成,実践が望まれている。そこで、各施設の工夫、様々な形の運用、課題などを発表いただき、ハートチームのさらなる発展へつなげたい。

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4. 粥状動脈硬化リスクの至適管理の最前線

座長: 山下 静也  地方独立行政法人りんくう総合医療センター
Paul Ridker  Department of Medicine, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, USA

座長の言葉

日本循環器学会は日本脳卒中学会と連携して、本邦で問題となっている脳卒中と循環器病克服5カ年計画を策定し、現在国を挙げて両疾患の発症予防のための対策が練られている。脳心血管病の基盤は粥状動脈硬化であり、その発症予防のためには粥状動脈硬化の種々の危険因子を如何に良好に管理するかが重要である。特に、動脈硬化と強く関連するリスクとしてのLDL-C管理の重要性は、スタチン、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、PCSK9阻害薬をはじめとするLDL-C低下薬の大規模臨床試験によって確立したと言えよう。しかしながら、LDL-Cを30 mg/dL程度まで低下させても、心血管イベントの発症は一部しか抑制されず、他のリスクを至適に管理する必要がある。本シンポジウムではLDL-Cの管理に加えて、それ以外の血清脂質・リポ蛋白(脂質異常症)、糖尿病・耐糖能異常、高血圧、メタボリックシンドローム、その他の至適管理の現状と各種薬物によるインターベンションの最新の成果について議論したい。更に、それらの議論を踏まえて、粥状動脈硬化の発症・進展予防のための今後の薬物開発の方向性についても考察する。

英 語

5. 末梢動脈疾患の血行再建と薬物運動療法の最前線

座長: 安 隆則  獨協医科大学日光医療センター
Mary McDermott  Internal Medicine, Northwestern University Feinberg School of Medicine, USA

座長の言葉

末梢動脈疾患の有病率は、世界で2億人に膨れ上がった。動脈硬化を基盤とする末梢動脈疾患の特徴は脳卒中や虚血性疾患などの他の部位の動脈硬化性イベントを起こしやすいし、予後も不良である。私たちは、患者1人1人に対してテーラーメイドで最良の治療方法を提供すべきです。本シンポジウムでは、血行再建と薬物運動療法の最前線情報に焦点を当てながらテーラーメイド最適治療についてdiscussionしたい。

英 語

6. ブレインハートチームによる新しい脳卒中予防対策

座長: 森野 禎浩  岩手医科大学 内科学講座 循環器内科分野
Mamoo Nakamura  Cardiology, Cedars-Sinai Medical Center, USA

座長の言葉

脳卒中における心原性脳塞栓症の割合は比較的高く、その臨床的意義は梗塞範囲が大きくなる傾向から高い。心臓に塞栓子を発生しうる基礎心疾患を有する患者は、脳卒中の既往に関わらず適切な予防が重要である。このように交差する脳と心疾患のニーズから、両領域の医師を含む多職種による医療介入、すなわちブレインハートチームによる新たなアプローチが広まりつつある。特に二次予防の場合、脳卒中が「塞栓症」であったのかにより、治療ストラテジーそのものが著しく異なる。

全身抗凝固療法がファーストラインに位置づけられ、新規抗凝固薬が患者満足度や安全性を向上させてきた。然るに、出血合併症などにより、これらの長期内服が困難な患者が一定頻度で存在し、薬物の代替療法が開発されてきた。近年、カテーテルインターベンションの発達、心臓外科手術の低侵襲化から、特に脳卒中と関係の深い心臓構造である左心耳や卵円孔のマネジメントが、薬物の代替治療として確立してきた。本シンポジウムでは、脳卒中予防対策として登場した、これら心臓構造をターゲットとする新たな医療を中心に、「ブレインハートチーム」という視点を重視し、循環器内科医、心臓外科医、脳卒中医によるクロストークを展開したい。正確な心原性脳塞栓の診断、デバイス医療、手術、画像活用などをテーマとした最新の研究報告を要望したい。

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7. 植込み型心臓電気デバイスの進歩は何を変えたか?:現状と展望

座長: 夛田 浩  福井大学 医学部 循環器内科学
Paul Friedman  Department of Cardiovascular Medicine, Mayo Clinic, USA

座長の言葉

生体工学の劇的な技術進歩と共に植込み型心臓電気デバイス(cardiac implantable electronic devices [CIEDs])は急速に進化しました。徐脈に対するペースメーカ、致死性不整脈に対する抗頻拍ペーシングと電気除細動(ICD)、そして進行した心不全に対する心臓再同期療法(CRT)は今日、世界で広く使用されています。ICDとCRTは心不全患者において重要な治療のひとつであり、再入院率と死亡率を低下させます。

着用型自動除細動器(WCD)、リードレスペースメーカ、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)、植込み型ループレコーダーも既に数年前より本邦でも臨床使用が可能となっています。そして、ヒス束ペーシングや左脚ペーシングが新たな生理的ペーシング法として登場し、進行した心不全への有効性が期待されています。

遠隔モニタリング(RM)はCIEDs植込み患者の新たな、そして標準的なフォローアップ方法であり、進行した心不全や心房細動合併患者でもその有用性が指摘されています。さらに、近年、遠隔血行動態モニタリングデバイスが開発され、欧米では既に日常診療で使用されています。

このようにCIEDsは単なる刺激装置ではなく、すでに心臓のモニタリングおよび治療機器であり、今後さらなる進歩と普及が期待されます。本シンポジウムでは心血管疾患の診断と治療におけるCIEDsの現状と今後について討論したいと考えています。

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8. 心房細動に対する非薬物治療の進歩

座長: 山根 禎一  東京慈恵会医科大学 循環器内科
Laurent Macle  Medicine, Cardiology, Electrophysiology, Montreal Heart Institute, Université de Montréal, Canada

座長の言葉

かつて20世紀においては、心房細動の治療は薬物治療だけであり、唯一の例外は1980年代に開始された外科的メイズ手術であった。開胸開心術を伴わない非薬物治療が発展したのは21世紀になってからであるが、その後20年間に長足の進歩を遂げている。

第1に挙げられるのは経皮的カテーテルアブレーション法による肺静脈隔離術であり、バルーンカテーテルの使用や冷凍凝固およびレーザー焼灼などの新しいエネルギー源も広く用いられている。長期持続性心房細動における細動基質への治療では心房内線状焼灼、CFAE、Rotor/Driver, GPなど多くのアプローチが行われているが未だに限界は大きく、今後のさらなる発展が期待される。バルーンカテーテルの使用適応が持続性心房細動に拡大されつつあることが直近の話題の1つであろう。

第2点として外科的治療の進歩と多様化が挙げられる。伝統的な開心術を用いたメイズ手術以外にも現在では、胸腔鏡下肺静脈隔離術や左心耳摘除術など低侵襲の外科的心房細動治療が数多く行われている。カテーテル治療との併用等で治療効果を上げる試みも期待される。

第3点として経皮的左房閉鎖術の導入が挙げられる。心房細動自体に対する根治的治療ではないが、一部の心房細動患者において抗凝固治療を回避しうる治療として注目されている非薬物治療である。今後の心房細動患者管理において1つの柱になってゆくことが期待される。

今回のシンポジウムにおいては上記の点を中心として、最近の心房細動に対する非薬物治療の進歩に関して議論を深めたい。

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9. どこまで進んだ不整脈のPrecision Medicine

座長: 清水 渉  日本医科大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野
Arthur Wilde  Heart Centre, Department of Cardiology, Amsterdam UMC, location AMC, Netherlands

座長の言葉

1996年に先天性QT延長症候群(LQTS)患者で初めて原因遺伝子が同定されて以来、多くの不整脈疾患が、心筋イオンチャネルや細胞膜蛋白をコードする遺伝子の変異により発症することが判明した。先天性LQTSでは、75%の患者で原因遺伝子が同定され、遺伝子型(LQT1-3)別の生活指導や治療、すなわち精密医療(Precision Medicine)が実践され、さらに遺伝子変異部位やタイプ別のリスク階層化も行われている。これに対して、ブルガダ症候群では遺伝子診断率が低く(20-30%)、最近では環境因子などの多因子疾患と考えられ、Naチャネル遺伝子であるSCN5Aが唯一病的遺伝子と考えられている。その他の遺伝性不整脈には、カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)、催不整脈性右室心筋症(ARVC)、QT短縮症候群、早期再分極症候群などがある。CPVTも遺伝子診断率の高い疾患で、リアノジン受容体遺伝子をはじめとする幾つかの遺伝子に、ARVCでは、細胞骨格タンパクや接着因子に関連する複数の遺伝子に変異を認め、表現型との関連やリスク階層化についても検討されている。本シンポジウムでは、遺伝性不整脈に焦点をあて、最新の研究成果や知見を発表していただき、不整脈のPrecision Medicineがどこまで進んだかを議論したい。

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10. 心不全の分子機序の解明

座長: 小室 一成  東京大学大学院 医学系 循環器内科学
Eric N. Olson  Molecular Biology, UT Southwestern Medical Center, USA

座長の言葉

我が国における心不全患者数は現在約120万人であり、すでに総人口が減少傾向にあるにもかかわらず少なくとも2035年までは増え続けると推定されている。心不全の治療は薬物治療、非薬物治療とも大変進んでいるものの、5年生存率は約60%程度と胃がんと同程度であり依然として不良である。生存率が改善しない理由は、心不全の発症機序が未解明であり、病態に基づいた治療がなされていないからである。心不全はあらゆる循環器疾患の終末像と言われるように、多くの疾患が原因となるが共通点として通常心不全発症前に心肥大を呈する。心臓は血行力学的負荷に対して心肥大を形成することによってポンプ機能を維持する。しかし長年負荷が継続すると、心肥大といった代償機序が破綻して心不全を呈する。従って心肥大から心不全に移行する機序の解明が重要となる。本シンポジウムでは、心不全の発症機序に関して、様々な視点から最新の知見をご発表いただく。

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11. 超高齢社会における心不全非薬物療法の現状と課題

座長: 絹川 弘一郎  富山大学 第二内科
JoAnn Lindenfeld  Cardiology, Vanderbilt University, USA

座長の言葉

急速に進行する超高齢社会は心不全パンデミックをもたらし、基礎疾患や表現型も10年前とはおきく様変わりしてきている。心不全の薬物治療には最近新しい進歩が見られているが、非薬物治療の充実ぶりもまた著しい。そのため、ガイドラインは毎年書き換えなくてはならぬほどの進展ぶりであるが、ガイドラインは残念なことに高齢者に特化した治療や高齢者に対する配慮、または高齢者には適さない治療などということは言及してくれない。このセッションでは心不全の非薬物治療について、以下の6つのテーマについて、議論を深めたいと思う。もちろん、私がここで書ききれなかった高齢者のテーマ(栄養、frail、リハビリとデバイス治療の関連など)についてもぜひ積極的にご応募いただきたい。

1. 植え込み型除細動器は高齢者に対してどの程度適用すべきか、費用対効果は?
2. 心房細動アブレーションは高齢者に対する心不全治療の中でどのように位置づけを考えるべきか?
3. TAVIの適応は何歳から、また何歳まで?
4. 僧帽弁や三尖弁に対するカテーテル治療は高齢者に対する福音となるのか?
5. Destination therapyの時代に植込型補助人工心臓治療はどこまで高齢者に適応可能か?
6. 末期心不全状態での侵襲的治療からの撤退を可能にする体制づくりとは?

英 語

12. 心房の構造・機能からみた心不全~診断から治療まで~

座長: 山本 一博  鳥取大学 循環器・内分泌代謝内科
Barry Borlaug  Department of Cardiovascular Medicine, Mayo Clinic, USA

座長の言葉

心房は心室の陰に隠れその重要性が過小評価されがちであるが、様々な病態に心房の異常が寄与している。心房筋や間質の器質的・機能的な変化と電気的異常が相互に連関し、心房のreservoir function, conduit function, booster pump functionの異常を招き血行動態の破綻に向かう原因の一つとなっている。これまでに心房機能障害が心不全重症度と関連することを示す研究結果が散見されている。心房細動はそのような心房の変化の結果でもあり、また原因、増悪因子にもなる。HFrEFでは心房細動の有無でβ遮断薬の効果に差異があるとする研究結果は注目を集めた。最近の疫学調査では、HFpEFの半数以上に心房細動を認めるとされており、心房機能がその病態形成に大きな役割を担っていることが裏付けられている。さらに、心不全の原因のひとつとして心室の拡大や収縮機能障害を伴わず心房の拡大が主因となる心房性機能性僧帽弁ないし三尖弁閉鎖不全という病態も注目を集めている。

Atrial cardiomyopathyという用語も用いられているが、心不全における心房の構造的および機能的異常に関しては、これまで十分な研究が行われてきたとは言い難い。そこで、本セッションでは、心不全における心房の構造的、機能的異常の病態、臨床的評価法および治療介入について最新の知見をもとに議論を深めたいと考えている。

英 語

13. 心筋疾患の早期画像診断

座長: 中谷 敏  済生会千里病院
Raymond Kwong  Cardiovascular Division, Department of Medicine, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, USA

座長の言葉

心筋疾患は肥大型心筋症、拡張型心筋症などの原発性心筋症、アミロイドーシス、サルコイドーシスなどの二次性心筋症など多岐にわたり、マクロ的形態異常のみでは確診に至らない例が多い。しかし治療法の決定、予後推定には早期に診断することが求められている。非侵襲的診断のためには心エコー、CT、MRI、核医学検査等種々の画像診断モダリティが駆使されるが、最近、技術の進歩と病態理解の深化があいまって、どんどんと新しい解析手法や指標が生み出されつつある。しかし、どの疾患にどのタイミングでどのモダリティを使用して診断するのが効率的か、また予後推定にはどのモダリティが最適か、など臨床現場では迷うことも多いのではないだろうか。

知識が不完全であれば、せっかくのモダリティが宝の持ち腐れともなりかねない。本セッションでは画像診断モダリティの最新の話題を取り上げ、その各種心筋疾患への応用を通じて、早期診断に資する種々モダリティの使い分け、将来展望についてディスカッションしたい。

日本語

14. Atrial functional MRをどう治療するか?

座長: 柴田 利彦  大阪市立大学 心臓血管外科
泉 知里 国立循環器病研究センター 心臓血管内科

座長の言葉

機能性MRは、左室機能低下に伴って生じる僧帽弁テザリングによるMRと、主に心房細動例で左房拡大とそれに伴う弁輪拡大を主因とするMR(Atrial functional MR)とに大きく分けられ、両者は機序や予後の点で大きく異なる。しかし従来の欧米ガイドラインでは、これらを区別して記載しておらず、機能性MRの治療指針は主に左室機能低下に伴うMRに関するものであった。2020年改訂の日本循環器学会の弁膜症治療ガイドラインでは、この2つの機能性MRは明確に分類して記載された。しかし、Atrial functional MRに関するエビデンスは乏しく、また心房細動に対する薬物治療やアブレーションなどと併せて治療法を決める必要があり、これらに対する推奨をフローチャートで示すには至らなかった。MR、とりわけ左室機能低下に伴う機能性MRに対しては、その低侵襲性から、MitraClipが広く施行されているが、Atrial functional MRは、三尖弁逆流を伴うことも多く、いわゆるDual valve diseaseとして認識するべきとの考え方もある。外科的治療とMitraClipの適応症例の選択、外科治療における術式(左房縫縮やMaze手術も含めて)などのストラテジーについても未だ定まっていない。このセッションでは、薬物治療、アブレーション、外科的治療、MitraClipなどの治療方針決定における重要な知見となる研究を議論し、今後の診療に役立てたい。

英 語

15. DT時代を迎えた補助人工心臓治療の現状と未来

座長: 小野 稔  東京大学大学院 医学系研究科 心臓外科学
Nir Uriel  Cardiology, Columbia University/New York Presbyterian Hospital/Weill Cornell, USA

座長の言葉

わが国において、間もなく植込み型補助人工心臓(cf-VAD)のdestination therapy (DT)使用が承認される。高齢や様々な併発症を有する重症心不全患者のリスクの高いcf-VAD装着手術の適応をどこまで拡大するか、どのような日常の機器管理・患者教育が望まれか、時代に即応した家族・社会のサポート体制をどのように構築するか、などの新たな課題が山積している。また、DT治療を社会に根付かせるためにはQOL向上を目的としたDT治療の終末期はどのようにあるべきかを真剣に考えるセッションにしたい。

日本語

16. ICTを用いたリスク管理の最先端

座長: 大屋 祐輔  琉球大学大学院 循環器・腎臓・神経内科学科
田村 雄一 国際医療福祉大学 医学部 循環器内科

座長の言葉

循環器領域においては、 従来よりペースメーカーやICDなどの植え込み型のデバイスを用いたモニタリングシステムが発展し、ICTを用いた心不全や不整脈のリスク管理が行われてきた。昨今の人工知能の発達および5GをはじめとしたICTのツールの発展により、より高度なリスク管理モデルの開発が期待されている。具体的にはTele-catheter laboやTele-ICU/CCU・遠隔モニタリングなどの遠隔診療モデルや、ディープラーニングを用いた心電図や心エコー・心臓CTなどの検査解析におけるAIの発展などが挙げられる。また、循環器病の危険因子となる生活習慣病管理や禁煙についても、ICTを用いた行動変容を促進するようなアプローチも利用できるようになってきた。これらはCOVID-19対策における疾病管理やスマートシティ構想にも直結するものであり、医師不足やや在宅医療・感染管理下でのケアの在り方を根本的に可能性を秘めている。

本シンポジウムでは循環器領域で発展しつつあるICTを用いたリスク管理に関して、基礎的研究から実臨床応用例まで幅広く先進的事例を発表いただき、今後の本領域の発展の礎としたい。

日本語

17. 今変わるダイバーシティ タスクシェア実現と診療看護師育成

座長: 福本 義弘  久留米大学 心臓・血管内科
坂東 泰子  名古屋大学 循環器内科

座長の言葉

ダイバーシティが今変わりつつある。日本循環器学会でも、男女共同参画に重心の置かれていた時代から、約10年の成熟を経て、「人材育成」「働き方改革」への役割がダイバーシティ活動の重要な目標として求められている。

喫緊の課題が、2024年から適用される、医師の働き方改革、すなわち、医師への時間外労働制限への対策である。医師の働き方改革実現へ向けて舵が切られたのと同時に不可欠な対策の一つが、医師の労働負荷軽減と表裏一体となる、タスクシェアであり、タスクシェア実現への要となるのが「診療看護師(Nurse practitioner; NP)」の養成である。現在、NP養成の効率的かつ専門的教育研修のために実施されているのがパッケージ研修であり、日本循環器学会でも、日本循環器看護協会とともに、「循環器パッケージ」追加の要望を出したところである。本シンポジウムでは、3年後に迫った医療体制の大改変に備え、すべての世代の循環器医師が知っておくべきこれら政策のポイントとその対策について情報共有するとともに、各医療施設で目指すべきモデルケースを紹介する。

日本語 公募無し

18. Diversity of Cardiologist - 医療 × 経済 -

座長: 塚田(哲翁) 弥生  日本医科大学 武蔵小杉病院 救急・総合診療センター
谷口 達典  大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学 株式会社リモハブ

座長の言葉

ダイバーシティの重要性が叫ばれるなか、2018年に「男女共同参画委員会」は「ダイバーシティ委員会」へと名称を変更した。これは、性別の多様性のみではなく、年齢、ライフスタイル、文化・国籍、仕事歴などを問わず、一人一人がプロフェッショナルとして能力を最大限に発揮し、循環器学の発展を目指すためである。欧米ではこのダイバーシティに加え、インクルージョン(包摂)がイノベーション創出に欠かせない重要な要素として位置づけられる。ダイバーシティ&インクルージョンは、表面的な人財の多様性確保だけではなく、多様性を互いに尊重し、認め合い、共に活躍成長できる環境を作るといったものである。言わずもがな、その第一歩として他者であるお互いのことを正しく識り、理解する必要がある。

今回のテーマである「経済」は、持続可能性という観点から、医療とは切っても切り離せない関係である。我が国の社会保障費は年々増加し、限られた社会的資源の中で経済的に効率的・効果的な医療提供体制を実現していかなければならない。また近年、医療分野においては、治療から予防、キュアからケアへの潮流が加速し、予防医療推進の機運が高まるとともに、疾病や健康に起因する社会課題解決を目指した医師の起業も活発になりつつある。

本セッションでは、様々な領域で活躍する方々にご登壇頂き、これまでのキャリアパスについて、現在目指しているもの、そして「循環器学」が「経済」と如何に対峙し、相互に連関することでどう進化していくか、今後の在りかたについて幅広く討論したい。

英 語

19. 肺動脈性肺高血圧症に対する新たな治療戦略

座長: 瀧原 圭子  大阪大学 キャンパスライフ健康支援センター
Marc Humbert  Department of Respiratory and Intensive Care Medicine, University Paris-Saclay, France

座長の言葉

第6回肺高血圧ワールドシンポジウムの病型分類/治療ガイドラインに基づき、肺高血圧症の理解は飛躍的に広がっている。エビデンスのある多くの肺血管拡張薬の使用が広がるとともに、早期発見・早期治療介入により肺動脈性肺高血圧症の生命予後は著しく改善している。しかしながら、肺高血圧症の病因は多岐にわたるとともに、その発症にはさまざまな要因が関わっているため、三系統の肺血管拡張薬の治療効果は必ずしも一定ではなく、期待される改善効果が得られない症例も少なくない。

さらなる予後改善を目指すためにも、肺動脈性肺高血圧症の病態に応じた治療法を選択することが必要であり、発症機序に基づく個別化医療の実現を目指す必要がある。本シンポジウムでは肺高血圧症の発症機序および病態について理解を深めるとともに、トランスレーショナル研究成果に基づいた新たな治療法の可能性について総合的に議論したい。

日本語公募無し

20. CCUで勤務するためにこれだけはしっておきたい集中治療の最新の話題

座長: 笠岡 俊志  熊本大学
伊藤 智範  岩手医科大学

座長の言葉

今回のセッションでは、循環器内科医が集中治療に関する新しい知識を幅広くカバーできる内容を企画しています。CCUは、まぎれもなく循環器疾患診療の要です。1962年に初めて米国で設置されたCCUは、その歴史が60年になろうとしています。この間、急性心筋梗塞症の診療は劇的な進歩を遂げて、その死亡率が5%前後になっています。しかしながら、院内死亡率をゼロにはできず、さらには院外心停止の問題も未解決です。いまや、循環器救急診療は、災害やパンデミックなどの環境要因からも大きな影響を受ける時代になり、さまざまなことがパラダイムシフトしようとしています。

21世紀の循環器救急のさらなる進歩を展望するために、現時点での集中治療最新の話題を最先端の現場から、報告していただき、一人ひとりの患者さんによいフィードバックができて、循環器内科医が幅広い知識を網羅できるようなセッションになることを希望します。

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21. 医師偏在へき地医療の現状と解決への取り組み

座長: 永井 良三  自治医科大学
野上 昭彦  筑波大学 医学医療系 循環器内科

座長の言葉

へき地保健医療対策における「無医地区」および「無医地区に準じる地区」を擁する都道府県は、東京都・神奈川県・大阪府・千葉県を除く43道府県に及ぶ。平成20年度以降、医学部定員が大幅に増員され医師数は年々増加しているが、その増分は一部の診療科に偏っており、医師の地域偏在・診療科偏在は未だ解消されていない。また、診療科ごとの労働時間に大きな差が存在することも指摘されている。

このような医師の地域偏在解消に向け、「緊急医師確保対策」がまとめられた。その骨子として以下のような対策項目があげられている。1)医師不足地域に対する国レベルの緊急臨時的医師派遣システムの構築 2)病院勤務医の過重労働を解消するための勤務環境の整備等 3)女性医師等の働きやすい職場環境の整備 4)研修医の都市への集中の是正のための臨床研修病院の定員の見直し等 5)医療リスクに対する支援体制の整備 6)医師不足地域や診療科で勤務する医師の養成の推進。

また新専門医制度における18基本領域別の将来推計によると、最も増員が必要な診療科は内科、次いで外科であった。今後、へき地をはじめとするすべての地域に十分な循環器診療を確保するには、医師偏在地域における循環器専門教育、医師のタスク・シフトやタスク・シェアリング、女性医師をはじめとした医師のキャリアアップに対する配慮、など幅広いアイデアが必要とされる。 

本シンポジウムでは各医育機関や医療機関における現状と解決への取り組みに関して論じていただきたい。

日本語

22. 地域を含めた心不全のチーム医療:急性期病院と地域のネットワーク

座長: 三浦 稚郁子  公益社団法人 地域医療振興協会
東條 美奈子  北里大学 医療衛生学部

座長の言葉

2018年12月、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、脳卒中と循環器病克服のため、「急性期だけでなく、回復期・慢性期の診療体制の充実」および「専門医だけでなくメディカルスタッフを育成し、チーム医療を実践」など5つの活動戦略が5か年計画としてあげられている。中でも、あらゆる循環器病の週末像である心不全に対しては、0次予防から3次予防のどの段階においても、かつ急性期から回復期・慢性期・維持期のどの時期においても、そして地域の診療所や高齢者施設、急性期病院などあらゆる場においても、多職種がチームとして関わることと、スムーズな連携を行うことが重要である。しかし、実際には急性期から、慢性期や回復期へ移行するには病床数が不足しており、急性期からすぐに在宅に移行する場合も多くあり、住み慣れた地域で心不全患者が再入院予防や重症化予防に取り組みながら暮らしていくためには、急性期病院と地域の連携が不可欠である。

本セッションでは、心不全患者さんが急性病態からスムーズに在宅に移行できるように、退院支援〜在宅支援のために取り組んでいる施設から、地域連携の仕組みやその活動内容の具体例などについてご紹介いただき、急性期病院と地域連携における問題点や課題を明らかにし、その解決策のためにディスカッションしたいと思います。

日本語

23. 診療支援のためのロボット工学・バーチャルリアリティー

座長: 中村 匡徳  名古屋工業大学 電気・機械工学科会
坂田 泰史  大阪大学 循環器内科学

座長の言葉

2020年はコロナ禍一色である。人類の未来は、人工知能(AI)による反乱より先に、virusによる攻撃により、対応を間違えれば滅亡の危機に直面しかねない状況といえる。AIには,ワクチンや特効薬の迅速な開発に真価を発揮してくれることを期待したいが、AI以外にも診療を含む臨床に活用が期待されている技術が多くある。その中でも特に有望なものは、ロボット工学やバーチャルリアリティーとされている。しかし、これらが実際にどのように活用されようとしているのか、開発者はどのようなことを考えているのかということについてはあまり知られていない。さらに、臨床のニーズも開発者側に十分届いているとは言えない現状がある。日本循環器学会の演題を俯瞰しても多くは治療成績の報告であり、技術開発の報告は少ないと言える。技術開発には、ニーズとシーズのマッチングが重要である。技術のみが先行していても、そこに需要がなければ意味がない。逆もしかりである。日本循環器学会は、臨床と工学との相互理解を目指して、日本機械学会との学会連携協定を結んでいる。連携企画の1つである本セッションでは、循環器医療を主対象とする工学技術・機器の開発に携わる少壮気鋭の研究者に試みを発表頂く。米国をはじめとする諸外国と比べると、本邦の医療関連技術に携わる人材・インフラは僅少であり、その差は大きいが、本セッションが少しでもその差を埋める一助となれば幸いである。

英 語

24. がん薬物療法と循環器合併症

座長: 赤澤 宏  東京大学 医学部 循環器内科学
Alexander Lyon  Cardio-Oncology Service and National Heart and Lung Institute, UK

座長の言葉

がんは治療の進歩によって、治療と回復が十分に可能な病気となりつつある。それにともなって、がんサバイバーが増加し、がん治療による循環器合併症が生命予後やQOLに影響する大きな要因となってきている。とくに、アントラサイクリン系抗がん剤のように心毒性が古くから知られた薬剤に加えて、様々な分子標的薬による循環器合併症が問題となっている。心血管系の恒常性維持に関わる分子を標的とする抗がん剤も多いが、オフターゲット効果の可能性もあり、分子標的薬でさえ循環器合併症発症の機序は不明な点が多い。また、がん薬物療法は治療プロトコールが多様であり、がん種やステージ、循環器疾患の既往や合併など患者背景も複雑なため、がん化学療法による循環器合併症に関する臨床研究・疫学研究のエビデンスは十分とは言い難い。そのような状況の中で、がん診療科と循環器科が連携・協働して、有効ながん治療の実施や継続のために心血管リスクの管理や心血管合併症への対応を行うことが求められている。本シンポジウムでは、がん化学療法による循環器合併症に関する最新の基礎研究および臨床研究・疫学研究の成果を踏まえながら、腫瘍循環器学の現状と今後の課題について討議したい。

日本語

25. 循環器領域における保険診療の課題と対策:技術評価の時代へ

座長: 池田 隆徳  東邦大学大学院 医学研究科 循環器内科学
松本 万夫  東松山医師会病院

座長の言葉

日本循環器学会の健保対策委員会は、医学医療の進歩・発展に寄与する循環器系主要学会の責務として、多くの関連学会が希望する技術提案をまとめ、内科系あるいは外科系学会社会保険連合を介して、厚生労働省に2年毎に診療報酬改定に関する提案書を提出している。2020年の診療報酬改定の際には、循環器系領域では未収載および既収載の医療技術について、比較的多くの要望を通すことができた。

2022年の診療報酬改定においては、国民に役立つ医療技術の導入・強化をスローガンにして、これまで医薬品、デバイス、カテーテルといったいわゆる「モノ」に対しての評価から、医師が自らの医療技術で担う「技術」を重視した評価への転換を目指すことにしている。重症心不全、難治性不整脈などの治療における「特定内科診療」や「説明と同意」についての診療報酬における加点を厚生労働省に要求する。また、「医療連携」と「在宅医療」を推進し、地域医療を支援する「遠隔医療」を確立し、それに対する診療報酬の新設を要求する。「テーム医療」の推進と「医師負担」の軽減を目指した診療体制を確立し、それに付随して発生する診療報酬の新設も要求する。

本シンポジウムでは、今後の技術評価の時代を迎えるにあたっての循環器領域における保険診療の課題と対策について議論する予定である。指定演題とは別に、このテーマに関する演題を広く公募する。

ジョイントシンポジウム

英 語

ACC-JCS Joint Symposium

1. Frontiers in the treatment of mitral regurgitation

座長: 山本 一博  鳥取大学

座長の言葉

The number of patients with mitral regurgitation has increased with aging of the society. Because surgical risk is elevated in elder patients, in particular, with severe left ventricular dysfunction, a less invasive approach to mitral regurgitation has been developed. Transcatheter edge-to-edge repair (Mitraclip) has been clinically applied across the world, and as it becomes more widespread, the range of patient indications is expanding from their original indications as well. In patients with secondary mitral regurgitation, this repair approach seems to be the preferred one. In parallel with the spread of this method, several new and less invasive approaches have been proposed. This session will focus on the less invasive treatment of mitral regurgitation and the latest findings in the treatment.

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AHA-JCS Joint Symposium

2. Covid-19 and cardiovascular disease: complications such as stroke

座長: 野出 孝一  佐賀大学

座長の言葉

It has been reported that COVID-19 infection is more likely to become severe in patients with cardiovascular disease and diabetes. Cardiovascular complications include inflammation, heart failure, arrhythmia, pulmonary infarction, cerebral infarction, and serious pathological conditions due to thrombosis. At this symposium, we plan to discuss the management, treatment, and prevention of cardiovascular complications caused by COVID-19 infection.

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ESC-JCS Joint Symposium

3. Recent advances in coronary imaging and intervention

座長: 新家 俊郎  昭和大学

座長の言葉

Recent advancement in coronary imaging techniques and technologies has provided us a more precise understanding of the pathophysiology of coronary artery disease, especially the progression of atherosclerotic changes leading to acute and chronic coronary syndromes. It also has moved beyond research frameworks to improve clinical decision-making strategies and optimize individualized coronary intervention. In this symposium, cutting-edge imaging technology in each invasive and non-invasive field will be discussed in order to achieve contemporary optimal management of patients with coronary artery disease.

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KSC-JCS Joint Symposium

4. The new trend of regeneration therapy in cardiology

座長: 福田 恵一  慶應義塾大学

座長の言葉

Clinical application of regenerative medicine in the cardiovascular field had been investigated using cardiac stem cells, skeletal myoblasts, mesenchymal stem cells, and ES and iPS cells. There is wide variation between therapeutic cell sources and methods of transplantation. Some studies examine direct transplantation of regenerated cardiomyocytes, and others expect that humoral factors improve cardiac function. In this joint session, we will discuss the future direction of regenerative medicine in order to achieve our final goals. We ask the speakers to clarify how they apply basic research in their clinics, what kind of heart disease is targeted, how long the transplanted cells can survive, how to prevent the tumor formation, and what is the mechanism of improvement of cardiac function.

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CSC-JCS Joint Symposium

5. The recent advance in coronary intervention

座長: 伊苅 裕二  東海大学

座長の言葉

Percutaneous coronary intervention (PCI) is one of the major coronary revascularization procedures, along with bypass surgery. In 2015, a MATRIX study showed radial access for acute coronary syndrome reduces mortality rate. Radial access is technically difficult but its benefit is clear, and while slender PCI is an even more difficult technique, its less invasive aspect is attractive. We can detect plaque morphology using OCT imaging, and IVUS-guided PCI improves short-term and long-term outcomes. Chronic total occlusion is a challenging field in PCI, but several new techniques and devices have improved its success rate. In this session, we would like to discuss these recent advances in PCI and more.

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APSC-JCS Joint Symposium

6. Management of stable coronary artery disease after ISCHEMIA trial

座長: 大倉 宏之  岐阜大学

座長の言葉

Whether or not percutaneous coronary intervention (PCI) is beneficial in treating stable coronary artery disease has been debated. Currently, the indication of PCI is determined based on the presence or absence of ischemia, and FFR is widely used to assess coronary physiology rather than angiography-based anatomical assessment alone. The ISCHEMIA study found that PCI does not provide any notable clinical benefit over optimal medical therapy in stable coronary artery disease, even in the presence of coronary ischemia. This symposium will discuss the impact of the ISCHEMIA trial on treatment strategies for stable coronary artery disease. We will also discuss the potential benefit of PCI in the post-ISCHEMIA trial era.

第85回日本循環器学会学術集会運営準備室
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