WEB市民公開講座

WEB市民公開講座

■WEB市民公開講座のご案内

会期期間中、WEBにて市民の皆様向け公開講座を配信いたします。
こちらはどなたでもご視聴頂けます。ぜひ、多くの皆様にご視聴頂ければ幸いです。

■テーマ

「コロナ禍の社会で暮らす当事者のために精神医学は何かできるのか:妊娠・出産から自動車運転まで」

■内容

精神障がいとは、「精神的な症状によって、社会で暮らす力が損なわれている状態」、と定義されています。したがって、症状があっても、その方なりに社会で暮らすことが出来れば、回復したと考えられます。すなわち、精神科医療の目的は、精神障がいの回復を助ける、すなわち、症状を良くすると同時に、社会で暮らすことが出来るよう、援助することにあります。ところが2013年に発表された、当事者の方々を対象としたアンケート調査によれば、「精神科医療で使われる治療薬を服用することであきらめたこと」の上位に、「自動車運転」「出産・育児」があり、トップが「結婚」、二位が「就職」でした。治療のために薬を飲むことで、症状は良くなったとしても、社会で暮らす為に必要な「自動車運転」が出来ず、「就職」もあきらめる、さらに「出産・育児」、「結婚」もあきらめている、当事者の方々の実態があります。これでは、今の精神科医療は当事者の方々の回復を援助しているとは言えません。「精神科医療の不十分な点を改善する方策を見つけ出すこと」を精神医学分野の研究は目指しております。当事者の方々が、「自動車運転」、「出産・育児」、さらに「結婚」、「就職」をあきらめることなく、その方なりに社会で暮らすことが出来るよう援助する、そんな精神科医療を実現させるため、精神医学研究を進めるべきだ、と私は考えております。特に新型コロナウイルス感染拡大の社会状況も踏まえ、当事者・家族の方々のご意見を改めておうかがいして、我々はどの様な精神医学研究をすべきか、皆様とご一緒に検討したいと思っております。

■講師

尾崎紀夫教授

名古屋大学大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野 教授
尾崎 紀夫

プロフィール:

1957年、京都市生まれ。1982年、名古屋大学医学部卒業。中京病院研修医、名古屋大学病院精神科、中部労災病院精神科勤務を経て、米国・国立精神保健研究所にて5年間勤務。帰国後、藤田保健衛生大学(現、藤田医科大学)医学部精神医学教室講師、同教授を経て、2003年、名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野・親と子どもの心療学分野教授、2018年、名古屋大学医学部附属病院ゲノム医療センター長・遺伝カウンセリング部門長、2019年、名古屋大学脳とこころの研究センター長、現在に至る。日本生物学的精神医学会(理事長)、日本うつ病学会(前理事長・現理事)、日本精神神経学会(理事)、日本統合失調症学会(理事)などの学会に役員として関与。2020年日本神経科学学会時実利彦記念賞受賞。
「当事者・家族のニーズ」を踏まえて、精神科領域で生じる日々の臨床疑問の解決」とともに、「精神障がいの病態を解明し、病態にもとづく診断、治療・予防法の開発」を目指すことが研究の基本方針です。自閉スペクトラム症、統合失調症、うつ病、双極性障害、認知症、摂食障害、睡眠障害などの精神障がいの診断・治療法や病態を、多様な(生物・心理・社会的)な観点から研究しております。

■公開日程

オンデマンド配信 8月21日(金)~31日(月)

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