第18回日本うつ病学会総会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会

ワークショップ/
第22回認知療法・認知行動療法研修会のご案内

第18回日本うつ病学会総会/第21回日本認知療法・認知行動療法学会では、様々なカテゴリーにおいて、必要な基礎知識の普及と情報の共有を目的とした「ワークショップ」を開催いたします。

なお、CTワークショップ1~13 につきましては、「第22回認知療法・認知行動療法研修会」として開催いたします。

このプログラムには分野を問わず多くの方々にご参加いただきたくご案内をいたします。
日本うつ病学会/日本認知療法・認知行動療法学会の会員でない方、また第18回日本うつ病学会総会/第21 回日本認知療法・認知行動療法学会[合同開催]には参加しない方も受講料をお支払いいただければ、受講ができます。
但し、日本うつ病学会の会員でない方で、MDワークショップ1~7に参加する場合には、臨時会員としての登録とその承認が必要です。

申込み期限・開催形式について

  • MDワークショップ5・7
    7月10日(土)に、会場でのご参加になります。
    ライブ配信・オンデマンド配信はありません。
  • (1) MDワークショップ1・3・4
    ライブ配信時には、ZOOMでご参加いただくことにとなります。
    オンデマンド配信はありません。
    (2) MDワークショップ2・6、CTワークショップ1~13
    ライブ配信時に、ZOOMで参加されたい方は、7月2日(金)の正午までにお申し込みを完了してください。
    上記以降にお申し込みになられる場合は、視聴サイトからご覧いただくことになり、ZOOMにはお入りいただけませんので、ご了承ください。
  • CTワークショップ8・10・11は、オンデマンド配信はありません。

合同大会の参加費とは別に、ワークショップそれぞれにつき参加費(受講料)が必要です。
同じ時間帯(ライブ配信)のワークショップを複数申込まれますと、同時にライブではご視聴いただけない場合がございますので、予めご了承ください。今回いくつかのワークショップは、ライブ配信後に、オンデマンドでも配信をいたしますので、申込み数に制限はありません。

ワークショップ名 申込み期限 開催形式
オンサイト ライブ配信 オンデマンド
配信
MDワークショップ 1
うつ病看護研修会:
ガイドラインに基づく講義と事例検討
6月30日(水)
17:00
締切りました
× ×
MDワークショップ 2
【作業療法士対象】ガイドラインに基づくうつ病の心理社会的治療研修会
7月30日(金)
正午
×
MDワークショップ 3
EGUIDEプロジェクト うつ病治療ガイドライン講習会
6月30日(水)
17:00
締切りました
× ×
MDワークショップ 4
自殺が生じた後のケア:患者を失った医療者、同僚を失った勤労者のケア
× ×
MDワークショップ 5
MDうつ病診療講習会
産業医からみたうつ病診療の問題点
6月15日(火)
正午
締切りました
7月10日(土)
12:20-16:20
× ×
MDワークショップ 6
睡眠・生体リズムをターゲットとした気分障害治療-日常診療における時間生物学的治療の実践に向けて-
7月30日(金)
正午
×
MDワークショップ 7
明日からの臨床研究を遂行するために知っておきたい知識や技能-臨床研究遂行道場-
7月2日(金)
正午
7月10日(土)
16:20-19:50
× ×
CTワークショップ 1
マインドフルネス認知療法 基礎・体験編
7月30日(金)
正午
×
CTワークショップ 2
シーガル先生から学ぶマインドフルネス認知療法(思考・困難・Inquiryを中心に)
×
CTワークショップ 3
CBTスキルアップ:認知療法・ 認知行動療法の基礎固め
7月30日(金)
正午
×
CTワークショップ 4
産業領域で活かす簡易型CBT
ストレスチェック・一次予防に役立つウェルビーイング手法のスキル実践
×
CTワークショップ 5
認知症介護における認知行動療法
×
CTワークショップ 6
成人期の注意欠如・多動症の認知行動療法
×
CTワークショップ 7
複雑性PTSD に対するスキーマ療法
×
CTワークショップ 8
面接動画を用いた認知療法・認知行動療法ワークショップ
× ×
CTワークショップ 9
多職種のためのアクセプタンス&コミットメント・セラピー入門
×
CTワークショップ 10
CBTのための基礎コミュニケーションスキル(ソクラテス式質問法)
6月30日(水)
17:00
締切りました
× ×
CTワークショップ 11
その時、“対人関係”が動いた!:“ターニング・ポイント”ダラケで学ぶ、実践!対人関係療法(IPT)
7月30日(金)
正午
(予定)
× ×
CTワークショップ 12
メタ認知療
7月30日(金)
正午
×
CTワークショップ 13
うつの行動活性化-理論と実践-
×

参加者特典:
日本臨床心理士資格認定協会の臨床心理士資格更新制度のポイントを参加により2ポイント取得。(但し、MDワークショップ 1を除く)

オンサイト(会場:パシフィコ横浜)での開催について

下記2つのワークショップは、オンサイト(会場:パシフィコ横浜)での開催のみになります。

  • MDワークショップ 5
  • MDワークショップ 7

先着順により満席になり次第、ホームページ上でアナウンスし、入場制限をいたします。

参加登録方法

下記の[ワークショップ受講申込み]ボタンをクリックしてください。
「参加登録」ページに飛びますので、その一番下の[参加登録]ボタンをクリックしてください。
入力フォームが開きますので、必要事項を入力してください。

ワークショップの参加のみの登録も可能です。

既に本合同大会の参加登録をお済ませの方は、「参加登録完了のお知らせ」メールでご案内した「マイページ」からご登録ください。

ワークショップ受講申込み

各ワークショップの内容

MDワークショップ 1

うつ病看護研修会:ガイドラインに基づく講義と事例検討

ライブ(オンライン)7月9日(金)8:40~11:40

コーディネーター:

野末 聖香

慶應義塾大学

定員:
50名
対象:
看護職(看護師、保健師、助産師)
受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
日本うつ病学会は2020年7月に『うつ病看護ガイドライン』を公表しました。うつ病看護ガイドラインを実践の場で活用していただくために、看護職(看護師、保健師、助産師)を対象としたうつ病看護研修会を企画しました。うつ病看護の基本についての講義と事例検討を通して、うつ病看護のポイントを理解し、ガイドラインを実践の場で活用する視点や方法を学ぶ機会にしたいと思います。また参加者の皆様からガイドラインの課題や使い勝手などについてフィードバックをいただき、ガイドラインの更新に生かしたいと考えています。

MDワークショップ 2

【作業療法士対象】ガイドラインに基づくうつ病の心理社会的治療研修会

ライブ(オンライン)7月10日(土)9:30~11:30 /オンデマンド

コーディネーター:

杉山 暢宏

信州大学医学部保健学科

対象:
作業療法士、その他
受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

日本うつ病学会は2018年に『うつ病治療ガイドライン-精神科作業療法―』を公表した.このガイドラインに基づき本研修会では作業療法士や作業療法に興味のある医療関係者を対象に,心理社会的治療の研修を行う.
冒頭30分でガイドラインの講義を行い,次に事前に寄せられた質問にファシリテータがお答えするセッションを予定している.日常臨床における疑問や困り事を下記のアドレスで募集している(多数の質問をお待ちしています).

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScn9ObpjPNS7kgAvn5WsCj-pLfPtLgZZ52aUxPtlsyXg-Wc4g/viewform

続いてガイドラインの実践報告を2名の演者から行う.最後に総合討論の時間も十分に設けた.明日からの臨床に役立つ研修会としたい.

MDワークショップ 3

EGUIDEプロジェクト うつ病治療ガイドライン講習会

ライブ(オンライン)7月10日(土)9:30~18:00

コーディネーター:

渡邊 衡一郎

杏林大学医学部精神神経科学教室

定員:
50名
対象:
医師、薬剤師、製薬企業従業員
受講料:
6,000円(大会に参加しない場合は、10,000円)
参加条件:
  • 医師、薬剤師、製薬企業従業員(勤務先が病院、調剤薬局、企業など制限はありません)
  • オンラインワークショップに参加可能なインターネット回線があること(学会からの環境提供はありません)。
  • Zoomとウェブブラウザを見ていただくことになるため、その両方が閲覧できる環境が存在すること。
    必ずPCでご参加ください。スマートフォン、タブレット端末での参加はできません。
    なおPCでは複数モニターがあればより快適に参加できます。
  • 事前にZoomを使った練習会(事前説明会)に参加できること。そこで操作説明などを行います。
事前説明会:
6月25日(金)19~21時
6月28日(月)19~21時
7月5日(月)19~21時
企画趣旨・狙い
うつ病治療ガイドライン講習会への参加者を募集いたします。日本うつ病学会では、ガイドラインの普及・教育・検証活動として、EGUIDEプロジェクトを支援しています。EGUIDEプロジェクトでは、ガイドラインの講習を行い、精神科医の処方行動の変化を検討する研究を行っています。ガイドライン講習は、講義とグループディスカッションからなるもので、通常は受講には研究参加が必須となるため、誰でも参加できるものではありません。これに対して、研究参加はしないが受講したいとのご要望を多数いただき、研究参加しなくとも受講できる講習を今回開催いたします。
本講習は、うつ病治療ガイドラインに記載されている内容の周知だけでなく、記載されていないものの大切な問題についても紹介し、参加者がうつ病について知識をより深めるものになることを目的としています。精神科医はもちろんのこと、看護師、薬剤師などの医療従事者や基礎研究者や製薬企業の関係者など興味ある方は、広く受講していただきたいと考えております。なお今回はzoomを使用してのオンラインワークショップになりますし、高齢者のうつ病の講義が初めて公開されます。
皆様のご参加をお待ちしております。

気分障害の治療ガイドライン作成委員会 委員長
第18回日本うつ病学会総会 会長
渡邊 衡一郎
EGUIDEプロジェクトチーム 代表
橋本 亮太

MDワークショップ 4

自殺が生じた後のケア:患者を失った医療者、同僚を失った勤労者のケア

ライブ(オンライン)7月10日(土)10:00~12:00

コーディネーター:

河西 千秋

札幌医科大学医学部神経精神医学講座

定員:
30名
受講料:
3,000円(大会に参加しない場合は、6,000円)
企画趣旨・狙い
自殺の後に遺された人へのケアは、精神科医療、心理臨床、ないしは対人支援業務において重要です。また、自殺事故等のメンタルへルス事故が生じた後の対応は、職場における勤労者のケアを含む労務管理、リスク管理上の課題でもあります。本研修会は、自殺事故後の遺された人の心理とさまざまな課題を提示し、ケース・スタディなどを通してその実際と対応、問題解決について学びます。講師・ファシリテーターは、いずれも自殺予防と事後対応に従事してきた専門家・実務家で、受講者の皆様と親密な学びの機会をご提供します。本研修会は、過去に事故を経験した方にとっては良い振り返りの機会となることと思いますし、今後、業務に携わるかたにとっても、基本的な知識と技術を身に着ける良い機会となるでしょう。

MDワークショップ 5 MDうつ病診療講習会

産業医からみたうつ病診療の問題点

オンサイト(現地開催)7月10日(土)12:20~16:20

コーディネーター:

吉村 玲児

産業医科大学医学部精神医学教室

定員:
30名
受講料:
12,000円

詳細はこちら

企画趣旨・狙い
今回のうつ病の講習会はすべて産業医科大学のスタッフと産業医科大学出身で産業医経験豊富なスタッフで構成いたしました。大きな4つの柱についてご参加の皆様方と双方向性に議論したいと思います。1)産業現場でのうつ病診療の難しさと問題点。2)職場でのプレゼンティーズムの問題とどのようにして評価するか。3)明日から応用できる認知行動療法の初歩。4)異種性の高いうつ病へのかかわり方の基本と産業精神医学の実地現場で役立つ情報の収集方法。以上についてそれぞれのエキスパートより分かりやすくご講義頂き、グループワークも交えながら講師・ファシリテーター・参加者の先生方と熱い議論を戦わせたいと思います。この講習会は明日からの先生方の臨床にすぐにでも役立つヒントが盛りだくさんです。多くのご参加をお待ちしております。

MDワークショップ 6

睡眠・生体リズムをターゲットとした気分障害治療 ―日常診療における時間生物学的治療の実践に向けてー

ライブ(オンライン)7月10日(土)12:40~15:40 /オンデマンド

コーディネーター:

鈴木 正泰

日本大学医学部精神医学系

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
近年、気分障害において、生体リズムの異常が病態、治療経過に密接に関わることが明らかにされつつある。それに伴い、睡眠・生体リズム操作による気分障害治療が再評価されており、国際感情障害学会(ISAD)や国際双極性障害学会(ISBD)においては、時間生物学的治療に関する委員会やタスクフォースが立ち上げられ、薬物療法を補完する新たな治療戦略として実地臨床における使用を目指した議論が進められている。
 本ワークショップでは、睡眠や概日リズム制御の基礎、およびこれらの気分障害の病態生理との関連について解説した上で、代表的な時間生物学的治療である高照度光療法、断眠療法(覚醒療法)、暗闇療法、対人関係社会リズム療法の実践に必要な知識を解説する。これらの治療理論は、いずれも一般的なうつ病治療法と併用可能であることから、その例についても紹介する。
 明日からの臨床に役立つ知識を含め、この分野をリードする講師陣が初学者にもわかりやすく解説する。

MDワークショップ 7

明日からの臨床研究を遂行するために知っておきたい知識や技能 -臨床研究遂行道場-

オンサイト(現地開催)7月10日(土)16:20~19:50

コーディネーター:

加藤 正樹

関西医科大学精神神経科学講座

定員:
30名
受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
これから研究を始めたい方、研究がなかなかうまく進まない方、日々感じている臨床疑問をどうにか解決したい方を対象としたワークショップ。臨床疑問やアイデアから、どのように臨床研究をデザインし、体制を作り、研究を実施するかという概論と、医学臨床研究、定性的研究、メタ解析など各論に関しての教育的講義を前半に行う。後半は3グループに分かれて、それぞれのグループごとに臨床疑問からPECOを組み立ててもらい発表する後半1部、発表の討論を通して、そこから試験デザインを組み立て発表する後半第2部で構成される。本ワークショップで誕生した研究が実際の稼働し本学会で発表されるところを目指したい。

内容詳細

CTワークショップ 1

マインドフルネス認知療法 基礎・体験編

ライブ(オンライン)7月9日(金)18:20~21:20 /オンデマンド

コーディネーター:

二宮 朗

慶應義塾大学医学部精神神経科学教室

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
マインドフルネスの概念を取り入れた介入には様々なものがあるが、「マインドフルネスストレス低減法」とともに、マインドフルネスと認知行動療法の手法が統合された「マインドフルネス認知療法」はマインドフルネスへの取り組みを主としており、その本流と言えるであろう。
マインドフルネス認知療法とは、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」と定義されるマインドフルネスの技法を用いることで、不安や抑うつの原因となる思考の反芻を抑制し、気分の改善をはかる精神療法のひとつである。 マインドフルネス認知療法のセッションでは、瞑想やヨガといったマインドフルネスの技法を中心に練習していく。通常10-20人程度の集団で、1回2時間のセッションを合計8回実施する。この集団精神療法の前半では、呼吸や体の感覚に注意を向け、そのままそこに注意をとどめることから訓練を開始し、後半では、思考や気分をそのままとらえる「脱中心化」の技法を身に付けていく。
マインドフルネスについては、近年、その認知度の向上に伴い、関連書籍も数多く出版されてきている。よって、それらを通じて、マインドフルネスに対する理解を深めることが可能となってきている。しかし、その本質が「実践を通じた気づき」にある以上、体験の伴わない理解だけでは不十分なのもまた事実である。 そこで、このワークショップでは、参加者に様々な瞑想のエクササイズを実際に体験してもらい、その体験を参加者や講師との間で共有していく。こうした「実践を通した気づき」のプロセスから、マインドフルネスそのものへの理解を深めていく。また、こうした体験と講義から、マインドフルネスのどのような点がうつや不安といった精神症状の改善に効果を発揮するのかといった、効果発現の機序についても理解を深めていく。

CTワークショップ 2

シーガル先生から学ぶマインドフルネス認知療法(思考・困難・Inquiryを中心に)

ライブ(オンライン)7月10日(土)9:00~12:00 /オンデマンド

コーディネーター:

佐渡 充洋

慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

本コースは、過去に呼吸や身体のマインドフルネス瞑想などの経験のある方にお勧めです。そうした経験のない方は、7月9日(金)18:20-のワークショップ1「マインドフルネス認知療法 基礎・体験編」を受講してから参加されることをお勧めします。

このワークショップは、マインドフルネス認知療法の創始者の一人であるトロント大学のシーガル教授をお招きして開催されるワークショップです。
 マインドフルネス認知療法は、8回のセッションで構成されますが、今回は主に中盤以降のセッションに焦点を当て解説と体験を交えながら理解を深めていく構成になっています。
 マインドフルネスというと、呼吸や身体の感覚に注意を向ける瞑想のイメージが強いかもしれません。もちろんこうしたトレーニングは、マインドフルネス認知療法でもセッションの序盤を中心にしっかりと行います。しかし中盤以降では、瞑想での観察の対象を、身体の感覚から、思考や気分といったものにも移していき、これを「頭の中の現象」としてありのままに捉える練習をしていきます。そうすることでネガティブな思考が生じてもそれに巻き込まれるのではなく、客観的にありのままに捉える「脱中心化」の力を育んでいくことできるのです。そしてこの脱中心化こそがマインドフルネス認知療法が様々な症状の改善に効果を発揮する最も重要な要素なのです。
 このワークショップでは、こうした思考や気分、不快な体験に対してどのように関わっていけば、不安や落ち込み、ストレスなどの不快な体験が軽減されていくか、そのメカニズムを体験を通して理解できる構成になっています。
 さらに今回のワークショップでは、シーガル先生によるInquiryの実演も行います。Inquiryとは、参加者がその体験をインストラクターとやりとりするものです。こうしたプロセスを通して、参加者は自身の体験からより深い気づきを得ていくのですが、これが多くのインストラクターにとって難しいものであるのも事実です。今回は、Inquiryの要点について説明したあと、シーガル先生に実演していただき、その実際について学んでいただくことを考えています。

CTワークショップ 3

CBTスキルアップ:認知療法・認知行動療法の基礎固め

ライブ(オンライン)7月10日(土)9:00~12:00 /オンデマンド

コーディネーター:

大野 裕

一般社団法人 認知行動療法研修開発センター

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

認知療法・認知行動療法に対する関心は高いが、それだけに誤解されることも少なくない。認知行動療法は問題解決的アプローチであり、考えを修正するのは目的ではなく、問題に対処するための手段である。また、認知ばかりに目を向けて相談者の人となりを理解することを怠ったり、人間的で支持的な関係性に目が向かなくなったりすることもある。本ワークショップでは、こうしたことを含めて、認知行動療法で誤解されやすい点に触れつつ、認知行動療法のエッセンスについて動画とロールプレイを交えながら紹介することにしたい。本ワークショップは、認知行動療法の初心者が認知行動療法の第一歩を学ぶ機会となるだけでなく、経験者がもう一度基本に立ち返りさらなるスキルアップを目指すきっかけを提供できるものにしたい。
ワークショップの進め方であるが、まず認知行動療法の基本的な考え方やよくある誤解について解説し、認知行動療法で重視されるソクラテス的問答や協働的経験主義について研修する。続いて、認知行動療法の基本的な面接構造である導入パート、相談・対処パート、終結パートについて動画やロールプレイを織り込みながら研修する。
導入パートでは、気分をチェックして前回のセッションのポイントと前回のセッション以降の生活のなかで起きた重要な出来事、そしてホームワークを振り返り、アジェンダを設定する。ちなみに、アジェンダはスキルではなく、患者が解決しなくてはならない心理的課題に関連した具体的な出来事である。
相談・対処パートでは、患者の心理的課題に関連した認知または行動に焦点を当てながら、アジェンダ(現実の問題)に対処するのに適したスキルを柔軟に選択し、患者が問題に取り組むのを手助けして、そこで使ったスキルについて簡単に説明(心理教育)を行う。
最後に終結パートに5分から10分を使って、セッション全体を振り返り、話し合った内容に関連したホームワークを決め、セッション全体に対して患者からフィードバックを得る。最後に、インターネットを活用した認知行動療法の学習のポイントについて解説する。

参考図書
大野裕、田中克俊:保健、医療、福祉、教育に生かす 簡易型CBT実践マニュアル、ストレスマネジメントネットワーク、2017

CTワークショップ 4

産業領域で活かす簡易型CBT ストレスチェック・一次予防に役立つウェルビーイング手法のスキル実践

ライブ(オンライン)7月10日(土)9:30~12:30 /オンデマンド

コーディネーター:

須賀 英道

龍谷大学短期大学部

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
うつ病が増加している最近の状況で、現代社会の構造変化がその根源にあると言われている。その背景には、地域コミュニケーションの崩壊や、核家族化、情報化社会の急速変化、生活習慣の乱れ、親の養育態度の変化など多くの問題がある。こうした問題から自立の成長が阻害され、ストレスへの脆弱性や過緊張、ネガティブ指向、未熟な自尊心・自己否定感となり、現代型うつ病の一因となってきている。こうした中で従来の対応策では、個人の抱える原因究明、問題解決という手法POS(problem orientated system)に固執している感が否めない。各個人の訴える、あるいは生じた具体的問題に対して原因究明し解決するという方向性(パソジェネシス手法)は医学の基本であるが、最近のように個人要因以上に環境要因が大きくなってくると、各個人の抱える問題の解決を最善とする方向性から、環境適応への柔軟性と主観的幸福感の向上へも価値観を求める流れ(サリュートジェネシス手法)も必要とされる。ウェルビーイング手法はその1つであり、各個人が自らの特性を理解し、自己の強みを早期につかみ、自己肯定によってウェルビーイングに至るといったポジティブ思考が求められる。これによってレジリアンス強化につながることが実証されており、これこそがメンタル不調の1次予防に直結する手法といえよう。そして、この方向性は個人に限られるものでなく、relationship(絆)の強化によって、家族・社会での受容性の向上や連帯感による行動変容を生み出し、ウェルビーイングを拡大させ、産業界での働き方改革へも応用される。2019年度から働き方改革法案が施行され、就労環境や働き方への関心が高まり、一般をターゲットにしたストレスコーピングや気分・モチベーション向上を求めた簡易実践書(トレーニングブック)の必要性が求められるようになってきた。就労者や企業経営者の双方に日常生活の中でいつでも使えるトレーニング手法が必要とされている。
このワークショップでは、健康についての考え方を根本から捉え直すとともに、働き、生きていく生活空間の中で自らの存在がいかに充実感をもって過ごせるか。他者との関わりの中でいかに自己肯定的になれるのか。そして、幸福感はどのようにしてつかめるのかなどについて、ウェルビーイングのトレーニング手法を具体的に実践しながら進めていく。このワークショップを終えた際には、参加者はきっと自らの喜びに気づくであろう。そして何よりも、医療者視点にとどまらず、自らの日常生活での実践にも役に立ちますのでご気軽に参加してみて下さい。

CTワークショップ 5

認知症介護における認知行動療法

ライブ(オンライン)7月10日(土)9:30~12:30 /オンデマンド

コーディネーター:

藤澤 大介

慶應義塾大学医学部 医療安全管理部/精神・神経科

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

プログラム趣旨

 認知症の介護は、患者さんの認知機能の低下(認知症の中核症状)、日常生活機能低下、Behavioral and Psychiatric Symptoms of Dementia(BPSD:周辺症状)、介護者にもたらされる時間的・経済的・社会的制約のため、介護する人に大きな心理的・身体的な影響を及ぼします。
 認知症の家族介護者支援は、心理教育、患者さんとのコミュニケーションの指導、BPSDに対する行動マネジメント、介護者自身のストレスマネジメント等をくみあわせた「複合的介入プログラム」が、介護者の心理負担の軽減に最も高い効果をもたらすことがわかっています。
 英国のStrategies for Relatives(START)プログラム(Livingston et al. BMJ 2013)は、そういった複合的介入プログラムの一つであり、介護家族の抑うつ症状やQOLの改善や医療経済効果が大規模ランダム化比較試験で実証されています。
 本ワークショップの講師らは、STARTプログラムを本邦の医療・介護・福祉現場で実践しやすい形に改編し、「日本版STARTプログラム」として、病院、介護福祉施設、訪問看護などの現場で実施しています。
本ワークショップは、同プログラムのエッセンスを講義&演習形式でお伝えするものです。

ワークショップ内容

  • 認知症の心理教育のポイント
  • 認知症の方に配慮したコミュニケーション
  • 応用行動分析に基づいたBPSDの行動マネジメント
  • 介護者自身に対する認知・行動療法的ストレスマネジメント(行動活性化、認知再構成、リラクセーションほか)

対象

ワークショップは、精神・心理専門家だけでなく、看護師、保健師、介護福祉士、ケアマネジャーなどの介護福祉従事者、一般介護ご家族にも役立つと考えます。認知行動療法の初級者でも受講可能です。

講師

  • 藤澤 大介(慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神・神経科)
  • 田島 美幸(慶應義塾大学医学部精神・神経科)
  • 石川 博康(都立広尾病院看護部)
  • 原 祐子(西熊谷病院埼玉県認知症疾患医療センター)
  • 色本 涼(慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター)
  • 重枝 裕子(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター)
  • 田村 法子(慶應義塾大学医学部精神・神経科)

参考文献

  • 田島美幸、藤澤大介、石川博康.ワークで学ぶ認知症の介護に携わる家族・介護者のためのストレス・ケアー認知行動療法のテクニック.金剛出版.2019
  • 色本涼、田村法子、田島美幸、石川博康、原祐子、重枝裕子、藤澤大介ほか.認知症家族介護者に対するの集団認知行動療法:日本版START(家族のための戦略)プログラム.老年精神医学雑誌31(4), 346-353, 2020
  • 石川博康、田島美幸、岡田佳詠、藤澤大介、田村法子、佐藤洋子.認知症家族介護者の認知行動療法:START(家族のための戦略)プログラム:実践編.保健師ジャーナル75(4), 332-336, 2019

CTワークショップ 6

成人期の注意欠如・多動症の認知行動療法

ライブ(オンライン)7月10日(土)12:40~15:40 /オンデマンド

コーディネーター:

中島 美鈴

九州大学人間環境学研究院

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
注意欠如・多動症 (Attention-Deficit / hyperactivity Disorder; ADHD) は,成人期にも症状が継続し,職業,家庭,社会生活など広範囲におよぶ機能障害を引き起こす発達障害である。児童期に見られたADHD症状は,多動は約50%,衝動性は約40%程度が年齢とともに減少するが,不注意は約20%程度しか減少しない (Wilens, Biederman, & Spencer, 2002) ことや,ADHDの3つの症状の中でも不注意が特に成人期まで持続しやすい (Biederman, Mick, & Faraone, 2000) ことから,成人期のADHD患者は不注意症状に起因した機能障害を抱えやすいと言える。薬物療法だけでは,成人期患者の20~50%が薬物療法に反応が見られないか,副作用等の有害な反応がみられる (Wilens, Biederman, & Spencer, 2002) ことから,追加または代替の心理的支援が必要とされている。
 これまでの心理的支援は,ADHDの原因仮説に基づいて構築されてきた歴史がある。いくつかの原因仮説のうち,最近の有力なものでは,ADHDの症状および機能障害を神経心理学基盤の特徴によって説明したSonuga-barkら (2010) の三重経路モデル (triple pathway model) が挙げられる。これに沿って,ADHD患者を理解し,介入する治療的枠組みが注目を集めている。
 国際的な治療ガイドラインでは,2020年時点で存在する薬物療法から心理的支援までカバーしたものはNICE : The National Institute for Health and Clinical Excellence (2018), CADDRA : The Canadian Attention Deficit Hyperactivity Disorder Resource Alliance (2018), BAP : The British Association of Psycholopharmacology (2014), DGPPN : The Deuutche Gesellshaft fur Psychiatric, Psychotherapie und Nervenheilkunde (2003) の定めている4つである。それらに共通して推奨されている心理的支援は,「心理教育」と「機能障害への対処スキルの習得」である。成人ADHD患者に対する認知行動療法は,1990年代後半にはマインドフルネスを用いる試みがなされ,次第に整理整頓や,認知再構成法,問題解決技法,衝動コントロール,アンガーマネジメントおよび時間管理,記憶力の補助など多様な技法が追加され,2010年頃からは無作為比比較試験で効果が実証されるようになった。ADHD患者への認知行動療法は,うつ病の認知行動療法と比較すると,生活指導的な要素も見られ,古くは認知行動療法に含まないとする見方もあったが,現在ではこれらの技法を広く認知行動療法とよんでいる。
 本ワークショップでは,上述したADHDの概要,原因仮説,治療ガイドラインについて詳細に講義した後,ADHDの認知行動療法とうつ病の認知行動療法との違い,ADHDの認知行動療法の実際的な問題と対処,ADHDの認知行動療法に特有な技法について事例を用いた演習形式でお伝えする。

CTワークショップ 7

複雑性PTSDに対するスキーマ療法

ライブ(オンライン)7月10日(土)12:40~15:40 /オンデマンド

コーディネーター:

伊藤 絵美

洗足ストレスコーピング・サポートオフィス

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
スキーマ療法(ST)は、Beckのもとで認知行動療法(CBT)を学んだYoungが、境界性パーソナリティ障害(BPD)にCBTを適用するなかで、臨床的なニーズを満たすべく、CBTの理論と技法に、アタッチメント理論、ゲシュタルト療法などの体験的・感情焦点化技法、力動的アプローチなどを加え、高度に統合的なセラピーとして構築した心理療法である。包括的な治療マニュアルが出版されたことを発端として(Young et al., 2003)、主にBPDに対する臨床研究が行われることとなり、特にオランダで実施されたRCTによって高い効果がエビデンスとして報告され(Giesen-Bloo, et al., 2006)、注目されることとなった。このようなエビデンスは、STにおける諸技法、すなわち構造化、心理教育、スキーマモデルやモードモデルに基づく概念化、CBTの諸技法、「治療的再養育法」による修正感情体験、モードに介入するワークなどに基づくものと考えられる。
 ところでHerman(1992)によれば、BPDと診断された者で、過去に長期にわたるトラウマへの曝露体験を有する者は、おおむね「複雑性心的外傷後ストレス障害(複雑性PTSD)」という新たな診断のもとで理解され、治療されうる。ということは、BPDに対するSTにエビデンスがあるのならば、複雑性PTSDに対してもSTは有望な治療法だと仮定できる。そこで本演題では、BPDに対するSTを整理し、それが複雑性PTSDに対してどのように適用されうるのか、ということについて、理論と技法の両面から整理する。次に、複雑性PTSDを有する当事者に対して行ったSTの事例を提示した上で、特に効果に寄与したと考えられる「治療的再養育法」およびトラウマ記憶に対する「イメージの書き換え」というアプローチについて具体的に検討したい。なお、事例の発表については当事者より文書にて許可を得ており、さらに発表において個人情報が特定されないよう配慮した。

CTワークショップ 8

面接動画を用いた認知療法・認知行動療法ワークショップ

ライブ(オンライン)7月10日(土)13:10~16:10

コーディネーター:

大野 裕

一般社団法人 認知行動療法研修開発センター

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

認知行動療法を含む精神療法の勉強に不可欠と考えられる実際の面接場面への陪席やスーパービジョンの機会は、わが国ではごく限られている。そのために、精神療法を勉強しようとする多くの臨床家はテキストを読んで勉強をしてきた経緯がある。しかし、テキストをいくら読んでも文字から得られる情報だけでは、その内容の理解の仕方によっては思いがけない誤解が生じたり、いざ面接場面で実践しようとする際に不十分であったりすることも多い。特に、面接スキルの習得はテキストのみからでは難しい。このため、映像を通して面接を見ることは、実際に認知行動療法の面接に同席する機会のない臨床家にとってはスキルアップのための大きな力となるであろう。
本ワークショップは、認知行動療法の面接動画を教材として、臨床家がつまずきやすいポイントを参加者とのディスカッションを通して理解を深め、認知行動療法のスキルアップを図っていくことを目指す。本ワークショップの動画教材としては、アメリカ精神医学会が精神科レジデント(専攻医/後期研修医)の教科書として作成した『認知行動療法トレーニングブック[第2版]』(医学書院, 2018)に収載されている動画を使用する。

ワークショップ概要

  • 認知行動療法面接の勘所:Cognitive Therapy Rating Scale (CTRS)概説
  • 認知行動療法の実践において臨床家がつまずきやすい4つのポイント:動画視聴&ディスカッション
    ①アジェンダ設定の難しさ
    ②思考記録に伴う困難
    ③適応的思考を導きだす難しさ
    ④活動スケジュールを作成する際の問題
  • 参加者からの疑問をもとにしたディスカッション
  • インターネットを活用した認知行動療法(blend CBT)概説

参考図書

認知行動療法トレーニングブック[DVD/Web動画付] (第2版) 監訳:大野 裕/奥山 真司 医学書院

CTワークショップ 9

多職種のためのアクセプタンス&コミットメント・セラピー入門

ライブ(オンライン)7月10日(土)13:10~16:10 /オンデマンド

コーディネーター:

酒井 美枝

名古屋市立大学大学院 医学研究科 麻酔科学・集中治療医学

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
第3世代の行動療法の一つであるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance and Commitment Therapy: ACT)は,ここ10年あまりの間に,慢性疼痛,うつ,不安,物質依存,肥満など,幅広い症状・問題に対し,急速に多くのエビデンスが構築されてきている。本邦においても,特に精神科などの医療現場を中心に広く浸透しつつある。ACTでは,症状の低減を治療目標として設定せず,個人の「価値」に沿った行動の活性化を促すアプローチである。このような「ACTの発想」は,症状の原因を突きとめ,その除去や緩和を目指す「医学モデル」と,一見すると相いれない部分があるため,医療領域でACTを活用する際には,両者をクライエントとのやり取りの中で,及び診療チームの中で,どのように「調和」させていくか,「使い手」に工夫が問われることがある。特に「使い手」が,医師や看護師など,医学モデルのもとで診療を行う医療者の場合には,同一人物の中で2つのモデルを使い分ける必要があり,異なる場合にも,医学モデルに基づく多職種との「協働」が必要となるだろう。
こうした中で,本ワークショップでは,精神科医・心療内科医・心理職だけでなく,看護師,理学療法士,作業療法士,薬剤師などACTに馴染みの少ない多職種への入門編として,医学モデルと異なる発想を基盤とする「ACTの視点」を,体験的に学べる機会を提供する。そのため,対象者は,ACTを医療現場でどのように活用できるかイメージが湧かない初学者,うまく使いこなせていないと感じている中級者を主に想定する。なお,教育・産業領域でのACTの活用には触れないが,医療領域以外の多職種協働にも参考にしていただければと考えている。
具体的には,ACTの基礎理論である臨床行動分析(Clinical Behavior Analysis)や関係フレーム理論(Relational Frame Theory; RFT)を概観し,体験的エクササイズの紹介を交えながら「心理的柔軟性(Psychological Flexibility)モデル」をおさらいする。さらには,オーガナイザーが医療領域(精神科,内科,集学的痛みセンターなど)でどのようにACTを活用しているか取り上げ,上述の「調和」のポイントや工夫,多職種「協働」におけるACTの可能性について情報提供を行い,受講者の臨床実践に役立てて頂ければと考えている。

CTワークショップ 10

CBTのための基礎コミュニケーションスキル(ソクラテス式質問法)

ライブ(オンライン)7月10日(土)16:20~19:20

コーディネーター:

堀越 勝

国立精神神経医療研究センター

定員:
50名
受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
精神療法、特に認知行動療法(CBT)を実施する際に使われる技法の中でも、ソクラテス式質問法(問答)は中核的な技法と考えられており、CBTでガイデッドディスカバリーを行う際には必ず用いられる技法である。特定の精神疾患に対するCBTの中には、ソクラテス式質問を中心的な介入方略と位置づけているものもあるなど、CBTを実践するなら知っていなければならない技法だと言っても過言ではない。しかしながら、ソクラテス式の質問技法について、改めて学習しようとすると、意外に「今さら聞けない・・」類のトピックとなっており、学習するチャンスは多くない。それには幾つかの理由がある。まず、海外では、こうした精神療法の基本的なコミュニケーション技法は、専門職の資格取得以前にマスターすべきであり、資格を取得し、専門職として活動し始めた後に再度基本的なスキルを学び直すことが稀であること、また、ソクラテス式質問法には幾つかのスタイルがあり、CBT自体の発達段階に合わせて微妙に変化してきており、CBTを学び始めた時期によってソクラテス式質問についての解釈が微妙に異なるため、ソクラテス式質問法のあるべき姿を特定し難いことも理由として挙げることが出来る。いずれにせよ、CBTの基本技法であるソクラテス式質問法の概念と技法を学び直すことは、CBTスキルの確認、またスキルの質の向上につながることは確かである。本ワークショップでは、ソクラテス式質問法について、もう一度基本概念や技法について復習し、ロールプレイを行いながら使える技法となるように確認していきたい。ソクラテス式の質問を使う際の準備の仕方、また質問の組み立て方などを具体的な形で示し、例を用いて参加者同士で練習する。本ワークショップは、参加型研修であり、オンライン研修の場合であっても、ロールプレイを行う予定である。なるべく実践的な学びの機会となる様に、参加者には、ロールプレイのパートナーの重要な学びの機会を妨げない為にも、エクササイズなどのワークには積極的に参加して頂きたい。

CTワークショップ 11

その時、“対人関係”が動いた!:“ターニング・ポイント”ダラケで学ぶ、実践!対人関係療法(IPT)

ライブ(オンライン)7月10日(土)16:20~19:20

コーディネーター:

宗 未来

東京歯科大学市川総合病院精神科

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy:IPT)は、うつ病治療においてCBTと双璧のEvidence-based psychotherapyである。しかし、その具体的イメージが掴みづらいとの声は多く、十分な普及に至らない一因とも指摘される。本ワークショップでは、あえて深堀りを目指す事例報告とは異なり、国内のIPTerたちが自身の治療場面で経験した、治療が大きく動きをみせた「その時」に集点を当て、その瞬間の治療者の洞察や感動をオモニバス形式で参加者と共有することで、IPTの魅力を互いに学びあう目的で企画された。 IPTは、疾患毎に特異的なフォーマットで治療提供されることの多いCBTとは異なり、多様な疾患に対して同一フォーマットで実施される診断横断型治療である。うつ病、双極性障害、持続性抑うつ障害(気分変調症)、神経性過食症/過食性障害に対する効果に加え、近年はPTSDにおける持続エクスポージャー法(PE)に対する非劣勢が示されるなどの有効性が確認されている。特に、欧州精神医学会(European Psychiatric Association)の治療指針では、慢性うつ病に対してIPTはCBTより高いグレードで推奨されている。 また、不安症へのエクスポージャーの有効性に疑いはないが、IPTはエクスポージャーにのらないケースにおける代替介入としても期待されている。CBTとIPTは二者択一の併行関係ではなく、例えば、OCDやSADへのCBTが奏功して、Y-BOCSやLSAS-Jの点数が大幅に減少しても、背後の家族関係など重要な他者との不和が解消されず、ウェルビーング上の満足に至らないという症例はしばしば実臨床で経験されるが、いわゆる次の一手としてのSequential Intervention としてもしばしば有益であり、その逆もまた然りと考えられる。特に、CBTはアタッチメント問題に困難を抱えているなど、問題解決に向き合う力に欠ける自己志向性の低いケースでは脱落が高いとの報告も認められており、CBTと異なる治療仮説を持つIPTを手札に持つ治療者は、より臨床的に強いと我々は考える。 しかし、国内ではなかなかトレーニングの機会に恵まれないのがIPTの現状である。本ワークショップでは、米国のエキスパートから正式なIPT(IPSRT)のスーパービジョンを受け続けているオーガナイザーを筆頭に、国内のIPT治療者たちが自験例のクライマックス・シーンだけを“おいしいとこ取り”で検討することで、参加者のIPT理解を深める機会としたい。

◆当日の流れ◆
1)10分のおさらいで追いつく“駆け込みIPT講座”(宗)、2)その時、“対人関係”が動いた!クライマックス・シーンの事例報告:①宗:複雑悲嘆の三重苦を伴った過食性障害・身体障害受容に困難を抱えたアンガーバースト、②近藤:うつ病、③利重:トラウマ関連、④片桐:双極性障害、3)我が国におけるIPTの“今”と“未来”(近藤)

CTワークショップ 12

メタ認知療法

ライブ(オンライン)7月10日(土)16:50~19:50 /オンデマンド

コーディネーター:

今井 正司

川村学園女子大学文学部心理学科

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い

メタ認知療法(MCT)は、様々な精神疾患に効果的であることが示されている。これらの効果性に関するエビデンスは蓄積されつつある一方で、その作用機序に関するエビデンスの蓄積は十分であるとはいいがたい。本ワークショップにおいては、メタ認知療法の理論を構成するメタ認知的信念と注意機能のそれぞれのユニットの作用や相互影響性についてエビデンスを蓄積している研究者から話題提供をしていただき、それらの情報を共有することを狙いとしている。

不適応的な対処行動に関するメタ認知的信念(藤島雄麿)
MCTでは, 注意を柔軟に向けられる力である注意機能を養い, 不快な思考や感情に対処せず, そのままにできる状態であるディタッチト・マインドフルネス(DM)を目指す。しかし, 不快な思考や感情をコントロールしようとする動機のもと, 患者が介入に臨んだ場合は, 治療効果が十分に発揮されないことが臨床現場の知見から示唆されている。そのため, 思考抑制や気ぞらしなどの対処行動の動機となる信念への介入の必要性が指摘されてきたが, そのような信念の内容と影響性は不明であった。発表者は, そのようなメタ認知療法の効果を阻害しうる要因を整理し, 注意機能やDM, 臨床症状との関連性, 日常生活下の認知的活動への影響性を調査してきた。本発表では, MCTにおいて,“不適応的な対処行動に関するメタ認知的信念”に介入する意義について議論したい。

調査と実験によるメタ認知モデルの検討(池田寛人)
MCTでは,抑うつを反すうや心配に加え,メタ認知的信念や,注意の問題から理解する。先行研究では特に,反すうとメタ認知的信念の影響性が注目され,抑うつに与える影響性が実証的に示されてきた。発表者は,これまで理論的な理解に留まっていた心配とメタ認知的信念の影響性も踏まえ,心配と反すう,メタ認知的信念,および抑うつの影響関係について検討を行った。また,抑うつ傾向者の心配と反すう,メタ認知的信念,および注意の問題の関連性について整理を行うために,実験を行った。本発表では,上記の研究成果を報告するとともに,抑うつと諸変数の関連について,今後の研究展望とその成果として期待できる臨床応用について議論したい。

社交不安に特化した注意訓練法の開発と評価(富田望)
社交不安症の維持要因には、自己注目や注意バイアスといった注意の問題が指摘されている。発表者は、メタ認知的信念や注意制御の観点から、2種類の注意の問題がどのような関係性にあり、社交不安症状へどのように影響を及ぼしているのかを複数の研究を通して検討してきた。また、社交不安症に対する注意訓練法の介入効果をさらに高めるために、自己注目の改善に特化した注意訓練法を開発し、その効果を検証した。本発表では、上記の研究成果を報告するとともに、脳機能計測や視線計測といった認知神経科学に基づく研究手法をMCTの研究に取り入れることの有用性について議論したい。

CTワークショップ 13

うつの行動活性化-理論と実践-

ライブ(オンライン)7月10日(土)16:50~19:50 /オンデマンド

コーディネーター:

岡本 泰昌

広島大学大学院 精神神経医科学

受講料:
6,000円
企画趣旨・狙い
本ワークショップでは、うつ病の行動活性化に特徴的な行動原理と理論的背景を概説した後で、快活動を標的とした従来の行動活性化だけでなく、受動的回避を標的とした新しい行動活性化についても、基本テクニックと実践のポイントに関してワークなどを通して体験し、学んでいただくことを目的としています。
簡便な快活動を標的とした行動活性化を行い、十分な効果が得られない場合に、もっと個別化した受動的回避を標的とした行動活性化を行うことで、臨床場面での効率的な治療提供が可能になると考えられます。行動活性化は単純な原理や構造であることから、容易に訓練しやすいため、様々な臨床場面で広く普及できる可能性を持っています。本ワークショップが、多くの治療者にとって、行動活性化の的確な理解を促し、うつに苦しむ方々の治療の一助となることを心より期待しています。

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