会長挨拶

第26回日本遺伝子細胞治療学会学術集会-JSGCT2020 会長 米満 吉和

第26回日本遺伝子細胞治療学会学術集会(JSGCT2020)
会長 米満 吉和
九州大学大学院 薬学研究院革新的バイオ医薬創成学・教授

平素は日本遺伝子細胞治療学会(JSGCT)に対しまして、格別の御厚情を賜り、厚く感謝申し上げます。この度、第26回日本遺伝子細胞治療学会学術集会の会長にご推挙頂き、2020年7月13日より15日(3日間)の会期で、福岡の地で開催させて頂くこととなりました。

わが国にとって新しい時代である「令和元年」は、1989年5月に米国で世界初の遺伝子治療がADA欠損症で実施されてちょうど30年目、JSGT(JSGCTの前身)が発足して25年目となります。当初大きな期待とうねりの中で開始された遺伝子治療は、なかなか臨床効果を示せないまま1999年より相次いだペンシルバニア大での死亡例、X-linked SCIDにおける白血病発症という副作用が引き金となり、その後長い冬の時代に突入することとなります。

多くの研究者が遺伝子治療に見切りをつける中、遺伝子治療のポテンシャルを信じて一部の研究者が粘り強く研究を継続した結果、ようやく2017年にRPE65遺伝子治療製剤 (Luxturna®)、翌年にはCAR-T細胞製剤 (Kymriah®)、そして2019年には脊髄性筋萎縮症治療剤 (Zolgensma®)が米国で承認され、今や遺伝子治療製剤は世界中の製薬企業にとって大きな可能性を秘める新剤型として注目されています。そして今後も、遺伝子治療製剤は続々と医療現場のリアルワールドへ投入されてくることになるでしょう。

そのような中、JSGCT2020は令和2年に第26回としての開催となります。まさに、前途洋々の船出とそれを阻む幾多の苦難をくぐり抜け、ようやく希望の光が見え出した最初の四半世紀を終えたばかり。つまり2020年は、JSGCTにとって2nd Quarterの入り口、新たなスタートラインに立つ年となります。

そこで今回、JSGCT2020のメインテーマを「What is the NEXT?」と致しました。ベクター技術は既に十分に成熟しつつありますが、あくまでツールに過ぎません。これまでの「遺伝子を付加する」治療概念から、ゲノム編集などの「遺伝子を治療する」技術突破も実用化に近い段階になりつつあります。遺伝子細胞治療における2nd Quarterの主役になるのは? 特に若手研究者には、是非多くの研究成果を持ち寄って頂きたいと願っております。

JSGCT2020の会期中の博多は博多祇園山笠の真っ盛りであり、最終日早朝4:00には追い山をお楽しみ頂けます。博多の暑い夏に相応しい熱い議論が行われることを、学術集会関係者一同、心より楽しみにしております。