第63回全日本病院学会in静岡
     学会長 土田 博和
(フジ虎ノ門グループ 会長)

第63回全日本病院学会in静岡
学会長 土田 博和
(フジ虎ノ門グループ 会長)

 コロナクライシスで岡山学会を企画・運営されたスタッフの皆さんに改めて敬意を表します。本当にご苦労様でした。来年静岡県で開催される第63回全日本病院学会in静岡 学会長の土田博和です。

 45年前、大学卒後すぐに医局を飛び出し東京で研修・アメリカ遊学後、33才のとき静岡県御殿場市で19床にて開業、医師会活動。その後、病院・福祉施設整備、余暇を利用してアジア北欧研修等を経て現在に至っています。そんな経験の中、余りにも官僚主導的そして、相も変らぬ白い巨塔の枠内にもがいている民間病院の苦悩への改善を目指し、本を書いたり映画を作ったり(もちろん売れませんでしたが・・・)短期間でしたが参議院議員として永田町へ・・・。

 世界に目を移してみると、
 ①医療機関が全て公営に近いヨーロッパの中で高い所得税を払うが、ゆりかごから墓場まで医療・福祉・教育が無料ゆえに、定年後は個々人が毎月使える金額を把握して人生をenjoyしている北欧。一人が受け持つ住民数が決められている総合医(一般内科からお産まで出来る)を通さないと、専門医を受診できないという役割分担が明確に決められ、マイナンバーで病歴や血液データなどがどこの医療施設でも見る事ができ、徹底的に無駄を削っていく。もちろん、県議以下はボランティア。

 ②40年前、上海に1台しかなかった関節鏡を寄贈して手術に出かけたものですが、今や世界最先端の医療機器とIT化で、はるか日本の前を行く中国。飴(経済支援)と鞭(軍事侵攻)でアフリカ・アジア・北朝鮮を支配下に。掛け声だけの日本と違って、医師はもちろん、スタッフ全員もが英語を話せ、多国籍に対応できる通訳を配置し、一病院で数十万人単位の外国人を受け入れるタイ・シンガポール・韓国のメディカルツーリズム・・・。

 ③専門医は病院に属さず自分のクリニックを持ち、オープンシステム(アフィリエイトした病院での手術料金等を自分で自由に請求できる)をとり、免許の取得は大変厳しいが取れば報酬が跳ね上がるアメリカと、ペーパー専門医が生まれる無責任な研修システムゆえに教授と研修医の診療報酬に差がない日本。いずれGAHAなどの超大手外資系IT企業にオンライン診療、AIを駆使したデータ分析などを駆使され、画像等のデータ分析を含め、内科系や離島の医師達が必要ない時代が来るかもしれません。

 さて公的病院が多い我が静岡県に目をやると、県病院会の会合には多くの院長クラスが集い協会紙も定期的に配られますが、県全日病・医療法人協会には数人の医師と事務長だけ。本部の皆さんは本当に頑張っておられますが、医師の矜持が片隅に追いやられた『再診料730円、MRI検査・読影料19000円』のギャップをどう改善していくかも議論して欲しいものです。

 いずれにせよ1/3時代(産まれてくる赤ちゃんが1950年代の1/3、総人口に占める65歳以上が1/3)を、医療に携わる若者たちが鵜飼の鵜にならずに、胸を張って生き抜いていけるよう、色んな職種のスタッフから『プラス思考の面白い発想』を提案・議論できる大会になれば幸いです。是非、第63回全日本病院学会in静岡をよろしくお願いいたします。