第5回日本臨床薬理学会 近畿地方会

ごあいさつ

第5回日本臨床薬理学会近畿地方会開催にあたり

  • 会長

    第5回日本臨床薬理学会近畿地方会 会長
    奈良県立医科大学附属病院 臨床研究センター長
    奈良県立医科大学大学院 臨床実証医学講座 教授
    笠原 正登

このたび、第5回日本臨床薬理学会近畿地方会を奈良で開催させて頂く事になりました。

ここ奈良県は古くから製薬業が盛んです。西暦611年5月5日に推古天皇が薬草を採取する薬狩りを催し,毎年この日を「薬日(くすりび)」と定めたという菟田野(うたの)があります。我が国で製薬メーカーが最も多い奈良県は日本臨床薬理学会近畿地方会開催地としてふさわしい場所であると感じるとともに、本会を主催させて頂くのは大変名誉な事と思っております。

さて近年、臨床研究を取り巻く環境の変化を実感することが多くなりました。特に臨床研究法が研究者に与えたインパクトは大きいものがあります。初めて研究が法律に組み込まれることにより、手順や必須文書等が複雑になるだけでなく「罰金」や「逮捕」などの用語も現実のものになり、研究者は明らかに尻込みをしているように伺えます。このような状況でもやる気のある研究者は必要な条件をクリアしながら研究を進めようとしています。「クオリティーマネジメントはどこまでやれば十分なのか?」や「この程度の危険度でも、本当にそこまでの内容が必要か?」など、研究者の疑問を日々受け止めている皆さんだからこそ、「本当はどうなのか?」「何が正解なのか?」を誰かと確かめ合いたいのではないでしょうか?

今回は、これらの疑問を解決するために「令和の時代に求められる臨床研究のクオリティー~GCPと臨床研究法~」というテーマで開催させていただきます。臨床研究法の考え方や進め方、データマネジメントやモニタリングに求められる必要十分条件などのテーマをはじめ、公立大学における新薬開発の現状と問題点、支援センターのあるべき姿など治験から臨床試験、疫学研究に至るまでの支援の実際と考え方について幅広い議論をしたいと思います。

会場は2020年4月に開業しました「奈良県コンベンションセンター」です。令和の学会にふさわしい新しい雰囲気の中で、我が国の臨床研究を発展させるために、質の高い研究を維持しながらも、研究者や支援者の負担を少しでも軽くできるような研究支援について考えましょう。少しでも多くの方にお越しいただき、有意義な討論が出来れば幸いです。