第8回日本がんサポーティブケア学会学術集会

未来の支持緩和医療可能性潜在領域

誰しも小さい頃、大人たちに痛いの痛いの飛んでけ~とおまじないをしてもらったり、寝付けない時にとんとんと優しく体をタップしてもらったり、むせた時に背中を叩いてもらったり、あるいはさすってもらったりした記憶があるのではないでしょうか。不思議と辛さや痛みは飛んでいくのを感じたのを思い出しませんか?あれは何だったのでしょうか?

医療と言えばMedicine、即ちすぐに思い浮かぶのは薬です。漢字にすると草かんむりに楽と書くことからも、草で楽になる・・即ち薬草に端を発しています。北米原住民のMedicine manは呪術や祈祷で人の心に寄り添いました。一方、外傷や腫瘍に対して、人類は手術をするようになりましたが、合併症で命を奪われること多数であったため、それを安全に行うために消毒法の開発、麻酔法の確立、また医療の効果を科学的に検証するための方法論の確立にも力が注がれ、人々は論理的にも理解のしやすい近代医学の恩恵に浴することになりました。病原体や病態の解明は進み、疾患の診断手段の向上、診断基準の整備、そして疾患を治癒や軽快に導く手段も日進月歩の世の中になりました。

ウイルスや細菌はもとより腫瘍も、おまじないや摩ることで飛んで行ったりしませんが、病気の苦しみを感じ取る側のセンサーはどうでしょうか?そのメカニズムを知ると言うこと(正しい知識を得ることや教育)や、辛さを聞いて把握してもらうこと(レポーティングシステム)、また自分自身の生活を営めること(リハビリやエクササイズ)、病気はさておき素晴らしいものに出会って感動すること(自然や芸術や人との出会い)で、随分異なるのではないでしょうか?そこで、今回の学術集会では、学会場のスキマ(廊下やホワイエ)、時間のスキマ(幕間や休憩時間)に、辛さを軽減させてくれる可能性があるものを散りばめてみました。支持医療の温故知新における未来の開拓分野がそこにあるかもしれないと考えてのことです。皆様も、そんなことを考えながらこの3日間をお過ごしくださると幸いです。

学会期間中の体験コーナー

1)芸術の力

① 音楽

  • 休憩時間に自由に弾けるストリートキーボードを館内に設置します
    (6/22 16:00-17:00, 6/23 AMコーヒータイムのみ)
  • 6/22 全員懇親会オープニング時にキーボード生演奏
    (がんフォト*がんストーリー専属作曲家 巻島ハーロー氏)
  • 天平ホール前の廊下で大会長およびその仲間による音楽ビデオを供覧します
  • トーク「音楽の力」・・・幕間スライド(by マエストロ田久保裕一氏)(予定)

② 美術

  • 2Fホワイエとその周辺で、市民による癒しの絵画展示、美術作家の中村儒纏さんによる和紙を使ったインスタレーション作品展示
  • 1Fエントランス近傍にて、美術作家による紙漉きの作品制作紹介ビデオ(by 中村さん)および、患者さんとその支援団体(がんフォト*がんストーリー、代表)によるがんサバイバーの皆さんの写真ビデオ供覧

▶「春に −奈良に降り注ぐ光−」

2)教育の力

トーク「教育(初等教育)と心の健康」・・幕間スライド(予定)
(by 早川恵子先生 東北元気キャンプ&カウンセリング研修センター学舎ブレイブ)

3)自然の力

トーク「森林浴の力」・・・幕間スライド(by 道民の森ボランティアガイド 大堀尚己氏)

4)人の力

「人と人のネットワーキングの力」・・幕間スライド&展示ブース
(by ISPACOS:International Society of Patient-Centered Oncology Science 患者にやさしいがん医療サイエンス、順天堂大学研究ブランディング事業)

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