協会会長挨拶
会長神野 正博
(社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 理事長)
第68回全日本病院学会 in 徳島の開催にあたり、謹んでご挨拶申し上げます。
徳島で全日本病院学会が開催されるのは、第48回大会が開かれた2006年以来、実に21年ぶりとなります。この21年間、日本の医療を取り巻く環境は大きく変化しました。そして今、私たちは2040年に向けて、さらに大きな社会構造の転換に直面しています。
少子高齢化という言葉だけでは語り尽くせません。とりわけ、生産年齢人口が急速に減少する一方で、85歳以上人口が増加していくことは、医療・介護を必要とする人が増えるにもかかわらず、それを支える人材が極端に不足していくという、極めて大きな構造的課題を意味します。
こうした時代に、私たちは医療を一括りにして「守る」と考えるのではなく、「守るべき医療」「減らすべき医療」「投資すべき医療」を明確に分けて議論しなければなりません。守るべきものは、現在の病院数や病床数、これまでの仕組みそのものではありません。世界に誇るべき日本の医療制度、そして必要な時に必要な医療を受けられるという国民の安心です。そのためには、むしろ私たち病院そのものが変わらなければなりません。
新たな地域医療構想も、そのための重要な一歩です。病院がそれぞれの役割を改めて問い直し、機能を分担し、連携することによって地域医療を守っていく。さらに2028年に向けては、人口20万~30万人に1か所とも想定される地域の拠点病院をどのように位置づけ、どのような機能を集約するのかについても、早急に具体的な議論を進める必要があります。
徳島には、私たちが学ぶべき変革の歴史があります。たび重なる吉野川の水害によって稲作に適さなかった土地で、先人たちは従来の営みに固執することなく、藍づくりへと活路を求め、日本有数の藍の産地を築き上げました。そこには、真面目さ、勤勉さ、商人気質、そして仕事にも遊びにも全力で取り組む徳島の人々のバイタリティがあったのでしょう。
いつまでも過去の成功にしがみつくのではなく、変化を見極め、新しい価値を創り出す。その精神は、まさに今の医療に求められているものです。
本学会のテーマ「共に創る医療の未来 ―藍より青く、持続可能な地域医療へ―」には、これまでの医療をただ守るのではなく、それを超える新しい地域医療を皆で創り出そうという強い意思を感じます。
田蒔正治学会長、永廣信治実行委員長をはじめ、全日本病院協会徳島県支部、開催にご尽力いただく皆様に心より敬意と感謝を申し上げます。
21年ぶりの徳島の地で、全国から集う皆様とともに、何を守り、何を変え、何に投資するのかを語り合い、藍より青い地域医療の未来を、徳島から共に描いていこうではありませんか。