当番世話人挨拶

この度、第6回腹腔鏡下胆道手術研究会を仙台でお世話をさせていただくことになりました。
我々東北大学旧第一外科学教室は故槇哲夫名誉教授の時代から、胆石の成因に関する研究を続けてまいりました。中でも色素胆石の成因に関する基礎的研究では、ビリルビンカルシウム石生成に関する細菌感染とビリルビン脱抱合の機序に始まり、凝集におけるムチンの架橋作用、黒色石形成における胆汁酸の組成変化と成因、また総胆管結石や肝内結石症発生に関する病態生理学的なアプローチなど幅広い研究を行って参りました。

昨今、胆石症の治療は良性疾患であるがゆえに、胆石の成因を考慮した治療法の選択が軽視され、対症的な治療が行われる傾向にあります。しかし胆石の治療はその長期的な成績が重要であり、5年後あるいは10年後に再発しない治療法を議論しなければならず、その姿勢は腹腔鏡下手術であっても変えてはならないものだと思っております。また本年4月の診療報酬改定では、先天性胆道拡張症に対する腹腔鏡下手術が収載されました。先天性胆管拡張手術は術後の肝内結石症の発生頻度が高いため、その再建には注意が必要です。そこで今回は、胆石症の治療そして胆石を作らない胆道再建に焦点を当て、議論を深めていただこうと思っております。もちろん胆道悪性疾患に対する腹腔鏡下手術に関しても、その適応や技術的な課題に関して広く討論していただきたいと思っています。

胆道再建のトレーニングに関しては、東北大学先端医療トレーニングセンターでのハンズオンの模様を会場に中継し、そのトレーニング方法に関してリアルタイムに議論をしていただこうと考えております。大変寒い時期ではありますが、是非仙台にご参集頂き、熱い討論を交わしていただきたいと思っております。何卒よろしくお願い申し上げます。

内藤 剛
東北大学大学院外科病態学消化器外科学分野