ご挨拶
会長野上 恵嗣
(奈良県立医科大学 小児科学講座 教授)
このたび、第49回日本血栓止血学会学術集会を2027年6月10日(木)から12日(土)までの3日間、奈良の地において開催させていただくこととなりました。奈良県立医科大学小児科学教室が主催を務めますことを、大変光栄に存じます。奈良での本学術集会の開催は、2016年以来、約11年ぶりとなります。
今回のテーマは、「未来を創る血栓止血学 ― 基礎と臨床の対話から ―」としました。血栓止血学は、分子機構の解明に基づく基礎研究と、患者さん一人ひとりに向き合う臨床実践とが相互に影響し合うことで発展してきた学問領域です。近年、革新的な治療法や新規モダリティの登場により、本分野は大きな転換期を迎えています。こうした時代においてこそ、基礎と臨床が相互に問いかけ合い、その知見を往還させる「対話」が、未来の医療を創る原動力になると考えます。本学術集会では、若手研究者・臨床医の育成、基礎研究の魅力の再認識、そして臨床から基礎へ、基礎から臨床へとつながるトランスレーショナルリサーチを重要な柱として掲げ、世代や専門領域を超えた活発な議論の場を提供したいと考えます。
ポスターには、奈良という土地の歴史と本学術集会の理念を重ね合わせたモチーフを取り入れました。古来より薬草・生薬として用いられてきたスイカズラを題材とし、その蔦をDNAの二重螺旋、さらには血管にも見立てました。これは、古代から受け継がれてきた医療の知恵と、現代の科学的医療が連続していることを象徴するとともに、過去から現在、そして未来へと受け継がれていく医療者の情熱の「DNA」を表現したものです。また、デザインの随所には奈良を想起させる要素を散りばめ、「ここから始まる」という意味を込めた日の出を描くことで、本学術集会が未来への新たな一歩となることを願っております。
奈良は、日本の医療・薬学の原点ともいえる地であり、静謐な歴史と文化に包まれた環境は、学術的議論を深めるのに最適な場です。会期にあたる初夏の奈良は、新緑が美しく、穏やかな気候のもとで、東大寺や春日大社、ならまちといった歴史的景観とともに、ゆったりとした時間をお過ごしいただけます。
本学術集会が、過去から現在、そして未来へとつながる血栓止血学の発展に寄与し、新たな連携と発想を生み出す場となることを心より願っております。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。