会長挨拶
Welcome Message

第63回日本小児循環器学会総会・学術集会
会長 笠原真悟
岡山大学学術研究院 医歯薬学域 心臓血管外科学 教授
第63回日本小児循環器学会総会・学術集会を、2027年6月24日(木)から26日(土)までの3日間、長野県・軽井沢の軽井沢プリンスホテル ウエストにて開催させていただきます。
岡山大学として本学会を主催するのは、前教授である佐野俊二先生が2014年に第50回大会を岡山で開催されて以来となります。佐野先生の世界的なご活躍もあり、当時は28名もの海外招請者を迎えた国際色豊かな学術集会となりました。また、一つのテーマを外科・内科、さらには多職種の視点から深く掘り下げるという斬新な構成は、多くの参加者に強い印象を残しました。
私自身、高校時代にはサッカーに打ち込む一方で、友人に誘われて山登りにも親しみました。遠くに見えている山頂は確かにそこにあるのに、なかなかたどり着けない。登れば登るほど、その険しさと、自分自身の未熟さを思い知らされました。しかし同時に、それは単なる自分との戦いではなく、仲間との共同作業であることも学びました。励まし合い、ときに支え合いながら、一歩ずつ前へ進んでいく。その過程の中で、本当に大切なのは「誰が先頭に立つか」ではなく、「誰とともに登るか」であることを実感しました。
医療もまた、まさに同じだと感じています。小児循環器医療は、一人の力で完結するものではありません。外科医、内科医、集中治療医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、リハビリスタッフ、そして患者さんとご家族を含め、多くの人が同じ頂を目指して歩んでいます。時に困難な局面に立ち向かいながらも、支え合い、知恵を出し合い、共に前進していく。その積み重ねの中からこそ、本当に強いチームが生まれます。
私は、突出したリーダーとは決して個人の力だけで生まれるものではないと考えています。優れた仲間がいるからこそ、優れたリーダーが育ちます。そして、そのリーダーがまた新たな仲間を育てていく。こうした循環こそが、医療の未来を支えるのだと思います。
その思いを込めて、今回の学会テーマを「惜陰と協心 — Seize the Day, Hearts United」といたしました。
時間は限られています。光陰矢の如し――目標が定まったなら、まず一歩を踏み出すことが大切です。日々の努力に無駄なことは何ひとつありません。そして、自分自身の成果だけではなく、仲間と力を合わせ、社会全体の利益のために歩むことが、結果として最も大きな成長につながると信じています。
この思いを象徴するものとして、長野の名峰 槍ヶ岳 の頂を目指し、多職種の仲間たちが手を取り合いながら登り続ける姿をポスターに表現しました。それはまさに、私たちが日々向き合っている小児循環器医療そのものの姿です。
小児循環器を取り巻く環境は、出生率の低下、胎児診断率の向上、小児期治療成績の改善による成人期到達例の増加など、この数年で大きく変化しています。しかし、先天性心疾患を抱える子どもたちの命を守り、その人生に寄り添い続けるという私たちの使命は、時代が変わっても決して変わりません。
小児期から成人期、そしてその先の人生までを見据え、医療者だけでなく、患者さん、ご家族、社会全体が手を取り合いながら支えていく。その覚悟と希望を、この学会の熱い議論の中で改めて共有したいと思います。
さらに今回は、JCK Asian Pacific Heart Forum 2027も同時開催いたします。アジア各国はもちろん、北米、ニュージーランドやオーストラリアからの参加も予定しており、より広い視野で未来の小児循環器医療を語り合う国際的な場となることを期待しています。
開催地を軽井沢としたのは、私の出身県であるというご縁に加え、日本の中心に近いこの地に全国から多くの皆さまに集っていただきたいという思いがあるからです。そして、熱い議論の合間に、豊かな自然の中で少しでも心のゆとりを感じていただきたいという願いも込めています。
学術的な刺激に満ち、そして笑顔あふれる学会にしたいと考えております。患者さんの未来のために、そして私たち自身の未来のために、ぜひ軽井沢でお会いしましょう。
皆さまのご参加と温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。
