ごあいさつ

安藤 忠夫

第35回日本臨床内科医学会 
学会長 安藤 忠夫

2020年3月11日の新型コロナウイルス感染症パンデミック宣言から私たちの生活様式は大きく変化しました。東京2020オリンピック、そして福島での第34回日本臨床内科医学会の1年延期に伴って、愛知県が主管する第35回医学会も2022年に延期となりました。

学会場で開催できるのか、WEB開催となるのか不確定の状況のなかで準備を進めてまいりましたが、第35回医学会のメインテーマは「Clinical inertiaからの脱却~合併症の予防を目指して」としました。かかりつけ医宣言をしている日本臨床内科医会にとっては重要な課題と考えたからです。

2001年にフリップスがClinical inertia の警鐘を鳴らしてから、すでに20年が経過しています。彼が、高血圧・脂質異常症・糖尿病を管理することで、①合併症が予防できるというエビデンスが示されている、②治療ゴールは明瞭に定義され、③効果的な治療法は広く利用できる状態であり、④治療ガイドラインは広く周知されてきた、と述べています。

この20年間で、さらに多くのエビデンスが生まれ、蓄積され、治療ゴールは刷新され、ガイドラインは改訂を重ね、そして新たな治療薬が生み出されてきました。この進歩に対して私たちは常にupdateしていく努力が要求されています。

メインテーマを決定するにあたって、常に脳裏にあったのがメタボリックドミノの図であります。生活習慣から始まるドミノは、肥満、インスリン抵抗性、そして高血圧、高血糖、脂質異常症のメタボリックシンドロームの3枚のコマに繋がり、その先にCKD、心血管疾患の非感染性疾患へと至ります。「そのドミノを倒すな」をサブテーマとし、2003年にメタボリックドミノを提案された慶應義塾大学教授の伊藤裕先生に基調講演をお願い致しました。

メインテーマに従って、シンポジウムの1つ目は「Clinical inertiaからの脱却」、2つ目は「肥満を巡って」、3つ目は「心不全パンデミック~在宅末期診療から看取りまで」、そして4つ目は感染性疾患の「COVID-19/インフルエンザ」であります。特別講演では、大阪大学名誉教授の宮坂昌之先生、大阪大学教授の忽那賢志先生をお招きします。

愛知県での日臨内医学会の開催は今回が3回目となります。30年前の1992年に第7回、15年前の2007年に第21回の日臨内医学会を開催して、それから15年がたって3回目の開催となります。

第35回日本臨床内科医学会は、2022年9月18日~19日、名古屋国際会議場にて開催いたします。平成の終わりの2019年4月28日に第36回日臨内総会で名古屋にお越し頂きましたが、今回も、是非ご参加を頂きますよう、お待ちしています。