ご挨拶

第61回日本アルコール・アディクション医学会学術総会
会長 白坂 知彦
(手稲渓仁会病院 精神保健科)

 このたび、2026年10月9日(金)より11日(日)までの3日間、札幌コンベンションセンターにて、アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会を開催いたします。第61回日本アルコール・アディクション医学会大会長を拝命いたしました、手稲渓仁会病院 精神保健科の白坂知彦と申します。

 北海道での開催は2019年以来、7年振りとなります。また、本会は2年ぶりの第48回日本アルコール・嗜癖関連問題学会(芦澤健会長)との合同開催として企画検討を進めております。さらに、学会期間中の10月10日には、東京慈恵会医科大学精神医学講座・平川病院の宮田久嗣先生を大会長、博友会平岸病院・札幌医科大学名誉教授の齋藤利和先生を顧問として、The 1st Congress of Asia-Pacific Society of Harm Reduction and Addictionとしてアジア・環太平洋領域のハームリダクションをテーマとした国際大会も同時開催されます。

 2026年度学術総会は「引き継がれる依存症治療~変わっていくこと、変わらずにいたいこと~」をテーマといたしました。

 依存症治療の現場は、科学的知見や社会の価値観の変化とともに、日々進化を続けています。診断基準や治療法、支援制度、地域連携のあり方など、時代とともに「変わっていくこと」は数多くあります。一方で、長年にわたり培われてきた臨床の知恵や、回復に携わる支援者の姿勢、そして当事者の語りがもつ力は、今なお治療の核を成しています。日本の依存症研究・臨床は、今まさに、過去に依存症治療を築き上げてきた、先代の知恵を新しい世代が更に実らせていく転換期を迎えています。本大会では、時代や世代ととともに「変わっていくこと」と「変わらずにいたいこと」を丁寧に見つめ直し、未来の依存症医療と支援のあり方を共に考えてまいります。本学術総会では、全国から基礎・心理・医療・福祉・司法・教育・当事者支援など多領域の専門職が一堂に会し、実践と研究の橋渡しを図る貴重な機会となると確信しております。

第48回日本アルコール・嗜癖関連問題学会
会長 芦澤 健
(千歳病院)

 この度、第48回日本アルコール・嗜癖関連問題学会を2026年 10月9日(金)~11日(日)の 3日間、札幌コンベンションセンターにて開催させて頂くこととなりました。第61回日本アルコール・アディクション医学会学術総会(会長 白坂知彦)と共に2026年アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会として、またThe 1st Congress of Asia-Pacific Society of Harm Reduction and Addiction(会長 宮田久嗣、顧問 齋藤利和)と共同開催いたします。我が国の依存症・アディクション問題は多岐にわたります。話題になることや、時事問題となることも少なくありません。様々な分野や領域の知の集結が必要となってきています。

 飲酒問題は健康障害としてすそ野が広がる方向にあります。アルコール依存症を断酒という取り組みだけでなく、減酒が目標となる選択が出てきました。また高齢者の飲酒問題、特に未治療の依存症、認知症の併発をどう対応するかが課題です。薬物では、繁華街で若者が処方・市販薬過剰摂取している情報がSNS等によって拡散し、地方都市でも同様の過剰摂取を繰り返す問題が出現してきました。ネット上で様々な薬物の購入が可能となっています。SNS等による情報拡散が薬物問題の傾向を変えていくかもしれません。オンラインゲームの問題が、若年者や発達障害と関連して新たなアディクションとして対応が迫れています。ギャンブルについてはパチンコ・スロットからネット上の競馬・競輪等が主体となってきています。さらに犯罪であるオンラインカジノが拡がりを見せ、時事問題化しています。ギャンブルの問題は、四六時中アクセスできる携帯によるネットを用いた射幸心を大いに刺激する形態となったため大きく変貌していくのかもしれません。最近の依存症・アディクション問題は従来の問題もありますが、新たな形としてネットやSNSとリンクした形で急速に広がっていくかもしれません。

 これらの問題は喫緊の課題と考えられます。社会がどのように対応していくか、治療、その後のサポートなどの問題が山積みです。そこで知の集結を鑑み、三学会の共同開催をすることとなりました。我々の学会は主に臨床の最前線にいる医療・心理・福祉等の治療者を中心に当事者との連携をしている学術団体です。全国からの多数の参加者が予定されています。さらに他の2学会からの参加から依存症・アディクションの学術的な最先端の研究が報告され、アジア・環太平洋からの参加や発表を募ります。三学会共同開催により、基礎医学・心理・医療・福祉・司法・教育・当事者支援など多領域の多職種が学際的な実践と研究を共有する実りある場となり、新たな方向性が得られればと考えています。

The 1st Congress of Asia-Pacific Society of Harm Reduction and Addiction
会長 宮田 久嗣
(東京慈恵会医科大学 精神医学講座、平川病院)

顧問 齋藤 利和
(博友会平岸病院 名誉院長、札幌医科大学 名誉教授)

 2026年10月9日(金)から10月11日(日)の3日間、The 1st Congress of Asia-Pacific Society of Harm Reduction and Addiction(第1回 アジア環太平洋嗜癖とハームリダクション学会学術総会)が、第61回日本アルコール・アディクション医学会学術総会(白坂知彦会長)、第48回日本アルコール嗜癖関連問題学会(芦澤 健会長)との同時開催で札幌コンベンションセンターにおいて開催されます。

 Asia-Pacific Society of Harm Reduction and Addictionは、アジア環太平洋地域におけるハームリダクション活動や研究の推進を目的として2026年11月に設立された新たな学会です。ご存知のようにハームリダクション(HR)は、1970年代のヨーロッパでヘロイン乱用者が不潔な注射器を使い回すことでHIVが蔓延したことから、清潔な注射器を配布してHIV感染に歯止めをかけたことで知られています。その後、HRはさまざまに形を変えつつ、その基本的なコンセプトである人権尊重、人間理解、支援実践、偏見排除、問題解決などが評価され、近年は、WHOを始めとして多くの国でアディクションの予防、支援、治療に採用されています。一方で、HRはそれぞれの国や地域における物質使用の状況、文化・宗教的背景、司法・行政のあり方などの影響を受けるため、全世界共通のHRというものは存在しません。これまでは、HRはその先進国である欧米に目が行きがちでしたが、アジア環太平洋の諸国や地域でも、それぞれの事情や風土に応じた取り組みがなされています。たとえば、タイでは、仏教国であることから、その理念を活かしてHRを推進する祭日を作ったり、僧侶がHR活動を熱心に行っているそうです。このような現状を受けて、Asia-Pacific Society of Harm Reduction and Addictionの設立にいたりました。2026年の学術総会が第1回目の開催となります。アジアの隣人たちと、アジアのニーズに合ったHRのあり方について議論をかわし、新しい知識を得ることができればと願っています。