第65回全日本病院学会in京都

協会会長挨拶

公益社団法人 全日本病院協会
会長 猪口 雄二

(医療法人財団寿康会 寿康会病院 理事長)

 第65回 全日本病院学会in京都を迎えるにあたり、ご挨拶申し上げます。

 この数年、新型コロナウイルスという百年に一度とも言われる新興感染症への対応に、全ての医療機関・医療従事者が尽力いたしました。2023年5月には新型コロナウイルスが感染症法上5類感染症となり、徐々に平時の医療提供体制に戻すための段階が進められています。そして、今般のコロナ禍により、改めて浮き彫りになった医療提供体制における課題の解決に向けて、有事の際の医療提供体制を確保するための感染症法の改正が行われ、2024年度からの第8次医療計画に新興感染症対応が盛り込まれました。

 また、時を同じくして、2024年度には、経営状況を大きく左右する医療・介護・障害のトリプル改定もあり、更には医師の働き方改革がスタートします。医師の働き方改革については、全ての医療機関に関わる課題ですが、会員の多くを占める民間中小病院においては、宿日直許可の取得や36協定の締結、100時間を超える時間外勤務医師への面接指導の義務化など施行までに準備すべき事項が多々あります。

 そして、今回の学会のテーマが「地域医療構想前夜」とされておりますように、2025年を見据えて始まった地域医療構想は、各地域の実情に応じた形での取り組みが進められており、今後は2040年を視野に入れた新たな地域医療構想の策定の議論が開始されます。

 加えて、昨今の物価高騰、慢性的な人材不足、医療DXへの対応など、病院を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっております。

 このような状況の中で、清水鴻一郎学会長のもと、全日本病院学会が史上初めて京都府において「第65回全日本病院学会in京都」として開催されます。本学会のサブテーマが「~嵐の中の航海 羅針盤を求めて~」とされておりますとおり、これからの日本の医療をどのように考えていくべきなのか、そして自院の舵取りをどのようにすればよいのか、多くの会員病院が悩まれているのではないかと推察いたします。本学会において、自院の方向性について最適解を見出すためのヒントとなる多種多様な議論が行われ、参加される全ての皆様方にとって実りある学会となることを期待しております。

 最後に、本学会の開催に向けて準備を進めていただいている清水鴻一郎学会長、武田隆久実行委員長をはじめ、全日本病院協会京都府支部の皆様のご苦労に深甚なる感謝を申し上げるとともに、皆様方の多数のご参加を心よりお待ちしております。

先頭に戻る