第33回 日本エイズ学会学術集会・総会 [The 33rd Annual Meeting of the Japanese Society for AIDS Research] 第33回 日本エイズ学会学術集会・総会 [The 33rd Annual Meeting of the Japanese Society for AIDS Research]

主催者挨拶

第33回日本エイズ学会学術集会・総会

会長 松下 修三

熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター

この度、私こと 松下修三は、第33回日本エイズ学会学術集会・総会(2019年11月27-29日)の会長の任を賜ることとなりました。熊本での開催は、2013年の第27回大会(満屋会長)以来、6年ぶりの開催となります。日本エイズ学会の学術集会・総会は、ヒト免疫不全ウイルス (HIV-1) 感染症/エイズと対峙し日々奮闘努力している感染者、研究者、医師、看護師、社会活動家の皆様が一同に会し、最新の研究成果の発表、情報の共有を通じて、HIV-1感染症/AIDSの克服をめざし、更に着実で大きな歩を進めるための重要な場として30年以上継続開催されています。

HIV-1 感染症/エイズが初めて報告されて37 年余りが過ぎました。この間、抗ウイルス薬の多剤併用療法(ART)の飛躍的進歩により、HIV-1 感染症/エイズを取り巻く状況は、大きく変貌しました。ARTの早期導入によって、HIV感染症の生命予後が著しく改善されたばかりでなく、パートナーへの感染予防効果も明らかとなりました。このように早期診断・早期治療開始の重要性が指摘されているにもかかわらず、我が国の新規患者数は、エイズ発症者とHIV感染者を合わせて、毎年約1400名というレベルで推移し、エイズ発症例の減少もみられていません。UNAIDS のFactsheet 2018によると、世界でも全感染者の59%にARTが普及率したと報告されていますが、新規感染例は180万人と前年と同じで、目標値には遠く及びません。国際エイズ学会(IAS)のDr. Bekkerらは、ARTの拡大だけでは、「HIV-1 感染症/エイズを克服する」という目標が達成できない現状を報告し、さらなる感染予防・治療の研究が不可欠であるとしています。すなわち、ウイルス残存のメカニズムやリザバーの定量、これらを標的とした新しい治療法など、「治癒」には至らないまでも長期間服薬を中断できる新規治療法の開発研究が今まで以上に求められています。また、既に有効性が証明されている暴露前予防投与(PrEP)の効果的な導入方法や、予防ワクチンを含めた他の方法と組み合わせる予防戦略など、今後重要となる臨床・基礎・社会分野の新たな研究テーマが次々と明確になってきています。このような状況を踏まえ、学会のテーマを『HIVサイエンス新時代: HIV Science New Age』といたしました。

ARTの導入によってHIV-1 感染症/エイズは死に至る病から、一生治療を必要とするものの慢性疾患と位置づけることも可能になりました。しかしながら、新規感染の持続による感染者総数の増加や、抗ウイルス薬や慢性合併症をめぐる諸問題等まだまだ課題が山積しております。この世界の状況を変えうるのは、これまでとは異なる新たな視点での研究であると確信しています。第33回日本エイズ学会は、早期診断と治療開始を柱とする全員治療を推進する一方、臨床・基礎・社会それぞれの分野で、新時代を切り開くHIV Scienceを結集して、HIV-1 感染症/エイズを、更に一歩も二歩も追いつめる方策を見いだすための学術集会にして参りたいと考えております。

また、熊本は2016年の震災以降、一丸となって復興に向けて頑張っています。学会が開催される11月はポスターのデザインにもなっている、熊本の県木であるイチョウの木も見事に色づく時期です。是非、観光にも足を運んでいただければ幸いです。

皆様の御参加を心よりお待ちいたしております。