日野原賞

中山 元
中山 元 先生
筑波大学大学院 人間総合科学研究科

 この度はこのような栄誉ある賞にご選出くださり、誠にありがとうございます。大変光栄に存じます。本研究をご評価くださいました審査員の先生方、研究にご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げます。また、本研究は、日本プライマリ・ケア連合学会の研究助成なくしては遂行できませんでした。そのご支援に深く感謝いたします。

 本研究は、介護を必要とする患者さんに加えて、その家族介護者に対しても、医療・介護職による支援をより良いものにしたいということが動機で始まったものです。プライマリ・ケアにおいて「患者経験」という概念が注目されていることにヒントを得て、家族介護者の経験を測定する尺度は存在するのだろうか?と考えたのが出発点でした(ここでいう経験とは、専門職から提供されるケアを家族介護者が経験する事象のことを指しています)。その中でIEXPAC CAREGIVERSという尺度に出会い、本研究で、多職種から患者および家族介護者に対して提供されるケアの質を、家族介護者の視点で評価する尺度の日本語版を開発するに至りました。一定の信頼性と妥当性が担保された本尺度は、我が国のプライマリ・ケアや地域包括ケアの文脈においても広く利用できるものであると信じております。今後は、本尺度を臨床現場における一つの質評価指標として利用していただけるような取り組みと、研究への活用に精進して参りたいと存じます。

 最後になりましたが、いつも熱心にご指導くださるメンターの舛本祥一先生と春田淳志先生、当教室主宰の前野哲博先生、教室の皆様に心より御礼申し上げます。また、患者家族をみることの大切さを教えてくださった松下明先生と、かつて共に学びご指導いただいた方々に感謝申し上げます。いつも支えてくれる家族にも感謝いたします。本当にありがとうございました。

若手研究優秀賞

山入端 浩之
山入端 浩之 先生
ファミリークリニックきたなかぐすく

 この度は若手研究優秀賞という素晴らしい賞を頂き、大変ありがとうございます。本研究の表題は「胃瘻造設後3年以上経過した重度認知症高齢者の家族がたどる心理的変遷」で、胃瘻造設後長期になるとご家族にいろいろな変化が見られた経験があり、本研究ではそれを表現できないか、またその深層にはどういう心理的な動きがあるのかを探るべく、始めた研究でした。

 研究者としては駆け出しの身ですので、本研究の完成までには様々な方にご協力、ご支援を頂きました。まずは、この紙面では伝えられませんが、研究にご協力いただいたご家族の皆様です。心理的な変化ということで内面をさらけ出すことになるため心理的負担もあったかと思いますが、中には「お話できて、自分の気持ちを整理できました」とインタビューによる良い効果をお示し下さった方もいました。何等かの形で御礼の連絡をしようと考えています。

 そして、共同研究者の児玉久仁子先生、涌波満先生、関谷麦穂さんには、多大な時間と労力をかけていただき、一緒に研究を作り上げて頂きました。私としては初めての原著論文を目指した研究ですので、まず「質的研究って何?」というところから始まり、苦難の連続でした。本研究は共同研究者の方々がいなければ決して到達できなかった内容と結果であり、それが今回の若手研究優秀賞に繋がったことは、共同研究者の方々と一緒に乗り越えた苦労が報われた気がしております。この紙面を借りて、改めて感謝申し上げます。

 また、本研究のために多大な時間をプライベートの中で捻出しました。その点は家族の協力なしにはできなかったことは間違いありません。個人的なことで恐縮ですが、ここで感謝を言わせてください。ありがとう。

 最後に、この成果を今後原著論文としてまとめ、分かりやすく皆様の元へ送り出せるよう努めたいと思います。その際はぜひ、ご参照いただけますと幸いです。