第50回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会

会長挨拶

会長

この度、第50回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会を開催させて頂くことになりました。半世紀の節目となる学術集会を、大阪で開催させていただくこと大変光栄に存じます。

当初は、2020年3月6日(金)・7日(土)の開催を計画させていただいておりましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止対策としてのイベント自粛の影響で、同年9月10日・11日に延期しておりましたが、第2波の流行状況を鑑み、2021年5月29日(土)・30日(日)に再度変更させていただきましたので、ご報告申し上げます。Web開催等の開催方法も検討しましたが、第50回の記念の総会・学術集会であり、可能であれば対面での開催形式が望ましいと考え、理事長・三鴨廣繁先生および次回、次次回を担当予定の総会長にも相談を行い、再延期の運びとなりました。

嫌気性菌研究は新時代を迎えています。近年、嫌気性菌は感染症のみならずサルコイドーシスや炎症性腸疾患をはじめとした様々な病態へ関与することが示唆されており、遺伝子研究の発展により病原因子や免疫機序が解明されつつあります。

嫌気性菌の検査はその検体の採取・搬送の手順にはじまり、検査室での培養の煩雑さも伴い、施設間の差異や海外からの報告との検出率の差の大きさを指摘されることがありました。また、嫌気性培養加算の増額にもかかわらずその実施コストは依然として大きく、積極的な分離同定が制限を受ける現状もあります。しかしながら、近年の質量分析器や遺伝子研究の発展により早期の菌種同定が実現されつつあり、“面倒な”嫌気性菌検査も新展開をはじめました。

その治療においては、抗嫌気活性を有する抗菌薬は限られるものの、ここ10年間で数種の抗菌薬が加わり、新規抗体製剤も上市されて、治療選択肢が広がりました。検査方法の発展もあり、これまでは培養・同定がされない中で、推定のもとで治療が行われていたのに対して、適切な診断に基づいた治療を実行できる環境が実現されつつあります。一方で、AMR時代に嫌気性菌も例外ではなく、薬剤耐性を考慮した嫌気性菌感染症に対する抗菌薬適正使用も求められています。このように先人の知恵や経験により嫌気性菌感染症の研究は発展を遂げてきましたが、まだまだ多くの未解決課題も残され、さらなる研究の発展が期待される領域です。

本会のテーマを「承前啓後 嫌気性菌感染症の未来を切り拓く」としました。諸先輩方が作り上げてきた本邦の嫌気性菌感染症に関する基礎・臨床研究の歴史、伝統を次の50年に引き継ぎ、令和の時代に更に発展させる節目の学術集会にできればと考えています。

第50回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会

会長 掛屋 弘

(大阪市立大学大学院 医学研究科 臨床感染制御学 教授)