協会会長挨拶

公益社団法人 全日本病院協会
会長 神野 正博
(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院
理事長)
第66回 全日本病院学会 in 北海道の開催にあたり、謹んでご挨拶申し上げます。
2025年――本年は、現行の地域医療構想において、国が目標として掲げてきた病床機能の必要量が一つの節目を迎える年であります。国全体としては一定の成果を見せているものの、私たちが直面するのは、むしろこれからの未来です。2040年という、さらに人口構造の変化が進む時代に向け、私たちは今、新たな地域医療構想の策定という大きな岐路に立たされています。
2040年には、生産年齢人口の大幅な減少と、高齢者人口のさらなる増加という、これまでにない厳しい現実が待ち受けています。こうした中で、持続可能な医療提供体制を築いていくためには、単に医療構想を見直すだけでなく、診療報酬制度や人材確保、さらには医療DXの推進を含む、あらゆる制度や仕組みそのものに対し、抜本的な改革が求められているのです。
一方、私たちが日々直面している現場の課題も極めて深刻です。物価の高騰、慢性的な人手不足と人件費の増加、医療デジタル化への対応など、病院経営を取り巻く環境はこれまで以上に厳しさを増しています。
このような時代の転換点にあって、2015年以来10年ぶりとなる本学会が、北海道という地にて、齊藤 晋 学会長のもと盛大に開催されます。テーマは「温故知新 ~その先の、道へ。北海道から新風を~」。古きをたずねて新しきを知り、未来を切り拓こうとする強い意志が、この言葉には込められています。
北海道は、当協会において会員病院数が全国で最も多い地域であり、その広大な大地とフロンティア精神は、まさに今、日本の医療に必要とされる“新たな風”を吹き込む力を秘めています。本学会では、その精神を体現するような、多彩で魅力的なシンポジウムやセッションが多数企画されております。そこには、今後の医療を担う私たちにとって、多くの示唆と勇気を与えてくれる議論が広がることでしょう。
ご参加いただくすべての皆様にとって、実り多き、そして希望に満ちた学びの場となることを、心より願っております。
結びにあたり、本学会の開催に向けて長きにわたりご尽力をいただいております齊藤 晋 学会長、三井 慎也 実行委員長をはじめ、全日本病院協会北海道支部の皆様の並々ならぬご労苦に深く感謝申し上げます。そして、全国の仲間とともにこの学びの場を共有すべく、多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。