第14回医療の質・安全学会学術集会

大会長ご挨拶

第14回医療の質・安全学会学術集会にあたって

中島 和江
大阪大学 教授
大阪大学医学部附属病院 病院長補佐
中央クオリティマネジメント部 部長
大会長:中島 和江

このたび、第14回医療の質・安全学会学術集会を2019年11月29日(金)、30日(土)の2日間、国立京都国際会館で開催させていただくこととなりました。

今回のテーマは、「レジリエンスの探求~つながり、共創、イノベーション~(Enabling Resilient Health Care through Connection, Co-creation and Innovation)」といたしました。レジリエンスとは、システムの特性を表す用語で、柔軟性、弾力性、しなやかさを意味します。

我が国のこれまでの「医療の質・安全」は、患者安全、特に急性期病院におけるインシデント対策を中心に取り組まれてきました。この問題を解決するには、さらなるチャレンジが必要です。その一方で、急速に進む高齢化社会、医療の細分化、テクノロジーの進歩、国民のニーズの多様化など、変化の激しい社会経済環境の中で、限られたリソースを用いて、患者さんを中心とした質の高い医療や介護を提供することが求められています。

これを実現するためには、「なぜ失敗したのか」ということだけでなく、「擾乱と制約のある環境において、どのように成功しているのか(意図したアウトカムを得ているのか)」ということについても目を向ける必要があります。また、既存の枠組みの中での努力、マニュアルどおりの行動だけでなく、所属の境目を越えた協働、ヘルスケアシステムのあらゆるレベルでの自律的で柔軟なパフォーマンスが必要になります。

そこで、本学術集会では、レジリエントなヘルスケアシステムがどのようにすれば実現できるのかについて、サイエンス、デザイン、マネジメント、政策、教育等、さまざまな角度から議論したいと考えております。また、多分野にまたがる参加者間の相互作用を通じて、研究や実践につながる創発的なひらめきや、新たな価値やパラダイムが生まれることを期待しています。

海外からは6名のゲストスピーカーをお招きしています。レジリエンス・エンジニアリング理論の世界的権威であるエリック・ホルナゲル先生(デンマーク)には特別講演「レジリエント・ヘルスケア・マネジメント」について、また、国際オリンピック委員会の薬剤師で、2020東京オリンピック・パラリンピックの準備にも関わっておられるマーク・スチュワート先生(イギリス)には「オリンピック大会中の選手に対する医学的・薬学的ケアを改善する」を、学術雑誌BMJの医療の質改善担当エディターであるキャット・チャットフィールド先生(イギリス)には「医療は日々改善:実践し論文化しよう」を、地域医療従事者への実践的教育のパイオニアであるリネ・トムセン先生(ノルウエ―)には「在宅ケアにおける系統的観察とコミュニケーションアルゴリズム」を、台湾ジョイントコミッションのリーダーである王抜群先生には「『患者参加』のイノベーション:協働型意思決定の全国キャンペーン」を、国レベルでの質測定・改善の専門家であるヨハン・トール先生(スウェーデン)には「レジストリーを用いた医療の質改善~スウェーデンの経験から」を、ご講演いただきます。

また、国内招待講演の5名の先生方は、つながり、共創、イノベーションを通じて、ヘルスケアシステムや社会システムにレジリエンスを実装し、人々の幸福の実現に貢献し、さらなるチャレンジを続けておられる産学の各専門領域の第一人者の方々です。澤芳樹先生(大阪大学)には「循環器医療のFuturability~リスクを超えて未来医療に挑戦する~」を、坂村健先生(東洋大学)には「多様な社会を支えるIoT技術」を、小縣方樹先生(東日本旅客鉄道株式会社)には「JR東日本のオープン・イノベーション」を、武部貴則先生(横浜市立大学、東京医科歯科大学)には「次世代医療の展望 – Medicine for Humanity」、土井善晴先生(おいしいもの研究所)には「食事と健康と幸福」をお話しいただきます。

適塾セミナーでは、広く医療の質・安全の実践や研究に必要な専門的知識を学べるよう、10人のエキスパートの先生方に、行動経済学、組織の危機管理、病院建築、航空会社の質向上へのチャレンジ、自然言語処理、臨床研究、実践の科学化、質研究の手法、協働型意思決定、急性呼吸不全について、ご講演いただきます。

シンポジウム・パネルディスカッションは42セッション(学術集会企画21、学会委員会/ワーキング企画5、提案型公募企画16)を企画しました。これらのセッションでは、協働、連携、共有、応援、多職種、チーム、患者の力、学生、ネットワーク、つながり、デザイン、コミュニケーション、イノベーション、レジリエンス、Safety-II、組織マネジメント、群衆マネジメント、想定外(災害・事故)、働き方改革、電子カルテ、トレーサビリティ、AI、改善、情報、介護、転倒転落、鎮静、栄養管理、リハビリテーション、教育などがキーワードとなっています。

一般演題については、皆様の熱意を反映して多くの応募をいただき、過去最多となる553題(口演213題、ポスター340題)を採択いたしました。

ポスター発表については、今年は第1日目(29日)の午後の早い時間に行うことにいたしました。他に平行するセッションは設けておりませんので、多くの方々に参加していただき、顔を近づけての活発な議論が行われることを期待しています。また、ポスター発表のうち活動報告245題については、ベストプラクティス賞の選考対象となります。

今回は、発表内容について、5つのストリーム「医療安全を向上する実践と研究」、「変容する医療への先行的マネジメント」、「質改善とイノベーション」、「つながりを通じた将来性の開拓」、「患者と医療者による協働型医療」を設けました。ストリームの内訳は、シンポジウム・パネルディスカッションでは、それぞれ29%、26%、19%、17%、10%と、一般演題では67%、5%、15%、7%、5%となっています。

また、日本専門医機構共通講習(対象講演:医療倫理2セッション、医療安全1セッション)、日本医師会生涯教育制度(同:医療倫理2セッション、医療安全1セッション)、日本口腔外科学会専門医制度等(同:1セッション)、歯科外来診療環境体制加算(外来環)における医療事故対策等の医療安全対策に係る研修(同:1セッション)、病院薬学認定薬剤師制度、研修認定薬剤師制度、臨床工学技士認定制度、医療情報技師資格更新制度、上級医療情報技師資格更新制度の単位またはポイントを取得することができます。

附設展示には、医薬品、医療機器、情報システム、鉄道など多様な専門性を有する企業58社が参加し、うち23社が安全を支える技術展にエントリーしております。体験型学習などを通して共に学ぶ会場も用意いたしました。医療の質・安全に関係する企業との連携の機会にご活用ください。

全員懇親会は、学会の会員、非会員を問わず、気楽に参加し、交流を深めていただきたく思います。コミュニケーション・デザインの専門家である蓮行先生のリードのもとで、京都のお料理と文化を味わえる、楽しい催しを企画しております。

世界的観光地である京都での開催です。学術集会と併せて、古都の晩秋をお楽しみください。多くの皆様のご参加を心からお待ちしております。

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