会長挨拶

日本区域麻酔学会 第7回学術集会会長

一般社団法人日本ペインクリニック学会第54回学術集会

会長 川真田 樹人

(信州大学医学部麻酔蘇生学教室)

このたび、2020年7月9日(木)〜11日(土)の3日間にわたり、長野市のビッグハット・若里市民文化ホールにおいて、一般社団法人日本ペインクリニック学会第54回学術集会を開催させていただくことを大変光栄に存じます。また2020年は東京オリンピックも開催される日本にとって記念の年で、この時に本学会の開催の機会をいただき感謝するとともに、責任の重さを痛感しています。

この半世紀で、X線透視下神経ブロック、超音波ガイド下神経ブロック、CTガイド下神経ブロック、神経破壊薬から高周波熱凝固、脊髄刺激療法など、本邦におけるペインクリニック診療は大変進歩しました。一方、痛み研究も末梢から脊髄へ、脊髄から脳へと進歩し、神経とグリアや免疫系とのカップリングなど、新たな概念による痛みの理解が進んでいます。そこで、今回のテーマを「広げる:ペインクリニックからペインメディスンへ」とさせていただき、今後、ペインクリニック領域の臨床・研究・教育をさらに広げていくために、私たちは何をすべきかを考える契機になればと願っています。ペインクリニックの診療の幅を広げるために、痒み感覚や運動療法の基礎と臨床についての講演やシンポジウムを組み、ペインクリニック領域を超えた議論をしていただくことにしました。また、グリア研究をはじめとする神経科学の講演やシンポジウムから、ペインクリニック研究の進むべき方向性についても考えてみたいと思います。他方、日本ペインクリニック学会の特徴の一つとして、麻酔科医の会員が多くを占めることが挙げられます。麻酔科医の長期予後改善の取り組みとして、急性術後痛から慢性術後痛への予防と治療は重要なテーマです。この分野でも講演とシンポジウムを行い、麻酔科医として今後、どう取り組むべきか、その方向性を模索したいと思います。一方、慢性痛に対するオピオイド治療は、治療の幅が広がるものの、医療だけでなく社会に対するオピオイドの弊害を予防する必要があります。アメリカや諸外国におけるオピオイドクライシスの実情と正常化への取り組みを通じて、わが国におけるオピオイド使用についても考えてみたいと思います。

7月はじめの長野は過ごしやすい時期です。蕎麦、山菜、野菜、フルーツなど、山の幸を満喫いただけます。そして、長野県には数多くの日本酒蔵元やワイナリー、ビール・ウイスキー醸造所がありますので、ぜひご堪能下さい。善光寺、戸隠、小布施、松代などの歴史ある街並みや美しい自然に触れることができます。少し足を延ばしてもらうと、数多くの名湯にも入れます。是非、学会の合間や学会後に楽しんで下さい。空気と水の美味しい長野で皆様のお越しをお待ちしています。