学会長挨拶

石川隆志

第54回日本作業療法学会
学会長:石川隆志 (秋田大学 大学院医学系研究科保健学専攻)

作業の魅力・作業の力~暮らしを支える作業療法の効果~

第54回日本作業療法学会は,2020(令和2)年東京オリンピック・パラリンピックの余韻の中で開催されます.東京オリンピックの基本コンセプトの一つに「多様性と調和」が掲げられていますが,作業療法の対象者も多様な疾患,症状,背景を有しており,作業療法士には,医学の知識と医療技術を活用して,対象者の心身機能を回復あるいは維持,向上することのみならず,その人固有の暮らしを重視し,社会との調和が図られるように支援することが求められています.

日本作業療法士協会では2018(平成30)年に協会の作業療法の定義を改定し,作業療法士がより作業に焦点を当てた治療,指導,援助を行う専門職であることを明示しました.作業に焦点を当てた実践には,心身機能の回復,維持,あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と,その作業自体を練習し,できるようにしていくという目的としての作業の利用,およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれます.近年,医療介護連携や地域包括ケアシステムにおいて,対象者の作業に注目し,活動と参加の拡大に貢献する作業療法士への期待が高まっており,これらの期待に応えられる質の高い作業療法実践が求められています.作業療法士は日々の臨床を通じて,作業の魅力や作業のもつ力を実感していると思いますが,作業療法士の臨床的判断と根拠に基づいた実践内容を公表し,その効果を蓄積し,検証する努力を継続することが作業療法の学術的基盤をより強固にしていくと考えます.

第54回日本作業療法学会ではこのような背景をふまえ,学会テーマを「作業の魅力・作業の力~暮らしを支える作業療法の効果~」としました.対象者の機能障害を改善・軽減する効果,活動や参加を促進させる効果,対象者の暮らしを支え地域生活を継続させる効果,QOLを向上させる効果などに関する研究を中心に,作業療法の効果を裏づける基礎研究,作業療法の評価や教育に関する研究などの演題を募集します.また,基調講演やシンポジウム,セミナーもテーマに関連する企画や,参加者に興味をもっていただける企画を検討しています.充実した学術大会となるよう,多くの演題登録と学会参加をお待ちしています.皆様のご協力をよろしくお願い致します.