第53回日本作業療法学会

学会長挨拶

東登志夫

第53回日本作業療法学会

学会長 東 登志夫

(長崎大学 生命医科学域(保健学系))

日本に作業療法士が誕生してから約半世紀を経て,作業療法士の職務内容は多様化し,その活動の場も様々な領域に拡がってきました.このような背景に対応すべく,日本作業療法士協会では,2018年5月に33年ぶりに「作業療法の定義」を改定しました.また,2020年4月からは,養成教育において新しい指定規則が適応となります.このように作業療法を取り巻く情勢は,今まさに転換期に来ていると言っても過言ではありません.

一方,これまでの作業療法では,患者一人一人との関わりを重視する観点から,事例報告を大切にしてきました.その結果,学術誌「作業療法」への投稿論文や本学会の演題においても,単一事例報告の占める割合が非常に高い傾向にあります.もちろん,これからも事例報告の重要性に変わりはありません.しかしながら,エビデンスに基づく医療(Evidence-Based Medicine: EBM)が推奨されるようになってから30年以上が経過し,医療分野全体においてEBMに基づいた診療ガイドラインの作成が推進されるようになってきています.したがって,今後は,これまで以上にエビデンスレベルの高い方法論を用いた臨床研究に取り組んでいくなど,作業療法の学術的根拠の基盤整備に向けた努力を行っていく必要があります.

そこで第53回を迎える今回の学会テーマは,本学会が,我が国の作業療法研究のレベルアップに向けた転換点となるように,との願いを込めて,「作業療法研究のターニングポイント(The Turning Point in Occupational Therapy Research)」とさせていただきました.この機会に,作業療法の効果検証に向けた実験デザインの臨床研究に挑戦していただき,その成果を報告してください.もちろん,これまで通り学術的に意義のある事例報告,作業療法独自の評価法や新しい医療・福祉機器の開発,神経生理学的手法や運動学的手法を用いた基礎研究,作業療法教育に関する演題なども広く募集いたします.基調講演やシンポジウムに関しても,学会テーマに合わせて,ご参加いただいた方々の刺激になるようなものを企画しております.是非,多くの方々にご参加いただき,活発な議論ができる学会としたいと考えております.皆様のご協力をお願い申し上げます.