第18回認知療法・認知行動療法研修会(ワークショップ)

第17回日本認知療法・認知行動療法学会では、様々なカテゴリーにおいて、必要な基礎知識の普及と情報の共有を目的とした「第18回認知療法・認知行動療法研修会(ワークショップ)」を開催いたします。
このプログラムには分野を問わず多くの方々にお集まりいただきたく、ご案内をいたします。

今年度、本学会は「第14回日本うつ病学会総会」との同時開催となります。
日本認知療法・認知行動療法学会の会員でない方、またワークショップ単独での受講者も歓迎しております。

こちらの研修会(ワークショップ)への受講申込はオンラインによる事前登録制です。定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。
お席の空き状況によっては当日のご参加も受け付けておりますが、先着順となりますので、お早めの事前申込みをお勧めいたします。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

参加費

1セッションあたり8,000円
(※WS1のみ、合同大会参加者:10,000円、合同大会不参加者:15,000円)

※事前に15,000円でお申込みされ、当日合同大会へ参加申込みをされた場合、5,000円の返金はいたしません。

参加登録方法

  • 下記の『事前参加登録』ボタンをクリックしてください。
  • 受付フォームが開きますので、必要事項を入力してお申込みください。

※オンライン事前参加登録申込のみでは正式登録とはなりません。参加費の入金をもって完了となります。

※ワークショップの参加のみの登録も可能です。

参加費の支払いについて

銀行振り込みでお願いいたします。

追加登録方法

「マイページ」にログインしていただき、追加登録ボタンをクリックしてください。
受付フォームより追加セッションをお選びいただけます。

当日参加方法

事前登録締切り後は、受講日当日に会場内の参加受付で登録を行ってください。
お支払いは現金のみとなります。

下記ボタンよりお申し込みいただけます。
ワークショップ事前受講申込

MD/CT合同ワークショップ1

2017年7月23日(日) 9:00~16:00

うつ病ガイドラインについてより深く学習する-EGUIDE講習会より-

オーガナイザー:
渡邊 衡一郎 杏林大学医学部精神神経科学教室

趣旨・狙い

研修コースへの参加者を募集いたします。日本うつ病学会の気分障害の治療ガイドライン作成委員会では、ガイドラインの普及・教育・検証活動として、EGUIDEプロジェクトを行っています。EGUIDEプロジェクトでは、ガイドラインの講習を行い、精神科医の処方行動の変化を検討する研究を行っています。本講習は、講義とグループディスカッションからなるもので受講には研究参加が必須となるため、誰でも参加できるものではありませんでした。そこで、研究参加しなくても受講できる講習を本大会にて開催することにいたしました。精神科医はもちろんのこと、コメディカルの医療従事者や基礎研究者や製薬企業の関係者など興味ある方は、広く受講していただきたいと考えております。

募集期間

2017年5月17日(水)~2017年6月21日(水)

研修コース要項

日 時:
7月23日(日)9:00~16:00(途中休憩あり)
会 場:
未定
参加費:
大会参加者:10,000円
研修コースのみの参加者:15,000円
募集人数:
78名(定員になり次第締め切ります)

【参加者が事前に準備するもの】
「うつ病治療ガイドライン(3,800円税別)」。当日も販売していますので、購入可能です。

申込方法

研修コースへの参加には、事前の申込が必要です。

研修コース内容

講義

治療計画の策定:
小笠原 一能 名古屋大学
軽 症:
坪井 貴嗣 杏林大学
中等症・重症:
中村 敏範 信州大学
精神病性:
伊賀 淳一 愛媛大学
児童思春期:
宇佐美 政英 国府台病院
睡 眠:
降籏 隆二 日本大学

グループディスカッション講師

稲垣 貴彦
滋賀県立精神医療センター
岩本 邦弘
名古屋大学
勝元 榮一
かつもとメンタルクリニック
高江洲 義和
東京医科大学
田形 弘美
東邦大学
杉山 暢宏
信州大学
根本 清貴
筑波大学
橋本 直樹
北海道大学
橋本 亮太
大阪大学
藤城 弘樹
名古屋大学
村岡 寛之
東京女子医科大学
山田  恒
兵庫医科大学

MD/CT合同ワークショップ2

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

マインドフルネス認知療法 -体験を通して概念を知る-

オーガナイザー:
佐渡 充洋 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室

趣旨・狙い

医療をはじめ、ビジネス、教育の現場などで、「マインドフルネス」という言葉が急速に認知されつつある。マインドフルネスを取り入れた医療的な介入には様々なものがあるが、精神医学や臨床心理学の領域では、マインドフルネスと認知行動療法の手法が統合された「マインドフルネス認知療法」が最も馴染みのある介入技法かもしれない。マインドフルネス認知療法とは、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」と定義されるマインドフルネスの技法を用いることで、不安や抑うつの原因となる思考の反芻を抑制し、気分の改善をはかる精神療法のひとつである。
マインドフルネス認知療法のセッションでは、瞑想やヨガといったマインドフルネスの技法を中心に練習していくが、通常は12人程度の集団で、1回2時間のセッションを合計8回実施する。この集団精神療法の前半では、呼吸や体の感覚に注意を向け、そのままそこに注意をとどめることから訓練を開始し、後半では、思考や気分をそのままとらえる「脱中心化」の技法を身に付けていく。従来の認知行動療法が認知の変容を積極的に扱うのに対して、マインドフルネス認知療法では、思考をそのままとらえるだけで、認知の修正を積極的に扱うわけではない。しかし、どちらの精神療法でも「脱中心化」が治療上重要な役割を果たしている点が、共通点としてあげられる。
マインドフルネス認知療法において中核的な役割を担うマインドフルネスについては、近年、その認知度の向上に伴い、関連書籍も数多く出版されてきている。よって、それらを通じて、マインドフルネスに対する理解を深めることが可能となってきている。しかし、その本質が「実践を通じた気づき」にある以上、体験の伴わない理解だけでは不十分なのもまた事実である。
そこで、このワークショップでは、参加者に様々な瞑想のエクササイズを実際に体験してもらい、その体験を参加者や講師との間で共有していく。こうした「実践を通した気づき」のプロセスから、マインドフルネスそのものへの理解を深めていく。さらには、こうした体験と講義などから、マインドフルネスのどのような点がうつや不安といった精神症状の改善に効果を発揮するのかといった、精神療法における効果発現の機序についても理解を深めていく予定である。

MD/CT合同ワークショップ3

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

うつ病の行動活性化入門

オーガナイザー:
岡本 泰昌 広島大学大学院医歯薬保健学研究院精神神経医科学

趣旨・狙い

本ワークショップでは、うつ病の行動活性化に特徴的な行動原理と理論的背景を概説した後で、快活動を標的とした従来の行動活性化だけでなく、受動的回避を標的とした新しい行動活性化についても、基本テクニックと実践のポイントに関してロールプレイなどの体験を通じて学んで頂ければと思います。簡便な快活動を標的とした行動活性化を行い、十分な効果が得られない場合に、もっと個別化した受動的回避を標的とした行動活性化を行うことで、臨床場面での効率的な治療提供が可能になると考えられます。行動活性化は、うつ病を克服するための強力な方法です。また、行動活性化は単純な原理や構造であることから、容易に訓練しやすいため、様々な臨床場面で広く普及できる可能性を持っています。本ワークショップが、多くの治療者にとって、行動活性化の的確な理解を促し、うつに苦しむ方々の治療の一助となることを心より期待しています。

MD/CT合同ワークショップ4

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

職域メンタルヘルス対応に必要な3つの臨床スキルと簡易型CBT
~面接指導と保健指導を究める!~

オーガナイザー:
宇都宮 健輔 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター(客員研究員)

趣旨・狙い

職域メンタルヘルスでは、企業のストレスチェックが法制化され、高ストレス者やメンタルヘルス不調者への個別対応の重要性が高まっている。しかしながら、職域のメンタルヘルス対応は実務的にも非常に難しい。その理由を、以下の2点から説明させていただく。1点目は、NIOSHの職業性ストレスモデルからもわかるように、1) 仕事のストレス要因、2) 仕事外の要因、3) 緩衝要因、4) 個人要因、5) 心身のストレス反応などを複合的に吟味・検討する必要があり、その原因探究や事例理解が非常に複雑になるためである。2点目として、職域のメンタルヘルス対応では、一見矛盾した“疾病性”(「病状・体調」に関すること[主治医側の視点])と“事例性”(「仕事」に関すること[会社側の視点])の両方の問題点を同時に加味・調整しながら、これらの問題を解決していく必要があるからである。

ストレスチェック制度は、個人要因、仕事外の要因を除く上記1) 3) 5) について問診を行い、高ストレスの判定かつ面接の申し出があった労働者に対して産業医及び医師が“面接指導”を実施し、早期に“事後措置”(例えば、業務調整・就業制限等の職場環境調整、ストレスに関する保健指導[ストレス保健指導]等、病院・専門機関への受診指導)へと繋げる仕組みが特色の1つである。特に、ストレス保健指導については『簡易型CBT』のスキルや方法がとても役に立つ。簡易型CBTとは、ストレスへの気づきと対処の総称で、より少ないマンパワー(例えば、ガイドブック・webの利用)で効果のあるCBTを提供できるアプローチのことである。

今回、私たちは“面接指導”および“ストレス保健指導”の両者に焦点をあて、その体系的かつ基本的な知識・スキルの習得を目指すことを目標とする。以下、具体的な項目を示すので参照いただきたい。

<面接指導のポイント>
3つの臨床スキルとその流れ(面談→判断→連携)について解説する[約1H]

  • 面談スキル(例:メンタルヘルス問診, 職域のアジェンダ設定, 非言語及び言語コミュニケーション)
  • 判断スキル(例:疾病性と事例性の相違点及び関係性, 事後措置の判断)
  • 連携スキル(例:主治医との連携, 職場(会社)との連携)

<ストレス保健指導のポイント>
ガイドブック等を用いて簡易型CBTの基本スキルの演習を行う[約2H]

  • ストレスへの気づき(例:心理教育, セルフモニタリング)
  • ストレスへの対処(例:行動活性化, 認知再構成法, 問題解決技法, アサーション)

本ワークショップは、ストレスチェックを主体に職域のメンタルヘルス対応全般において理解・応用可能な内容となっている。職域メンタルヘルスに従事している産業医や産業保健スタッフの皆さん、また産業精神保健(医学)の臨床への理解を深めたいと考えている精神科医や医療スタッフの皆さんにもぜひとも受講いただきたい。

MD/CT合同ワークショップ5

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

不眠の認知行動療法

オーガナイザー:
渡辺 範雄 京都大学

趣旨・狙い

わが国の不眠症の時点有病率は成人で約20%とされ、様々な体や心の疾患と併存してお互いにとっての誘発・増悪・維持因子となります。
私たちのグループでは、不眠症に対する認知行動療法を、特に薬物治療後も不眠が残存したうつ病患者に対して、その効果を無作為割り付け対照試験で検討しました。結果としてこの治療は、不眠に対してもうつに対しても臨床的・統計学的有意に良い効果をもたらすことが分かり、またQOL・費用対効果費も有意に優れていることを確かめました。
このワークショップでは不眠の評価法や成り立ち、不眠の認知行動療法の治療要素当の総論、不眠の認知行動モデル、睡眠日記、睡眠衛生教育、睡眠スケジューリングといった治療技法の各論までを紹介します。これらは単なる講義にとどまらず、いかに患者さんのモチベーションを上げるか、治療効果を維持するかといった実践的技術に関して、ロールプレイなどの体験を通じて学んでいただきます。

MD/CT合同ワークショップ6

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

複雑事例を通して学ぶ自殺予防のエッセンシャル

オーガナイザー:
大塚 耕太郎 岩手医科大学医学部災害・地域精神医学講座

趣旨・狙い

自殺と精神保健の関連は密接であり、自殺対策基本法・大綱において医療・保健・福祉専門職の自殺予防対策への関与が求められています。本研修会の対象は、専門職・対人支援職で、自殺のリスクの高い複雑事例を、多職種グループにより、10エッセンシャルズという教育モジュールを用いて多面的に検討します。本研修会は4年目となりますが、新規事例を用いて行われます。

MD/CT合同ワークショップ7

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

認知行動療法の導入に活かす動機づけ面接法

オーガナイザー:
加濃 正人 新中川病院

趣旨・狙い

動機づけ面接法は、来談者中心的要素と目標指向的要素を併せ持った面接のスタイルです。物質使用障害への効果研究から生まれ、各種治療の開始や継続に難色を示す来談者への動機づけにも有効性が示されています。来談者が皆さんの前に現れるとき、認知行動療法を受けることについて十分な動機を持っているとは限りません。本WSでは、そのような治療面接の導入を想定して、動機づけ面接法の原理と基本技法を学んでいただきます。

MD/CT合同ワークショップ8

2017年7月23日(日) 9:00~12:00

まずはここから:強迫性障害に対する認知行動療法-曝露反応妨害法を中心として-

オーガナイザー:
堀越  勝 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター

趣旨・狙い

強迫性障害(または強迫症)(Obsessive-Compulsive Disorder; OCD)は、強迫観念に伴い喚起される不安、または不安に対する儀式的行為(強迫行為)が長時間にわたり過剰になることで、日常生活に支障を来す疾患です。強迫性障害の治療には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と、曝露反応妨害法(Exposure Response Prevention; ERP)を中心とする認知行動療法の併用が推奨されています。
強迫性障害の認知行動療法では、患者やそのご家族、治療者(または担当セラピスト)が強迫性障害の治療に一緒に取り組むことが大変重要です。そのため、治療への十分な動機づけを行い、患者との関係性を構築しながら、患者やそのご家族に強迫性障害や曝露反応妨害法への理解を深めてもらうことが欠かせません。
本ワークショップでは、はじめに強迫性障害の症状や治療に関する概論の他、最新の知見や今後の動向などについてご紹介します。次に、強迫性障害と曝露反応妨害法の心理教育について、実際に私たちが認知行動療法プログラムで使用しているツールを用いて演習を交えながら解説します。最後に模擬症例に沿って不安階層表の作成や曝露反応妨害法の課題設定を行います。全ての演習において、「押す」、「交渉する」、「突き放す」治療者3モードを柔軟に使い分け、最終的には患者自身が曝露反応妨害法の課題に取り組んでいけるような働きかけを行います。これらの演習を通して、心理教育を円滑に進めるためのポイントや、曝露反応妨害法を効果的に進めるためのポイントを学んで頂くことを目指しています。
今回は、強迫性障害に対する認知行動療法プログラム全体の流れや、強迫タイプ別の曝露反応妨害法実施例に関するデモンストレーションビデオを豊富に用意しました。本ワークショップは強迫性障害に関心のある方や、曝露反応妨害法を始めたばかりの方を対象にしていますが、強迫性障害の症例を多くご担当されている方のご参加もお待ちしております。明日からの臨床現場で活用できるようなスキルを習得して頂けるように、本ワークショップはより実践的な参加方研修として進める予定です。

MD/CT合同ワークショップ9

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

認知療法・認知行動療法の第1歩

オーガナイザー:
大野  裕 大野研究所

趣旨・狙い

認知療法・認知行動療法に対する関心は高いが、それだけに誤解されることも少なくない。例えば、認知行動療法は考え方のクセを変えるアプローチであると言われることがあるが、これは必ずしも正しくない。認知行動療法は問題解決的アプローチであり、考えを修正するのは目的ではなく、問題に対処するための手段である。また、認知ばかりに目を向けて相談者の人となりを理解することを怠ったり、人間的で支持的な関係性に目が向かなくなったりすることもある。本ワークショップでは、こうしたことを含めて、認知行動療法で誤解されやすい点に触れつつ、認知行動療法のエッセンスについて紹介することにしたい。
本ワークショップでは、認知行動療法の基本を理解するために、認知行動療法の質を評価するために国際的に使われている認知行動療法尺度(Cognitive Therapy Scale)について解説し、それに基づいて、認知行動療法で重視されるソクラテス的問答や協働的経験主義について研修する。続いて、認知行動療法の基本的な面接構造である導入パート、相談・対処パート、終結パートについて動画やロールプレイを織り込みながら研修することにする。
導入パートでは、気分をチェックして前回のセッションのポイントと前回のセッション以降の生活のなかで起きた重要な出来事、そしてホームワークを振り返り、アジェンダを設定する。ちなみに、アジェンダがスキルではなく、患者が解決しなくてはならない心理的課題に関連した具体的な出来事である。
相談・対処パートでは、患者の心理的課題に関連した認知または行動に焦点を当てながら、アジェンダ(現実の問題)に対処するのに適したスキルを柔軟に選択し、患者が問題に取り組むのを手助けして、そこで使ったスキルについて簡単に説明(心理教育)を行う。
最後に終結パートに5分から10分を使って、セッション全体を振り返り、話し合った内容に関連したホームワークを決め、セッション全体に対して患者からフィードバックを得る。

【参考文献】
大野裕、田中克俊:保健、医療、福祉、教育にいかす簡易的認知行動療法実践マニュアル、きずな出版(近刊)(当日は本書の関連部部のコピーを配布します)

MD/CT合同ワークショップ10

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

メタ認知療法とアクセプタンス&コミットメント・セラピーの適用の実際

オーガナイザー:
熊野 宏昭 早稲田大学人間科学学術院

趣旨・狙い

本ワークショップでは、メタ認知療法(MCT)とアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の臨床現場での使い分けなどについて、2人の若手実践家によるケース報告などを交えながら、受講者の臨床実践に役立つ情報を提供したい。
MCTでは、自動思考やスキーマなどを生み出す認知プロセスに注目し、そのプロセスに大きな影響を与える要因に介入することで、うつや不安などの精神障害の解決を図る。その際に注目する病理的な認知プロセスは、注意認知症候群(CAS)と呼ばれており、それは、反すう・心配などの反復的思考、能動的な注意バイアスである脅威モニタリング、思考抑制や回避行動などの役に立たない対処行動の3つから構成されている。一方、CASに影響を与える要因としては、能動的な注意制御の機能不全と、CASに対するメタ認知的信念の2つが挙げられる。能動的注意制御の改善法は、自己注目を減らし注意制御の柔軟性を高めるための注意訓練(ATT)、思考と現実が区別されない対象モードでの認知プロセスであるCASとは対照的に、メタ認知的気づきが十分に働くメタ認知モードでの認知プロセスであるディタッチト・マインドフルネス(DM)の体験的理解、注意を分割しながら現実を偏りなく捉える状況への再注意法(SAR)の3つで構成される。メタ認知的信念とは、認知プロセスを能動的にモニタリングしコントロールする方法についての信念であり、この信念の内容を変容することによって、CASを低減しDMが生起しやすくすることを目指していく。
一方、ACTとは、行動分析学の発展の中から生まれてきた行動療法的な介入体系であり、認知を変容しない認知行動療法と言えばピッタリである。ACTでは、6つの病理的な行動プロセスを低減し、6つの健康的な行動プロセスが生起することを目指していくが、その内、4つの病理的な行動プロセスがCASと大きく重なり(行動療法の用語では、機能的に等価な部分が大きく)、4つの健康的な行動プロセスがATT・DM・SARと重なっている。病理的プロセスでは、「体験の回避」が役に立たない対処行動、「認知的フュージョン」と「過去と未来の優位」が反すうと心配、「概念化された自己」が脅威モニタリングと重なっており、健康的プロセスでは、「アクセプタンス」と「脱フュージョン」がDM、「今この瞬間との接触」がATT、「文脈としての自己」がSARと重なりが大きい。
MCTとACTにおいて、病理的プロセスのケースフォーミュレーションにも、それに基づく介入法にも機能的に等価な部分が大きいことは、大変興味深いことであり理論的な考察を深めることも重要である。一方、本ワークショップでは、演者3名が実際に両技法を用いてきた経験を題材にしながら、臨床現場で「新世代の認知行動療法」を適用する際のコツについて理解を深めることを目標にしたい。

MD/CT合同ワークショップ11

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

弁証法的行動療法とマインドフルネス:衝動的な問題行動やうつに対するマインドフルネス6つのスキルを学ぶ

オーガナイザー:
石井 朝子 ヒューマンウェルネスインスティテュート

趣旨・狙い

弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT、以下DBTとする)は、境界性パーソナリティ障害が有するリストカットや過量服薬などの自己破壊的行動に対する多くの実証的研究報告がある、認知行動療法的アプローチの包括的な精神療法である。
DBTは、「マインドフルネス」、「効果的な対人関係スキル」、「情動調節スキル」、「苦悩耐性スキル」の4つのモジュールから構成されている。近年、うつ病や発達障害にも効果的であるというエビデンスも出ている。標準的なDBTでは、「個人精神療法」と「スキルトレーニンググループ」が、週1回ずつ実践されている。マインドフルネスは、以前より中核的スキルと位置付けられていたが、DBTの効果を高めるために、2014年に改訂されたDBTマニュアルでは、すべてのスキルに関連づけられた。そして、マインドフルネスエクササイズは、様々な症状や年代に対応できるように工夫されている。
本ワークショップでは、マインドフルネスを習得するための基本の6つのスキルに焦点をあて、衝動性やうつ症状に対するDBT治療戦略についての具体的な技法を体得することを目指していく。また、我が国におけるDBTの実践例をもとに、有用性と課題についても述べる。ワークショップの後半では、米国のトレーニングで実践されているマインドフルネスエクササイズに取り組む。

MD/CT合同ワークショップ12

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

SCID,GRID-HAMDを用いた気分障害の症状評価訓練

オーガナイザー:
稲垣  中 青山学院大学保健管理センター

趣旨・狙い

精神科領域の臨床研究を行うに際しては,対象患者に適切な診断を下すとともに,客観的に重症度を評価しなければならない。しかしながら,他の医学領域と比較すると,精神科領域における診断,重症度評価には暖昧な部分があるので,さまざまな操作的診断基準や精神症状評価尺度が開発され,広く用いられている。診断基準・評価尺度の使用に際しては,その精神疾患の診断・治療に関する十分な知識と経験を診断・評価に従事するスタッフが有するのみならず,診断基準・評価尺度に関する十分な訓練を行う必要もあるが,これまでのわが国では評価者を訓練することの重要性自体は認識されてきたものの,系統的な評価者訓練が実際に行われることは少なく,そもそも,訓練に必要とされる環境の整備も不十分であった。そこで,このセッションでは2016年度に気分障害の臨床研究に従事するスタッフを訓練することを目的として国立精神・神経医療研究センターの資金で制作された精神科診断面接マニュアル(Structured Clinical Interview for DSM-IV Axis I Disorders: SCID)による気分エピソード診断,およびGRIDハミルトンうつ病評価尺度(GRID Hamilton Rating Scale for Depression: GRID‐HAMD) による大うつ病エピソード重症度評価に関する教育用模擬患者DVDを用いた評価者訓練を行う予定である。気分障害関連の臨床研究に参加を考えている後期研修医,コメディカルをはじめとしたスタッフの参加を期待する。

MD/CT合同ワークショップ13

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

身体疾患の認知行動療法 -生活習慣への介入-

オーガナイザー:
藤澤 大介 慶應義塾大学医学部精神神経科/緩和ケアセンター

趣旨・狙い

身体疾患の認知行動療法、今回は特に生活習慣の改善(行動変容)というテーマに焦点をあてたワークショップです。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病では、自覚症状がない時期からも、食事、運動、喫煙など生活改善へ取り組みが治療の要となります。このワークショップでは、患者さんが日常生活で主体的にセルフケア行動に取り組み、続けていけるための援助に役立つ認知行動療法の視点と技法を学びます。

  • (1)動機づけと行動変容に関する基本理念の概説
    慢性疾患治療におけるアドヒアランスの課題、変化への準備性(Trans-theoretical model)ほか
  • (2)介入にあたってのアセスメントの実際
    疾病認識(病への心理的適応・受容、リスク認識など)の把握、行動の機能分析、患者さんをとりまく環境の理解(ソーシャルサポート、ハイリスク場面の分析など)
  • (3)具体的な介入スキル演習
    動機の引き出し方、生活習慣を変えることの損益分析、セルフケア行動の形成促進(ハイリスク場面への対処習得、アサーティヴ・コミュニケーションの支援)、価値の明確化(個人の価値に則して生きること)

などから構成します。

行動変容に関連するスタンダードな演習のほか、臨床現場で遭遇する困難例への配慮、例えば、認知障害など併存する問題のアセスメントとそれに基づく介入、チーム医療の活かし方なども扱いたいと思います。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病、食事療法が必要となる各疾患(慢性腎臓疾患など)、禁煙などを主たる対象として想定していますが、健康な方の健康関連行動の向上や、精神疾患の患者さんの生活習慣の改善(運動、栄養管理、禁煙、服薬アドヒアランスなど)にも応用可能な内容です。
ワークショップでは、事例やロールプレイを通じて具体的な演習の時間を設けます。
受講にあたって事前の経験は不要です。

MD/CT合同ワークショップ14

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

認知行動療法を用いた自殺対策(アセスメントから介入まで)

オーガナイザー:
耕野 敏樹 岡山県精神科医療センター

趣旨・狙い

自殺の問題は当事者だけでなく、家族やその人に関わる社会に対する影響も大きく、精神科医療のみでは抱えきれない問題である。その一方で、自殺をした個人のおよそ90%はその直前に何らかの精神障害を抱えていたという報告もあり、自殺問題は精神障害の関与なしには説明できない場合も多い。そのため適切に精神科医療を提供することが自殺問題の解決に近づくことはもちろんであるが、とはいえ、具体的に自殺問題に特化して提供できる治療としては限られている。つまり、自殺問題は精神科臨床に関わるものにとって避けては通れない問題であると同時に、一元的な精神科医療の理解のみでは問題の解決に近づけず、提供できる治療にも限界があるというのが現状である。
認知療法・認知行動療法は、様々な精神障害に対して幅広くその効果が実証されてきており、且つ問題解決志向であるため具体的な臨床的問題をターゲットとして、その改善を目指した治療である。そのため、自殺予防のような精神障害と具体的な問題の解決の双方を求められるような事象への介入としては最適な治療手法であると言える。
今回紹介する自殺対策のための認知行動療法は、一般的な認知行動療法を土台にして自殺に関する問題が危機的状況にある患者に対する介入として工夫されたものである。そこでは、自殺に関する実証的な研究を基に構築された自殺に関する認知的概念化を下地にして治療が構造化されている。セッションは10回前後と比較的簡便に行えるセッション回数で実施することができ、一般の精神科医療との両立が可能である。治療のターゲットとして自殺に関係する様々な因子の中で介入することが可能な心理学的側面に注目し、自殺問題を抱える人にとって必要な支援や精神科治療へのコンプライアンスを向上させ、自殺危機を上手く対照できるようになるための対処戦略を習得することを目指す。これまでの研究で確認された効果としては、ランダム化比較試験において18ヶ月後の再自殺企図の頻度を約半分にしたとの報告がなされている。
自殺問題に関しては認知行動療法の創始者であるアーロン・ベックが中心となってこれまで様々な知見が蓄積されており、それらをプロトコールの内容と共に紹介していくとともに、合わせて国内における自殺予防対策についてもご紹介していきたい。またワークショップの中では、自殺リスクアセスメントのための面談や、本プロトコールで鍵となる手法について、一緒に体験していただけるように内容を工夫し、皆様に参加していただきながら当日の会を進めていきたいと考えている。

MD/CT合同ワークショップ15

2017年7月23日(日) 13:00~16:00

スキーマ療法入門:「生きづらさ」に焦点を当てた統合的認知行動療法

オーガナイザー:
伊藤 絵美 洗足ストレスコーピング・サポートオフィス

趣旨・狙い

スキーマ療法は、米国の心理学者ジェフリー・ヤングが構築した心理療法であり、理論的にも技法的にも、認知行動療法を中心に、アタッチメント、ゲシュタルト療法、精神分析、感情焦点化療法などを有機的に統合したものである。現在スキーマ療法は、パーソナリティ障害や慢性うつ病に対してエビデンスのある治療法であることが知られている。スキーマ療法では人生の早期に形成されたスキーマが、その後その人自身を生きづらくさせる場合、それを「早期不適応的スキーマ」と呼び、当事者の早期不適応的スキーマを同定したり、様々なワークを通じて手放していったりすることを行う。その際「治療的再養育法」と呼ばれる、養育的な治療関係を結ぶことが特徴的である。本ワークショップではスキーマ療法の理論モデルと治療技法について具体例を挙げながら簡潔に紹介する。また参加者には簡単なワークに取り組んでもらう予定である。

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