会長挨拶

ご挨拶

 2020年3月20日(金)と21日(土)の両日に、富山国際会議場において、第15回日本統合失調症学会を開催することとなりました。本学会は、第2回大会(2007年)が富山で開催されており、13年ぶりに再び富山の地で開催できますことを大変光栄に存じています。

 大会のテーマは「研究の最前線から、人生を共に耕すまで」としています。本学会は、設立以来、「当事者や家族のニーズや期待に応える」ということを強く意識し、さまざまな努力と工夫を重ねながら発展してきました。とくに近年の大会では、当事者や家族の参加が促進され、医学・医療関係者と当事者・家族との協働姿勢が目に見える形で開催されています。第15回大会におきましても、これまでに培われた伝統を継承して、統合失調症に関する最新の研究成果について発表・議論するとともに、当事者や家族の視点もできるだけ取り入れ、医学・医療関係者と当事者・家族との相互理解の向上を通じて、統合失調症を持つ人および共に生活する人の人生を豊かにすることの一助となることを目指したいと思います。プログラムについては現在鋭意検討中ですが、これまでの大会に劣らない充実したものを目指したいと思います。確定次第、ホームページにアップして行きます。

 本ホームページや紹介ポスターの図案となっている大きな木について一言ふれたいと思います。この巨木は、富山市にある精神障害者社会復帰施設「ゆりの木の里」の前庭に立つ「ゆりのき」です。「ゆりの木の里」は、1998年に設立された社会福祉法人・富山県精神保健福祉協会による総合的社会復帰モデル施設として整備されたものであり、現在は「相談支援」「生活支援」「就労支援」を3本の柱として運営されています。創設の経緯等を伝え聞きますと、県内の精神医療福祉関係者の思いが結実して作られた施設であることがうかがわれ、そこに立つ「ゆりのき」は富山県におけるリカバリー支援のシンボルツリーともいうべき存在であることから、今大会の図案に使わせていただくこととした次第です。

 富山でも降雪の少ない年が増えた昨今ですが、3月の後半は、立山連峰はまだ厳しくも美しい姿を見せており、それを仰ぎながら季節の移り変わりを五感で味わえる良い時期です。ぜひ多くの方々にご参加いただき、学会を盛り上げていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

第15回日本統合失調症学会
会長 鈴木 道雄

富山大学学術研究部医学系神経精神医学講座 教授