ご挨拶

テーマ「個人と社会の相互作用としてのうつ病~多面的な理解から紐解く~」

このたび第15回日本うつ病学会総会開催させていただくにあたり、ご挨拶申しあげます。

今回のテーマは「個人と社会の相互作用としてのうつ病~多面的な理解から紐解く~」といたしました。うつ病、双極性障害などの気分障害発症や経過は、遺伝や生来の素因(パーソナリティ特性など)などの個人的な要因だけで説明することはできません。職場の同僚や上司、同級生、友人、家族、パートナーなどとの人間関係や過労、残業は感情や気分に大きな影響を与えます。さらに、生まれ育った環境や境遇、経済的状況、心身の病気も同様に感情や気分に大きな影響を与えます。このように実にたくさんの要因が複雑に相互作用しながら個人に影響して、気分障害をかたちづくってゆきます。これらの複雑な関係は個人と社会の相互作用として整理するとわかりやすいと思います。実際2003年以降、個人と社会の相互作用の観点からたくさんの実証的な臨床研究が行われて気分障害の病因の解明が進みました。

2015年には職場のストレスチェック制度が始まり、ハラスメント、残業、過労などの様々な職場の問題がクローズアップされるようになりました。職場環境がいかに個人に影響を及ぼし、うつ病発症や自殺につながるのかを、我々専門家は国民に説明し、助言を与える役割をはたさなくてはいけないと思います。そのためには、実証的な調査研究が必要であることはいうまでもありません。

医師、研究者、保健師、看護師、心理職、精神保健福祉士、産業や教育の専門職など様々な領域の会員が参集する本学会において、是非個人と社会の相互作用について多領域から焦点をあてて、議論していただきたいと思います。もちろん本テーマに限らず、多様な観点からのご発表をお待ちしております。本総会が気分障害の理解、診断と治療の進歩につながるきっかけとなることを願っております。

第15回日本うつ病学会総会への、皆様の御参加と御発表をお願い申しあげます。本大会で、お会いできますことを心よりお待ち申しあげております。

第15回日本うつ病学会総会
会長 井上 猛
東京医科大学精神医学分野

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