会長あいさつ
第24回日本総合病院精神医学会総会の開催にあたり
noimage挨拶に先立ち、東日本大震災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。会員の先生方におかれましても、日常業務に加えて支援活動などを実施されており、大変お忙しいことと拝察しております。
まだまだ大震災後の復興途上ではありますが、この度、「第24回日本総合病院精神医学会総会」を平成23年11月25日(金)、26日(土) 福岡市の福岡国際会議場にて開催させていただくこととなりました。
11月下旬には事態も若干鎮静化しているであろうと予測し、現時点では予定通り開催の方向で粛々と準備を進めております。関係各位のご協力とご理解に感謝いたします。ついては、震災後の開催をより意義のあるものとするため、今回の総会ではシンポジウムにて災害特別報告を実施し、被災地支援に行かれた先生方にお話を伺いたいと考えております。皆様と情報を共有し、今後必要とされてくるケアについて、ともに考える機会となれば幸いです。
メインテーマは「精神医学と身体医学のさらなる統合」としました。総合病院や大学病院で展開される精神医学は、そもそも両者の統合をめざしているとも言えるので、何を今更と思われるかも知れません。
しかし、昨今の医療費削減の被害が最も大きかった総合病院精神科では、病院経営に振り回されがちで、医師不足も相まって医療者が多忙を極めるなか、本来進むべき道を見失いがちだったのではないでしょうか。
もともと、精神医学は身体を含むものであり、身体医学は精神を含むものであるはずです。しかし、専門性が高度化すれば、精神科医は身体を、そして一般科の医師は精神を忘れがちになります。
一時期卒後研修で必須と位置づけられた精神科ローテイションも、実質的には選択に近い位置づけになり、両者はふたたび乖離しつつあるようにも見えます。
ところが、身体医学はこれまでになく精神医学を必要としています。緩和医療が全国に普及しつつあり、チーム医療のメンバーとして精神科医が求められています。脳死臓器移植、遺伝子医療、再生医療など、医療倫理の最先端を切り開いている領域では、患者の同意能力をめぐって精神科医の判断が必要とされています。救命救急センターを抱える総合病院では、自殺企図で搬送される患者に対する精神科的フォローアップが重視され、これは自殺対策の要として位置づけられています。
一方精神医学の方も、これまでにもまして身体医学を必要としています。精神障害を抱える患者の生活習慣病や高齢化に伴う合併症の予防・ケアが精神科医の役割となりつつあり、身体合併症治療はもっぱら総合病院精神科で行われています。全国的に認知症対策が進められていますが、これも身体医学なくしては十分なものにはなりません。
このように精神医学と身体医学は、これまで以上に互いを必要としており、総合病院精神医学こそがこの要望に応えられるのではないかと思います。
以上のような観点に立ち、総会のシンポジウムならびに教育講演を構成しました。特別講演1 では、僕がレジデント・トレーニングを受けた米国Mayo Clinic で、現在リエゾン・コンサルテーション部門のチーフをしているJames R Rundell 先生から、米国でのリエゾン・コンサルテーションの現状について話していただけることになりました。また特別講演2 では、九大同門の帚木蓬生()先生に、先生が長年に亘って啓発活動を続けてこられているギャンブル依存をお話し頂きます。今回の総会で、総合病院精神医学のあらたな魅力が引き出され、これを目指そうとする後継者が一人でも多く生まれることを切に願っています。
11月下旬の博多は、朝夕はやや冷え込みますが、日中はとてもさわやかな季節を迎えます。玄界灘の魚や秋野菜が美味しさを増し、川端の屋台がにぎわう季節です。
学会の合間を縫って、晩秋の博多もご堪能ください。
皆様の多数のご参加をお待ちしております。
第24回日本総合病院精神医学会総会
会長 神庭 重信