第82回日本臨床外科学会総会

ご挨拶

第82回日本臨床外科学会総会開催に当たって

第82回日本臨床外科学会総会
会長 内山 和久
(大阪医科大学 外科学講座 一般・消化器外科)
会長:内山 和久

この度、2020年10月29日(木)から31日(土)に大阪で第82回日本臨床外科学会総会を開催させていただくことになりました。本学としましては,1986年に第48回医学会を岡島邦雄教授が大阪で、2009年に第71回総会を谷川允彦授が京都で主催され、3回目の開催となります。この長い歴史と伝統ある本学会の総会を主催することは、我々教室員や同門一同および大阪医科大学にとりましても、この上なく名誉なことであり、役員および会員の皆様方に厚く御礼申し上げます。

本学会は1937年に創立され、80余年間に諸先輩先生方により外科臨床の理念が引き継がれてきましたが、外科手技については開腹手術から腹腔鏡、ロボット手術導入へと大きく変革しています。さらに診断支援等でAIの研究開発が推進され、外科領域へも応用されつつあります。このような時代背景を反映して、今回のメインテーマを「外科学のパラダイムシフト-継承と創造」としました。諸先輩が築かれた外科手技を継承して、次世代で斬新なエビデンスを創造していただけることを期待したものです。本会では「継承」として外科医の手本となる先生方のビデオセッションを計画しています。

外科医の高齢化が進む昨今、若手や女性外科医を育成することは、外科学発展のために必要不可欠です。しかし、外科医離れの原因が他科に比較して厳しい労働条件である可能性もあり、「働き方改革」が望まれています。厚労省は労働時間短縮、複数主治医制やタスクシフティングの一環として「特定行為看護師制度」を設け、術後管理補助を行う看護師養成を推進しています。外科にも「チーム医療」が取り入れられ、看護師、薬剤師、栄養士などとの協働による「patient flow management」が推進されています。しかし、働き方改革により合理化が実践されると必然的に「医療安全」や「医療の質」の劣化を招きます。今回、特別企画として「他職種での働き方改革と安全管理システム」のセッションを設け、航空、鉄道、製造など他業界での実情と対策を問いたいと考えています。

従来から、本会は大学の医師のみならず、地域医療を支えておられる市中病院の先生方の学会でもあるので、是非とも症例報告を含め多数の演題の応募をお願い致します。伝統文化と近未来が魅力的にブレンドする大阪府は、多くの文化観光資源とともに「天下の台所」「くいだおれのまち」と呼ばれるほど食文化が充実した都市でもあります。2025年には国際博覧会の開催が決定した活気あふれる大阪で、先生方をお待ちしております。