ご挨拶

会長:花﨑和弘

第81回日本臨床外科学会総会 
会長花﨑 和弘 
(高知大学外科学講座外科1 教授)

このたびは歴史と伝統のある日本臨床外科学会総会の第81回総会(2019年11月14日(木)から16日(土))のお世話を務めさせていただくことになりました。私たちの教室、同門、大学にとりまして大変栄誉でありますとともに我が国の臨床外科学の更なる発展に貢献する総会になるものと願っております。そのために、教室と同門を挙げて万全の態勢をとらせていただく所存であります。

今回のメインテーマは「地域から世界へ発信する臨床外科学:Staying Local, Moving Global」と致しました。日本臨床外科学会は、長年にわたり社会に貢献する臨床外科医の育成に尽力してきました。この基本理念は、未来永劫ゆるぎないものと信じています。しかしながら、昨今の外科医減少を発端とした種々の問題は、多くの国民に安心な外科診療を提供する上で大きな不安材料になりつつあります。特に僻地医療も含めた地域医療は崩壊の危機を迎えています。臨床現場で働く外科医は、社会からさまざまな期待と要求が寄せられています。その結果、ヒラリークリントンが来日の際に、日本の外科医はあたかも聖職者のようだと形容したような深刻な過重労働を引き起こし、外科医減少の要因にもなっています。こうした臨床外科医の過重労働への対策も本総会が率先して取り組まなければならない喫緊の課題であります。これらの問題解決は、“地域医療の復活と活性化”にかかっています。幸い、日本臨床外科学会は東京を本部として全国津々浦々に支部を配置し、地域医療を支える活動を展開しています。本総会はそうした支部活動にも焦点を当てながら、地域から世界へ発信する輝かしい臨床外科学の未来の扉を開けられるような総会になればと切望しています。理想は地域医療をしながら世界の外科医療も動かせるような明るい未来の外科医像です。また本総会は男女共同参画の推進や外科医の労働環境改善や南海トラフ地震に代表される災害医療対策に関する企画運営も予定しています。更にヘルニア、虫垂炎、胆石症をはじめとする臨床外科医のためのCommon Diseaseについてもしっかり討論していただけたらと考えています。尚、これまでの総会は消化器外科分野のプログラムが中心でしたが、本総会では心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺内分泌外科、形成外科をはじめとする様々な外科医療分野に従事されている臨床外科医も参加しやすいプログラムを作成中です。

本総会では、内視鏡外科手術およびロボット手術だけでなく、光線医療や癌ゲノム医療などの臨床外科学に直結する最新医療の知識も深められる企画も予定しています。特に地域医療を支えておられる臨床外科医の皆様に1人でも多くご参加していただき、「高知に行って本当に良かった」と心の底から思っていただけるような「記憶と思い出に残る総会」にする所存です。

高知では初めて、四国では28年ぶりの本総会開催になります。多くの困難が予想される中、「地方創生」の願いも込めて高知開催に踏み切りました。大都市開催と異なり、華やかさには欠けます。その分「おもてなしと学び」の心を基本とし、質素を旨として運営を行うつもりです。

我々教室員・同門一同、実りある総会となりますよう鋭意努力してまいりますので、皆様のご指導とご協力をお願い申し上げると共に、第81回日本臨床外科学会総会に奮ってご参加いただけますように重ねてお願い申し上げます。

第81回日本臨床外科学会総会