第68回日本アレルギー学会学術大会

会長挨拶

  • 相良 博典
    第68回日本アレルギー学会学術大会
    会長 相良 博典

    昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門 教授

第68回日本アレルギー学会学術大会のテーマは「アレルギー学の原点を見つめ、未来を創造する~新化・深化・進化~」です。東京国際フォーラムを会場として平成31年6月14日(金)から16日(日)まで開催させて戴きます。昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門が担当いたします。

アレルギーの介在している疾患は数多くあり、アレルギー・免疫反応をベースに発症する気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、薬物アレルギー、免疫不全など、主要なものだけを考えても、アレルギー内科、呼吸器内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科、膠原病内科、基礎医学と様々な専門分野があり、アレルギー、および臨床免疫の研究をすること、それ自体がすでに学際的なものであると考えています。つまり、否応なく、常に、高い専門性とそれを広く一般的なところから捉え直す思考のあり方が求められます。この学会においては、多様な意見交換が常態化している、そのような面白さがあると思います。

先人達が、領域にこだわらず挑戦したように、境界を超えて学び、多様な考えに目をむけて拘りを捨てて真実を追求したように、我々も学び、医学の進歩に力を尽くしていくべきだと思います。個別化医療の考え方がアレルギーの分野にもたらしたものは多くありますが、ゲノムの解析だけでは、その全貌を理解に到底及びません。一卵性双生児が異なる人生を歩むように、そこには環境などの条件、あるいは制約、それへの個別な反応が関与しています。目の前に、すべてを理解したいと思うような魅力的なヒトがいたとして、その人のDNAを解析すれば、その人を理解したと言えるのでしょうか?これが、情報と知識の違いです。情報は、ある目的に沿って造られた枠を持って、現象を切り取ったものなのです。時々、私たちはそれを持って全体を理解したと考えてしまいます。しかし、目の前のそれは、ある枠に当てはまる部分しか見えていないものなのです。

知識とは、現象をある角度から見たものです。そして、その見方、見る角度を変えることによって、異なる現象の側面や、背景が見えてきます。どの角度から現実を見つめるのか。当然、一人での見方には限界があります。いかに優れた方でも、それなりに時間がかることだと思われます。全体像を作り上げるために、異なる視点を持つ他者といかに繋がり、協働するか。そこが重要なポイントなのです。

アレルギー学会は、そのような多様な切り口で、異なる視点で、知識を交換し合える、理想的な場所であると考えています。例えば、ここに一人の患者さんがいるとしましょう。医師は、科学的に実証された知識によって治療法を検討、選択し、経験的に予測されるアウトカムを期待して治療にあたります。医師は、それによってもたらされるベネフィットを説明し、患者さんに治療への参画を促し協力を求めます。それは時々に成功し、時々に難しいものです。しかし、患者さんの側に立ってみると、違った景色が見えてくるのではないでしょうか。時には、我々は、枠に当てはめて切り取られた情報を「真実」と扱いがちです。しかし、患者さんの側からすれば、治療介入そのものは、いつまで続くか判らない苦痛への耐え難い恐怖であり、対価を支払うという痛みであり、様々な悲しみを呼び起こすものであったりするのです。おそらく、それらは、直接言葉にされる機会は少ないでしょう。それらの感情を理解し、患者さんが本当に望む医療を提供することは難しい。だからこそ、チーム医療が必要なのです。単にチームであるだけでは不十分です。患者さんを中心とした他職種のチームが、自由に意見交換をし、知識を共有し合い、ノウハウを交換し、対話や議論を積み重ね、解決のための仮説を導き出す。そのようなチームの「和」が何よりも大切です。

多様性は力です。イノベーションは多様性から起こります。組織の多様な価値観を奨励する意味で、アレルギー学会は先進的な取り組みを行っていくべきだと考えますし、情報発信していくべきだと思います。

第68回日本アレルギー学会では、本学会の特徴として診療科横断的なチーム医療を討議の中心としたいと思います。多様性は力であり、また「和」のチーム医療を目指す事が出来るのがアレルギー学会です。本学会の魅力を活かして更に新化・深化・進化させていくために、参加される皆様とともに着地点・方向性を模索できるような話題を共有し討議・議論できる場を提供したいと考えております。どうぞ宜しくお願い致します。