ワークショップ(日本行動療法学会第37回研修会・第14回認知療法研修会)

日本行動療法学会第39回大会では、様々なカテゴリーにおいて、必要な基礎知識の普及と情報の共有を目的とした「第37回研修会(ワークショップ)」を開催いたします。
このプログラムには分野を問わず多くの方々にお集まりいただきたく、ご案内をいたします。

今年度、本学会は「第4回アジア認知行動療法会議学術総会」「第13回日本認知療法学会」「日本行動療法学会 第39回大会」の三学会合同での開催となります。
本学会会員でない方、またワークショップ単独での受講者も歓迎しております。

こちらの研修会(ワークショップ)への受講申込はオンラインによる事前登録制です。定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。
お席の空き状況によっては当日のご参加も受け付けておりますが、先着順となりますので、お早めの事前申込みをお勧めいたします。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

事前参加登録は7月31日で締め切りました。
ワークショップ(研修会)の空き状況は下記よりご確認ください。
空きがあるワークショップは当日受け付けます。
ワークショップの空き状況(PDF)

ワークショップのプログラム

セッション一覧(PDF)

参加費

1セッションあたり6,000円

参加登録方法

  • 下記の『事前参加登録』ボタンをクリックしてください。
  • 受付フォームが開きますので、必要事項を入力してお申込みください。

※オンライン事前参加登録申込のみでは正式登録とはなりません。参加費の入金をもって完了となります。

※ワークショップの参加のみの登録も可能です。

参加費の支払いについて

クレジットカード、または郵便振替の2種類になります。

追加登録方法

「マイページ」にログインしていただき、追加登録ボタンをクリックしてください。
受付フォームより追加セッションをお選びいただけます。

当日参加方法

事前登録締切り後は、受講日当日に会場内の参加受付で登録を行ってください。
お支払いは現金のみとなります。

下記ボタンよりお申し込みいただけます。

ワークショップ事前受講申込

8月23日(金)13時30分スタートのワークショップ9・10・11・12・13の
開始時間が13:00スタートへと変更になりました。

Eのマークのセッションは英語(簡単な日本語訳付)で、Jのマークのセッションは日本語で行います。

ワークショップ1 E

8月23日(金)9:00~12:00

Cultural Adaptation of Acceptance and Commitment Therapy

Akihiko Masuda
Georgia State University, U.S.A.

A growing interest in mindfulness and psychological acceptance has swept across the field of Western medicine and mental health in recent years. Acceptance and commitment therapy (ACT) is an example of new cognitive and behavioral therapies (CBTs) that have emerged as part of this mindfulness- and acceptance-based movement. The purpose of this workshop is to highlight theoretical and practical considerations that clinicians and scholars face when implementing ACT across diverse settings, populations, and clinical issues. The workshop begins with an overview of ACT in the historical context of CBT, followed by empirical review of ACT specifically in the area of cultural diversity and Asian populations. Subsequently, the author proposes a bottom-up, functional and contextual adaptation of ACT as a way to facilitate cultural sensitivity and competence when working with a given client. Clinical examples will be used to demonstrate how ACT is adapted functionally and contextually.

ワークショップ2 E

8月23日(金)9:00~12:00

NEUROSCIENCE BASED COGNITIVE THERAPY - New Methods for Assessment, Treatment and Self Regulation

Tullio Scrimali
University of Catania

A three hours workshop - Summary - The workshop is focused in demonstrating and treating the important topics concerning how some recent developments of Neuroscience can be today used in order to better the intervention when carrying out a Cognitive Therapy with patients affected by many different mental disorders.During the workshop two methods, coming from Neuroscience Laboratories, that can be easily applied to the clinic setting of Cognitive Therapy, will be illustrated and fully explained. They are Quantitative EEG and Quantitative Electrodermal Activity. Such parameters can be today monitorized in the clinical setting thanks to some new hardware and software which are inexpensive and that can be easily used, after a short training, by any Cognitive Therapist.Basic information will be given concerning how to use such new methods when treating patients, affected by many different Mental Disorders, with Cognitive Therapy. Particularly some data will be illustrated about mood, anxiety, eating, and schizophrenic disorders. A new tool, called MindLAB Set, developed by Tullio Scrimali and disseminated by Psychotech (www.psychotech.it), will be carefully explained. It is composed by a hardware, able to monitorize Electrodermal Exosomatic Activity and which must be used together with a computer. A specific and original software, called MindSCAN and Psychofeedback, developed by Tullio Scrimali, will be fully illustrated. It can be used both when assessing the patient and during its treatment. Its allows the Cognitive Therapist to realize some new interesting methods of self regulation such as biofeedback and Biofeedback Based Mindfulness. During the workshop a MindLAB Set will be at disposal of the audience for practicing during the workshop that includes some practical trials, both in the field of assessment and in that of self regulation. The reference textbook for the workshop is: Tullio Scrimali - NEUROSCIENCE BASED COGNITIVE THERAPY -New Methods for Assessment, Treatment and Self Regulation - Wiley, Chichester, 2012.

ワークショップ3 J

8月23日(金)9:00~12:00

[CBT-基礎から習熟まで] CBTを始めよう

鈴木 伸一
早稲田大学人間科学学術院

認知行動療法は、その適用範囲の広さと有効性の高さから近年、医療、教育、産業、福祉、保健などの領域で積極的に活用されるようになりました。本ワークショップでは、認知行動療法の一連の流れについてのイメージをつかんでいただくとともに、認知行動療法を実践するうえでのミニマムエッセンシャルを学んでいただくことを目的としました。具体的には、認知行動療法の概要、導入期のアセスメントと見立てのポイント、基本技法などついて解説するとともに、認知行動療法を展開していく際にセラピストが押さえておきたいポイントについて整理したいと思います。
(参考図書:「実践家のための認知行動療法テクニックガイド」 北大路書房)

ワークショップ4 J

8月23日(金)9:00~12:00

[子ども] 発達障がいのある子どもと保護者の支援-家庭療育をうまく進めるための専門家のコツ-

谷  晋二
立命館大学

発達障がいのある子どもの指導に当たる指導者には、3つのスキルが求められます。1つは、子どもを指導する指導スキルで、2つめは保護者を支援するスキル、3つめは自身の考えや感情とうまく付き合っていくスキルです。このWSでは、これらの3つのスキルをいくつかの演習を通して学んでいきます。
子どもを指導する指導スキルでは、子どもたちに新しいスキルを教えるために必要な課題分析、機能分析、刺激等価性を利用した手続きなどを学習します。また、「教える」という観点だけでなく、行動を機能的に成立させていくための支援グッツの利用や、機能的に行動を成立させ、それを持続させていくためにコミュニティーへの働きかけについても学習していきます。
保護者への支援については、これまで行動的なペアレントトレーニング(BPT)が実施されてきました。BPTを効果的に実施するには、保護者が自身のストレスに対してうまく対処することが必要になります。このことは、子どもたちの指導に当たる指導者にも当てはまります。指導がなかなかうまくいかなかったり、指示がうまく伝わらなかったりした時に、いらだちや腹立ち、焦りなどが感じられるでしょう。時には、自信を失ったり、絶望を感じたりすることがあるかもしれません。そう言った考えや感情などの私的出来事とうまく付き合っていくことが、指導者にも保護者にも求められています。
保護者や指導者自身の考えや感情との付き合い方については、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)に基づいた方法を、種々の体験的エクササイズを通して学習していきます。
このWSの目標は次の2点です。
1.課題分析、機能分析に基づいて、指導プログラムを立案できるようになること。
2.保護者や指導者自身の私的出来事に対処するスキルを学習すること。
このWSは、現在発達障害のある子どもやその家族への支援に従事している人を対象としています。

ワークショップ5 J

8月23日(金)9:00~12:00

[成人/心理] EMDR:トラウマにどうアクセスし、治療するか

市井 雅哉
兵庫教育大学

アメリカの臨床心理士F・シャピロが 1989年に発表したこの方法は、今日、英、米、独、仏、豪、スウェーデン、イスラエル、北アイルランド、WHOなど世界中のPTSD治療ガイドラインで「実証された最も効果がある心理療法」の1つとされている。同レベルの評価を得ている治療法には暴露療法、認知療法、ストレス免疫訓練がある。
他の方法との比較で、メカニズムの違いなどが議論されているが、EMDRでは暴露による消去という要素はさほど重視されていない。脳内の肯定的な記憶が否定的な記憶のネットワークに結びついていくという適応的情報処理モデルという説明を用いる。EMDRでは宿題の形で暴露を促す必要はなく、苦しい暴露的な再体験は面接室の中のみで、それも極力短く抑えることが可能である。EMDRは過去志向であり、生育歴の聴取は丁寧に行われる必要がある。そもそもの歪んだ認知を受け入れるに至った、きっかけとなる過去の出来事を積極的に扱い、いわば過去を書き換える作業が可能だからである。
このように、過去の扱い方に関して、EMDRはこれまでの行動療法や認知療法とは大きく異なり、ある意味、精神分析との親和性もあり、統合的な心理療法と言えるだろう。
EMDRでは、トラウマについて、映像、認知、感情、身体感覚などを同定し、25往復程度の素早くリズミカルな眼球運動などの両側性の刺激を導き、映像、身体感覚、認知などを問う。これを繰り返すことで、自然な連想によって、十分に肯定的な状態にまで至る。
最近では、発達障害児・者のタイムスリップ現象への適用が提案され、効果を上げ、注目されている。PTSDや発達障害の適用事例を紹介予定である。
現在、日本EMDR学会(http://www.emdr.jp)は900名ほどの会員がいる。EMDRがクライエントの肯定的な力を活かす方法であるという魅力を実習も交えて感じていただけたらと思う。

ワークショップ6 J

8月23日(金)9:00~12:00

[疾患別] 統合失調症のメタ認知トレーニング

石垣 琢麿
東京大学 他

「統合失調症のメタ認知トレーニング」
講師:石垣琢麿(東京大学)
協力講師:細野正人(青山会関内クリニック)、山崎修道(東京都医学総合研究所)

統合失調症に対するメタ認知トレーニング(MCT)はドイツ・ハンブルク大学のMoritz教授を中心とするグループによって開発されました。妄想や幻覚の持続にかかわる心理メカニズムの実証研究に基づいた8つのモジュールから構成されています。MCTは精神病性障害の認知行動療法(CBTp)の技法のひとつであり、その目的は、患者さんがメタ認知的な知識を増やし問題対処技術を磨くことで、症状による苦痛を減らすことです。モジュールごとにわかりやすいスライドとホームワーク・シートがついており、実用的なマニュアルも完備されています。そのため、MCTの基本的考え方さえ身につければ、どのような職種の方でも実施が可能です。今回のワークショップでは、(1)MCTの基本的考え方、(2)MCTの各モジュールの概要、(3)MCTに関する研究結果、について解説し、参加者の皆さんに実際にMCTを体験していただきます。
MCTは集団で実施することが原則ですが、対個人用のMCT+(プラス)も開発されています。現在、弘前大学の則包和也、川添郁夫両先生と石垣が日本語版を作成中ですので、ワークショップ当日に詳細をご説明します。
また、私たちはMCTの研究と実践を深めるために「MCT-Jネットワーク」を設立しました(http://www.mct-j.net/。その活動についてもご紹介します。
(参加対象者:統合失調症を対象とした臨床をされている方であればどなたでも)

ワークショップ7 J

8月23日(金)9:00~12:00

[成人/心理] 認知行動療法において初回、初期の面接をより効果的にするコツ

神村 栄一
新潟大学 他

神村&西川のサイコロジスト・日本行動療法学会「専門行動療法士」コンビが、認知行動療法(CBT)における初回面接、患者(クライエント)との初期のやりとりについて、実践を通して編み出された工夫を紹介します。受理面接からCBTへ導入し「順調に軌道に乗せる」までの面接のすすめ方です。「何にでもくっつく」であろう理論理屈のもっともらしい解説や宣伝まがいのプレゼンは省略し、担当講師の実際の面接でのやりとりの提示と解説、簡単な実習、質疑応答(参加者とのディスカッション)で構成する予定です。
扱われるテーマは、来談継続と変化、課題への取り組みへの動機づけ、その前提となる、「ドロップアウト」や「セラピスト依存」の両方を防ぐための協同実証主義的関係(雰囲気)の構築、そして上手にフェードアウトするための種まきです。さらには、これらのために心理教育(症状、困難さのCBTによる理解)をいかにして組み込み、より重要な情報をどのように「気持ちよく提供いただく」か、などなどです。
なお、予約参加が確定した方には、以下のフォームから事前アンケート回答のご協力をお願いします。参加者の皆さんはCBT導入において、どんなことに困っておられるでしょうか? できる限り、皆さんのニーズにそった内容を準備させていただこうと考えております。
http://studygroup.cbtcenter.jp/cbtws.php

ワークショップ8 J

8月23日(金)9:00~12:00

[疾患別] うつ病の集団認知行動療法

集団認知行動療法研究会

うつに対する集団認知行動療法は個人認知行動療法と同等の効果があるという報告、またスタッフ、設備、時間など、かかるコストに対する効果(cost effectiveness)は個人認知行動療法よりも高いという報告があり、近年注目が集まっています。集団認知行動療法には、認知行動療法の特徴を生かしながら、メンバー同士が互いに支え合うこと、目標を共有すること、他のメンバーの成功体験をモデリングすること、動機づけが高まることなどの、集団療法ならではの利点も生かすことができるという特徴があります。最近では、医療機関等におけるうつや不安の症状改善や再発予防を目的とした集団認知行動療法プログラムが増えてきているほか、産業や教育の現場における一次予防にも応用されつつあります。
本ワークショップは、集団認知行動療法の普及を目的に設立された集団認知行動療法研究会の企画で行われます。当日は、うつに対する集団認知行動療法の基本的な考え方、グループの立ち上げと運営の方法、認知と行動に対する介入技法、集団を生かした関わりの実際などについて、講義とグループワークを通して学び、集団認知行動療法の基礎的な知識と技法を身につけていただきます。集団認知行動療法に興味や関心がある方、様々な現場で集団認知行動療法をこれから始めようという方の参加をお待ちしております。(参加対象者:入門者、初級、定員:60名まで)

ワークショップ9 J

8月23日(金)13:00~16:00

[疾患別] 不眠の認知行動療法

渡辺 範雄
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター
トランスレーショナル・メディカルセンター 情報管理・解析部

わが国の不眠症の時点有病率は成人で約20%とされ、国民のこころの健康を脅かす大きな問題となっています。また不眠は様々な体や心の疾患と併存し、お互いにとっての増悪因子となります。
私たちのグループでは、不眠CBTを基礎としてCBT初級者でも実施可能なように改訂した短期睡眠行動療法を開発し、特に薬物治療後も不眠が残存したうつ病患者に対して、その効果を無作為割り付け対照試験で検討しました。結果としてこの治療は、不眠に対しても、うつに対しても臨床的・統計学的有意に良い効果をもたらすことが分かり、医学雑誌にも発表しました(J Clin Psychiatry, 2011)。
このワークショップでは、不眠の評価法や成り立ち、不眠の認知行動療法の治療要素当の総論、不眠の認知行動モデル、睡眠日記、睡眠衛生教育、睡眠スケジューリングといった治療技法の各論までを紹介します。また単なる講義にとどまらず、いかに患者さんのモチベーションを上げるか、治療効果を維持するかといった実践的技術に関して、ロールプレイなどの体験を通じて学んでいただきます。

ワークショップ10 J

8月23日(金)13:00~16:00

[疾患別] 双極性障害

北川 信樹
北海道医療大学看護福祉学部

「双極性障害の認知行動療法」
北海道医療大学大学院看護福祉学研究科障害福祉学分野 北川信樹
(協力講師)北海道大学大学院医学研究科精神医学分野 賀古勇輝

抄録
双極性障害は、従来から生物学的要因が強調され薬物療法が主役でした。しかし、最新の薬物療法をもってしても臨床的、社会的転帰の改善は十分ではありません。高い再発率、服薬アドヒアランスの低さ、社会生活機能の低さ、自殺完遂率の高さなど、疾病がもたらす心理社会的影響は極めて甚大であることが明らかにされています。さまざまな臨床場面で心理療法に対するニーズの要請は高まっていると言えるでしょう。近年、双極性障害に対するエビデンスのある心理的アプローチが海外からいくつか登場してきましたが、中でも認知行動療法(CBT)は、この10年ほどで最も多くRCTが行われ、治療プログラムが進歩してきまし。再発予防だけでなく、症状の緩和や心理社会機能、アドヒアランスの向上など、その臨床効果には一定のエビデンスがみられていると考えられています。
双極性障害のCBTは、ストレス-脆弱性モデルに基づき、薬物療法を補完して行われるのが基本です。その手順としては、1)認知モデルの導入と事例定式化、治療目標の設定(ライフチャート、心理教育)、2)症状のマネジメントと認知的技法の適用(セルフモニタリング、概日リズムの安定化)、3)再発予防の技法(前駆症状への対処スキル獲得)、4)治療アドヒアランスや長期間にわたる脆弱性に関連する問題や信念に対する認知行動アプローチ(過度に目的達成的な信念や行動など)などと進められます。単極性のCBTとはモデルも力点もやや異なっており、治療者側にもより一層の柔軟性、専門性が必要とされると考えられます。  本ワークショップでは、特にLam DHらが提唱している双極性障害用のCBTの概要を解説します。具体的なやり取りの場面を取り上げ、出来ればワークを通すなどして、基本テクニックと実践のポイントを身につけて頂く予定です。
参考文献
1) ラム DH、ジョーンズ SH、ヘイワード P:双極性障害の認知行動療法(北川信樹、賀古勇輝監訳)。岩崎学術出版社、東京、2012

ワークショップ11 J

8月23日(金)13:00~16:00

[CBT-基礎から習熟まで] ヘルピングスキルと治療的関係構築

遊佐 安一郎
長谷川メンタルヘルス研究所

認知療法の世界的リーダーの一人であるJ.Beckは彼女の認知療法入門書「認知療法実践ガイド:基礎から応用まで」で、認知療法は確固たる治療同盟を重視して、「治療者はふつう、暖かさ、共感、思いやり、誠実さ、配慮、力量といった援助場面に不可欠な基礎適要件を示す」としながら、そのような「技量はすでに習得済であることを前提」(p13)に認知療法の解説を進めています。しかしその続編でおアドバンステキストと考えられる「認知療法実践ガイド:困難事例編」では治療同盟を形成し活用することの重要性を約80ページにわたって議論しています。これは、認知療法において、認知療法のノウハウの活用の前提として、治療関係、治療同盟が重要であること、そしてパーソナリティ障害などの困難事例であればなお一層それが必要であることを示唆しています。
このワークショップでは、治療同盟と治療的変化のバランスを取りながら面接を進めるためのスキル訓練プログラムのひとつである、ヘルピングスキルを紹介します。ヘルピングスキルを考案したC. Hillは、それがC. Rogersの来談者中心療法と精神分析と認知行動療法を統合する訓練システムであると主張しています。私の経験では、ヘルピングスキルはそれだけでなく、上記のJ.Beckの2冊の認知療法の教科書が示唆する、認知療法の技法の活用の前提としての治療関係、治療同盟をバランスよく構築するために役に立つ訓練システムだと思われます。また、その応用は、J.Beckのアドバンステキストで扱われているような困難事例との治療同盟構築のためにも役に立つと思われます。
従って、このワークショップは、認知療法・支援的面接の初心者だけでなく、ある程度経験を積んできて、J.Beckの言う「困難事例」の支援に関わりながら支援の力量をつけたい方、そして初心者の教育訓練に関わっている方の役に立てば良いと思っています。

参考文献
J.Beck著(伊藤、神村、藤澤訳)「認知療法実践ガイド・基礎から応用まで」星和書店、2004
J.Beck著(伊藤、佐藤訳)「認知療法実践ガイド:困難事例編」星和書店、2007
C.Hill Helping Skills: Facilitating Exploration, Insight, and Action (3rd. Ed.) Washington, DC, American Psychological Association, 2009 (日本語訳、金子書房より2014年に出版予定)

ワークショップ12 J

8月23日(金)13:00~16:00

[成人/心理] 事例で考えるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)中級者以上向け

武藤  崇
同志社大学心理学部

本ワークショップの対象は、過去にACTを施行しようとしたことのある中級セラピストである。内容は、3つの仮想事例を題材に、実際にケース・フォーミュレーションを行い、それを基にした援助プランを作成、さらにそれをどのような指標で評価していくかと検討していく。実施形態は1グループ6名程度のディスカッション&プレゼンテーションである。また、各グループには、高橋稔(目白大学)、大月友(早稲田大学)、田中恒彦(滋賀医科大学)、三田村仰(京都文教大学)のファシリテイターを配置し、より効率的なディスカッションを支援する予定である。なお、参加前に参加者各自で講読しておくことをお勧めしたい資料としては、『臨床行動分析のABC』、『ACTをまなぶ』、『ACTを実践する』が挙げられる。

ワークショップ13 J

8月23日(金)13:00~16:00

[成人/医学] マインドフルネス認知療法 -理論と実習(レーズンエクササイズを中心に)-

越川 房子
早稲田大学文学学術院

マインドフルネス認知療法は、認知療法の原理や実践をマインドフルネスの枠組みに組み入れたものであり、うつ病の再発予防に有効であることが実証されているプログラムです。標準的には、1回2時間、全8回のセッション、およびホームワークとして1週間のうちの6日間、約1時間のマインドフルネス瞑想の実習、から構成されます。
マインドフルネスとは、「意図的に、今この瞬間に、価値判断することなしに注意を向けること」と定義されています。ワークショップでは、なぜこのマインドフルネスがうつや不安に対して有効なのかについて、理論的な観点からできるだけわかりやすく説明します。次に、マインドフルネス認知療法の8セッションのプログラム内容について概説し(下記参照)、MBCTで用いられる主要なマインドフルネス瞑想法について紹介します。また、参加者の皆様にそれらのうちのいくつかを実際に体験して戴くとともに、それらをどのように用いるのかについて説明致します。今回は、導入エクササイズとして用いられる"レーズンエクササイズ"を中心に、"3分間呼吸空間法"、"マインドフルネス・ウォーキング"を取り上げる予定です。尚、実習の後に、参加者の皆様からコメントを頂戴したいと思います。それらのコメントを基に展開されるインストラクターや他の参加者とのやり取りを通して、マインドフルネス認知療法のエッセンスを感じて戴けるワークショップにしたいと考えております。
<プログラムの内容>
1:自動操縦状態に気づく、2:練習がうまくいかないことを扱う、3:呼吸へのマインドフルネス、4:現在にとどまるということ、5:経験との異なる関わり方を身につける、6:思考が事実ではないということ、7:自分を大切にする、8:これからに活かす

ワークショップ14 E

8月23日(金)17:00~20:00

To Adapt or Not To Adapt:CBT for Asian Clients

Gordon C. Nagayama Hall
University of Oregon, U.S.A.

The purpose of this workshop is to consider how to maximize the effectiveness of cognitive-behavioral therapies (CBT) in Asian cultural contexts. There is much diversity between and within Asian cultural groups. However, there may be some general principles for cultural adaptation that may be useful across Asian cultural groups.
The behavioral components of CBT tend to be culturally universal because they are based on conditioning principles. Therefore, behavioral methods such as relaxation, exposure, and behavioral activation may be useful across cultural contexts without much adaptation. Conversely, the cognitive components of CBT are less culturally transportable. Standard CBT offers limited consideration of the cultural contexts in which individuals live. Based on data from CBT therapists in the United States who work with clients with Asian cultural backgrounds and on data from therapists from Asia in this workshop, we will consider what adaptations may be most effective.
A major consideration in Asian cultural contexts that is largely absent in the cultural contexts in which CBT was developed is saving face. A client may be concerned about saving face for their family, their community, themselves, and their therapist. Unlike the focus of standard CBT on the individual, face concerns dictate that an individual's functioning is evaluated relative to cultural group values and norms. CBT may be most effective in collectivist contexts when it facilitates face-saving. For example, expressing emotions is often viewed as a source of face loss but emotions can be reframed in CBT as face saving by providing clues for improving personal functioning which contributes to improved functioning of the group.
A second major consideration is how to address aspects of CBT that appear to be culturally at odds with collectivist cultural contexts. For example, self-criticism, perfectionism, mind reading, and being unassertive may serve face-saving functions in collectivist contexts, but may be viewed as maladaptive from a standard CBT perspective. The CBT therapist may hypothesize that such behaviors are the cause of the client's distress and develop behavioral experiments to test this hypothesis. However, an individual in a collectivist context who is in conflict with cultural values and norms cannot simply develop personal values and norms and disengage from the culture. An optimal CBT solution will consider how addressing individual needs will help a person improve the functioning of the group.

ワークショップ15 E

8月23日(金)17:00~20:00

Making the Most of CBT in Challenging Patients: Using Exposure and Behavioral Activation to Enhance Treatment Progress

Donna M. Sudak
Department of Psychiatry, Drexel University College of Medicine, Philadelphi a, Pennsylvania, USA

Behavioral Activation (BA) and Exposure are significant components of many CBT protocols for depression and anxiety and can be stand-alone treatments with demonstrated efficacy and substantial durability. Many clinicians are less comfortable with the implementation of behavioral techniques, despite the evidence, and are less inclined to use behavioral experiments in work with patients. Skillful use of behavioral techniques in a conceptually driven and tailored-to-the patient manner can substantially augment patient gains. In this workshop, you will learn to employ behavioral activation and exposure in a wide variety of circumstances, including working with patients with procrastination and with OCD. Role-play and active learning exercises will facilitate increased skill development for participants: an emphasis on creative approaches to the use of these techniques will address more complex and refractory patients. Behavioral activation techniques targeting rumination and avoidance and the use of such techniques in chronic depression will be a key focus of the workshop. You will learn to describe key components of BA, to develop meaningful activation goals for patients, and to target non-adherence in treatment. You will practice techniques that motivate patients to engage in exposure and behavioral experiments since reluctance to implement these often impedes therapeutic change. The workshop will include case examples and audience participation in exercises to practice explaining the rationale for these procedures, designing good hierarchies, and managing safety-seeking behaviors.

ワークショップ16 J

8月23日(金)17:00~20:00

[成人/心理] 機能分析と"考え込み"対処の認知行動療法

下山 晴彦
東京大学大学院 臨床心理学コース

「考え込み焦点化認知行動療法(Rumination focused CBT:RfCBT)」は、英国のExter大学の気分障害センターのEdward Watkins教授が、うつ病の慢性化要因としての "考え込み"(rumination)に注目して開発した方法である。病理的な考え込みに焦点を絞り、機能分析を活用して、考え込みの機能をより適応的に変化させることで問題解決を図ることを目的としたもので、うつ病以外にも、不安障害など、個別の診断を超えて幅広く適用できる。RfCBTは、CBTの原理や技法に基づくものであるが、2つの新たな方法を取り入れることで、第3世代のCBTとして位置づけられる。ひとつは、行動活性化療法の考え方を採用し、機能分析を用いる点である。もう一つは、イメージや体験を用いたアプローチにより、情報処理モードの変容に焦点を当てる点である。
RfCBTにおいては、病理的な「考え込み」を抑うつだけでなく、不安も含めた問題の維持要因として機能しているとみなす。また、考え込みの重要な要素として回避と考え方のスタイルに着目する。回避は、一時的な安心を得られるため、学習され強化されていく。しかし、回避の結果、目の前の問題に直面しなくなるため、問題に対処する機会自体が失われ、新鮮な情報に触れることもなくなり、思考は抽象化し、感情は抑制され、新たな学習の機会も失われ、問題は維持、あるいは悪化してしまう。そこで、RfCBTの基本方略は、考え込みを止めさせるのではなく、その機能を変化させることで、効果的な行動を増やしていくことに焦点を当てることにある。また、考え込みの機能は情報処理スタイルによって媒介されるので、イメージや体験に基づくアプローチにより、情報処理スタイルの変容に焦点を当てることも特徴である。
本ワークショップでは、RfCBTの理論と技法を解説するとともに、参加者にワークを通して体験的に技法の学習をしてもらうことを目的とする。

ワークショップ17 J

8月23日(金)17:00~20:00

[子ども] 始めてみたい人のためのペアレントトレーニング入門

大野 裕史
兵庫教育大学大学院

本ワークショップのねらいは、
1) ペアレント・トレーニングをやってみたいとは考えているが、まだ行ったことのない方(または初めたばかりの方)を対象に
2) 実施計画を立てられるような、
加えて
3) (ホームワーク式のプランの場合)標的行動や介入方法を決めたり、結果を評価する際の参加者との間で交わされる会話のヒントになるような、
情報を提供することである。若干の補足をすると、
2)丁度、研究の方法が目的を規定するように、ペアレント・トレーニングの実施方法、例えば、どのような人何人を対象に、どのような人何人をスタッフとして、いつ(何月、何曜日)、どこで、何回、1回どのくらいの時間で行うかは、そのプログラムの目的に影響を与える。例えば、開催時期が年度初めであれば、この1年間にむけてどうするかが、年末であれば次年度にむけて、特に就学予定児であれば入学後の生活に関連したことがテーマとなりやすいだろう。開催が週末であれば、父親の参加も見込めるかもしれない。
3)5~6回の短期間の、それも参加者に家庭で介入をしてもらうホームワーク付きのペアレント・トレーニングの場合、標的行動を何にするかが、成否を左右する。スタッフは短期間で達成できる単純な行動を標的としようとするだろう。一方、参加者は現在困っている行動や、必要な行動を標的にと考えることが多い。数週の介入では改善できないような。介入手続きについても、専門家がプレイルームで実施するようなものを参加者に提案するのは困難であろう。このような場合、参加者とスタッフの思惑のネゴシエーションが必要となるが、どうすれば可能なのだろうか(この点については、ペアレント・トレーニングに限られないが)。

ワークショップ18 J

8月23日(金)17:00~20:00

[疾患別] 衝動的な自己破壊的行動に対する弁証法的行動療法(DBT)-改訂版感情調節スキルを中心に-

石井 朝子
ヒューマンウェルネス インスティテュート

弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT)は、境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder: BPD)や慢性的な自殺関連行動などに対処するために、ワシントン大学のMarsha M. Linehan 教授によって開発され、多くの実証的研究報告のある認知行動療法的アプローチの精神療法である。 近年では、治療モジュールに修正を加え、物質関連障害、摂食障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患への有効性も報告されている。
DBTにおいて最も重要な目標にあげられているのは「弁証法的思考行動様式」の習得である。
思考や行動の中に弁証的パターンを増やし、激しく極端な感情や行動をバランスがとれたものに統合し変化させていくことで、衝動的なリストカットや過量服薬などの自傷行為が軽減される。
本ワークショップでは、DBTの概論とともに特に自己破壊的行動に対して効果的に働きかける改訂版感情調節スキルの「COPE AHEADスキル」を習得することを目的とする。「COPE AHEADスキル」は、4つのステップから構成されている。より具体的で体験的なトレーニングを必須としており、コア戦略を軸にした、問題解決のモデリングや行動リハーサルなどが実施される。各ステップを米国のDBT研修で行われているトレーニングワークを通してより深い理解を得ることを目指していく。

ワークショップ19 J

8月23日(金)17:00~20:00

[CBT-基礎から習熟まで] スキーマ療法入門

伊藤 絵美
洗足ストレスコーピング・サポートオフィス/
千葉大学大学院医学研究院子どものこころの発達研究センター

スキーマ療法(Schema Therapy)は、米国のジェフリー・ヤングによる認知行動療法を中心とした統合的な治療アプローチである。ヤングはアーロン・ベックのスーパーバイジーで、認知療法の訓練を受けていたが、境界性パーソナリティ障害や難治性の障害を抱えるクライアントを対象に、自動思考レベルではなくスキーマ(認知心理学における「認知構造」、ベックの認知療法における「中核信念」「媒介信念」)に焦点を当て、パーソナリティや生き方レベルの変化を目指す理論と手法を開発した。 2003年にヤングが「バイブル」と称するテキストが出版され(Young et al., 2003)、それと前後して主にヨーロッパでスキーマ療法のエビデンスが蓄積され(例:BPDに対してかなり高い治療効果が示された)、スキーマ療法は、現在、世界的に注目されるアプローチとなっている。筆者は2003年版のテキストを翻訳したのを機に(伊藤絵美監訳、『スキーマ療法』、2008、金剛出版)、スキーマ療法を学び、徐々に臨床現場で使うようになっているが、確かにパーソナリティ障害を持っていたり、生きづらさの問題を抱えたりしているクライアントには、非常に効果的であることを実感している。
 スキーマ療法は理論も技法もボリュームがあり、それなりの時間と手間をかけて学ぶべきセラピーである。したがって本ワークショップでは、その「入門編」として、スキーマ療法の理論と技法の概要を示し、現場での導入の仕方を事例と共に提示する。さらに、スキーマ療法を本格的に身につけるための方法を併せて紹介したいと考えている。なお本ワークショップ参加にあたり『スキーマ療法』を事前にお読みいただくことは特に求めない。

ワークショップ20 J

8月23日(金)17:00~20:00

[疾患別] パニック障害

清水 栄司
千葉大学大学院 医学研究院

パニック障害の主症状であるパニック発作は、不安感・恐怖感の突然の出現として、動悸、窒息感、めまいなどのような身体感覚の症状として発現します。それゆえ、患者がパニック障害という病名を理解しない限り、パニック発作のたびに、身体感覚を恐れ、繰り返し救急外来や内科を受診することになってしまいます。また、症状が悪化すると、広場恐怖も合併すると、休職や休学など、日常生活機能の障害は極めて大きくなります。パニック障害は、不安障害の中で最も早期に認知行動モデルが開発され、高い治療効果を証明するに至った疾患です。PDSS : Panic Disorder Severity Scaleを主要症状評価尺度として用いて、介入の有効性を見ることが標準的です。パニック障害の認知行動療法の理論を、米国のBarlow DHの「誤った警報」、英国のClark DMの「身体感覚の破局的誤解」、 Salkovskis PMの「安全行動」のようなキーワードをもとに理解します。基本として、恐怖刺激への系統的(段階的)暴露療法を理解します。さらに、ケース・フォーミュレーションに基づいて行う認知行動療法のセッションごとに、安全行動をやめる実験、身体感覚によって誘発されるイメージの再構成、身体感覚の行動実験などの実践方法を学びましょう。
参考図書:認知行動療法の科学と実践 (単行本(ソフトカバー)) David M. Clark (著), Christopher G. Fairburn (著)、伊豫 雅臣 (監訳) 、星和書店の「パニック障害と社会恐怖」の章。
パニック障害ハンドブック―治療ガイドラインと診療の実際 (単行本) 熊野 宏昭 (編集), 久保木 富房 (編集)、医学書院の集団認知行動療法の章。

ワークショップ21 E

8月24日(土)16:30~19:30

group CBT for depression: a strategic approach

Tian Po Oei
The University of Queensland, Australia

Group CBT workshop for Depression by Professor emeritus Tian Po Oei.

24 August 2013, 16.30-19.30

This half day workshop is for people who have basic knowledge of CBT concepts and practices. While cognitive behavioural techniques will be presented but the main focus will be on the strategic approaches to CBT. At every stage, the important of evidence based practice in assessment, theory and treatment will be emphasized. Therefore, the major aims are:

  • to show the important of strategic approaches to group CBT
  • to emphasized to important of assessment, theory and therapy in evidence based clinical practices
  • to increase participants' knowledge and skills in the use of strategy to group CBT for depression

Do note that a full and detailed information are presented in the manual below

Oei, TPS (2012) A Cognitive behaviour therapy manual for depression, (4th edition) LPSP3 Press, UI, Jakarta, 1-200.

Other selected references:

Dwyer, L., Olsen, S., & Oei, TPS (2013) Cognitive Behavior Group Therapy for heterogeneous anxiety and depressive disorders in a psychiatric hospital outpatients clinic, Journal of Cognitive Psychotherapy, 27, 138-154.

Raylu, N., & Oei, TPS (2010) A Cognitive Behavior Therapy Manual for Problem Gamblers, Routledge, London, 1-212.

Oei, TPS ( 2009) A Group Cognitive Behavior Therapy Manual For Anxiety, Fear and Phobia (in Mandarin ) , People's Medical Publishing House, Beijing, China, 1-150.

Oei, TPS & Boschen, M., (2009) Clinical effectiveness of a group cognitive behaviour therapy for anxiety disorders: A benchmark study, Journal of Anxiety Disorders, 23, 950-957

Oei, T. P. S., & Dingle, G. (2008). A review of group cognitive behaviour therapy for the treatment of unipolar depressive disorder. Journal of Affective Disorders, 107, 5-21.

Oei, TPS, Strodl, E., Pang, J., & Cui, L., (2013) Coping and Treatment outcome of a Group CBT for Mood and Anxiety Disordered Outpatients, Journal of Cognitive Psychotherapy, (In Press, 4/13)

Oei, TPS, Dingle, G., & MaCarthy, M. (2010) Urinary Catecholamine levels and Response to Group Cognitive Behavior Therapy for Depression, Behavioral and Cognitive Psychotherapy, 38, 479-483

Rosenvald, T & Oei TPS (2007) Fight your dark shadow: Managing depression with Cognitive Behavior Therapy, (Illustrated by Schmdit, M), Australia Academic Press, Brisbane, 1-137.

ワークショップ22 E

8月24日(土)16:30~19:30

An introduction to the Community Reinforcement and Family Training

Robert J.Meyers
Emeritus Associate Research Professor of Psychology, University of New Mexico

The Community Reinforcement and Family Training (CRAFT) program, works to change the patient's environment to make a non-substance using lifestyle more rewarding than one focused on using alcohol or other drugs. The CRAFT model focuses on concerned significant others (CSOs) instead of the substance abuser. CSOs receive training to change their interactions with the substance using person, to reducing their enabling behaviors and improving their communications strategies.

ワークショップ23 J

8月24日(土)16:30~19:30

[疾患別] 物質関連障害~SMARPPワークブックを用いた再乱用防止プログラム

松本 俊彦
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所

物質使用障害に対するグループ療法~SMARPPワークブックを用いた再乱用防止プログラム~

松本 俊彦
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター副センター長/
薬物依存研究部診断治療開発研究室長

わが国では、薬物依存症治療プログラムを持つ専門病院は限られている。さらに、そうした専門病院でさえも、「社会復帰」という観点からは最も必要である外来治療プログラムを持っておらず、N.A.(Narcotics Anonymous)やDARC(Drug Addiction Rehabilitation Center)といった当事者自身による支援資源に丸投げしている現状がある。
そうしたなかで、最近になって司法関連施設で覚せい剤依存症に対するプログラムが開始されてきたが、依存症の治療は「貯金できない」のが特徴である以上、司法関連期間での介入を引き継ぎ、その効果を維持させていくには地域において介入の継続がなされる必要がある。その意味では、薬物依存症者の回復のために求められるのは、地域における外来治療プログラムなのである。
以上のような問題意識から、ここ数年、我々は、米国で実施されている治療プログラムであるMatrix model (Rawson & Urban, 1999) を参考した、マニュアルとワークブックにもとづく統合的外来治療プログラムの開発・試行している (Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program; SMARPP)。現在、SMARPPは全国30箇所あまりの精神科医療機関、8箇所の精神保健福祉センター、10箇所の民間リハビリ施設で実施され、保護観察所や矯正施設でもSMARPPをベースにしたプログラムが行われている。今後、わが国で薬物依存症の支援に携わろうとする心理臨床家にとっては、ぜひとも理解しておいてほしい治療プログラムの一つである。
今回のワークショップでは、われわれのプログラムの治療理念とその実際について詳細に紹介したい。一人でも多くの方に、「自分たちにも薬物依存症の援助ができるかもしれない」と思っていただければ幸いである。

ワークショップ24 J

8月24日(土)16:30~19:30

[成人/医学] 行動療法を身につけるための症例検討会

中川 彰子
千葉大学大学院医学研究院子どものこころの発達研究センター 他

行動療法は様々な疾患の治療法としてその有効性が知られているが、我が国においては行動療法の専門家の需要と供給のバランスがとれていず、これは行動療法の専門家になるための訓練の機会が乏しいこともその一因である。そこで、昨年本学会で「行動療法を身につけるための症例検討会」と題してワークショップおこなった。これは、肥前療養所や九州大学精神科で行ってきたものを会場で再現したものである。
このカンファレンスの特徴は、患者自身が出席することである。まず、治療者があらかじめまとめておいた症例の背景や現病歴を提示し、見立てや治療上の問題点等を述べ、参加者からの質問や意見に対応した後に、患者の登場となる。そこで参加者から患者にいろいろな質問がなされるが、上級治療者からの場合は特に、治療を行う時に必要なものや、質問そのものが治療的意味合いを含んだものが多く、治療者や参加者にとっては行動療法を身につけるまたとない機会となる。患者からも参加者へ聞きたいことを質問することができる。患者退出後、参加者は患者の登場前の情報と実際の本人とのやり取りの様子を合わせて、自分なりの治療方針を考え、その意見を交換する。そして治療者がその時点で困っている点、疑問点を具体的にして、何らかの介入策を治療者に提案する形でカンファレンスを終了する。症例によっては、数回のカンファレンスを重ねて検討するものもある。
当日は、治療者、患者、病棟のスタッフ役の登場とともに、ワークショップの参加者にもカンファレンス参加者となっていただき、臨場感あふれるカンファレンスを再現したい。
このような症例検討会がモデルとなり、参加者それぞれの地域でも実施され、行動療法を身につける一助となればと期待する。

ワークショップ25 J

8月25日(日)13:00~16:00

[疾患別] うつ病性障害の認知行動療法

慶應義塾大学認知行動療法研究会

慶應認知行動療法研究会のメンバーとともに、認知療法の具体的な手法を体験的に習得できるように、講義や実演ビデオ、ワークを通して、次の3点を中心に実施する:①コミュニーケーション・スキル:円滑に認知療法を進めるために、その基盤となる治療同盟をつくりながら、ソクラテス的問答を通して患者の問題点を整理し治療方針を立てる、②認知再構成:思考記録シートを使いながら、自動思考に焦点をあて認知の歪みを修正し、よりバランスがとれた形で現実を見つめ、問題に適切に対処できるように患者の作業を援助する、③行動活性化・活動記録: 活動記録表を使いながら、セルフモニタリングを通して、患者の非機能的行動に働きかけ、行動活性化など適正な行動変容を通じて気分を改善するよう支援する。

ワークショップ26 J

8月25日(日)13:00~16:00

[CBT-基礎から習熟まで] 看護のためのCBT

岡田 佳詠
筑波大学 他

昨今、海外では看護師による認知行動療法の効果がすでに検証され、国内でも実践報告が着実に増えてきている。筆者らは、「認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」(厚労省)を看護師用に改変した介入プロトコルを作成し、効果検証に取り組んできた。看護師用介入プロトコルは、セッション回数が短く、看護師が臨床で取り入れやすい技法を盛り込んで構成されている。今回プロトコルの詳細な内容と、介入例を紹介し、その効果と看護実践上の課題を提示する。また看護師は24時間の患者の生活場面をケアする立場にあることから、認知行動療法を通常の看護に活かすことで、より一層の効果が期待できる。この点についてもディスカッションしたい。さらに筆者らは、2011年7月、看護のための認知行動療法研究会(http://www.cbtns.com/)を設立し、介入プロトコルに沿った実践者養成のためのセミナー(フレッシュセミナー、アドバンストセミナー)を定期的に開催している。九州地区でも、九州認知行動療法看護研究会(http://kyushu-cbt-nw.org/)がスキルを磨くための月例会を開催している。今回は、これらセミナー等の内容も紹介し、よりよい研修体制のあり方についてもディスカッションしたい。看護実践に認知行動療法を活かしたいと考えている多くの看護師の方に、是非ご参加いただきたい。

ワークショップ27 J

8月25日(日)13:00~16:00

[CBT-基礎から習熟まで] 認知行動療法の歴史を学ぶ中から、認知行動療法の基本を学ぼう

坂野 雄二
北海道医療大学心理科学部

「歴史は教えてくれる。」
行動療法という言葉が誕生して60年が経過した。わが国で行動療法の先駆者が初めて研究と実践の報告を出してからも既に50数年が経っている。一方、認知療法が誕生してから半世紀が経過し、認知行動療法という述語が一般的に用いられるようになってから30年余りが経っている。この間、行動療法は認知行動療法へと大きく発展し、認知行動療法は今や、まさに精神療法・心理療法の世界のグローバルスタンダードとしての地位を確立したと言っても良いだろう。
認知行動療法のバックグラウンドとなる理論が多様化し、さまざまな治療モジュールや治療プログラムが開発されてきた。技法は多様化し、その適用範囲も多様化してきた。同時に、多くの介入方法が治療プログラムとして「マニュアル化」されてきた。マニュアル化はさらに認知行動療法の発展を進めることとなった。そして、マニュアルにしたがって如何に忠実に行うことができるか、あるいは治療プログラムの中にある特徴的な技法をマスターすることが、認知行動療法行うことであるかの誤解も生まれてきた。しかしながら、認知行動療法が効を奏するためには、マニュアル化されていると言われる認知行動療法を、個々の患者さんやクライエントさんに適合させ、つまり、如何に「非マニュアル化」するかを考え、適切なケースフォーミュレーションから関わりの終結に至るまでのあいだにさまざまな工夫が必要である。
そこで本ワークショップでは、認知行動療法のルーツを探り、その発展の経過を振り返る中から、認知行動療法の基本的発想、そして、患者さんやクライエントさんへの関わり方の基本と認知行動療法を適用する際の関わり方のコツを学ぶ。歴史は教えてくれる。

ワークショップ28 J

8月25日(日)13:00~16:00

[子ども] 行動療法適用による市単位の不登校半減の達成

小野 昌彦
宮崎大学大学院教育学研究科

指定テキスト
「児童・生徒の問題行動解決ツール -教師のための10ステップ実践ガイド-(風間書房)」2,940円、
「学校・教師のための不登校支援ツール -不登校ゼロを目指す包括支援ガイド-(風間書房)」9,450円

※できるだけテキスト購入をお薦めします。

本ワークショップでは個別支援計画を作成する演習を行うため、もし可能な方はテキストに附属しているソフトをインストールしたパソコンをご持参いただけると効果的です。

※必須ではありません。

なお、会場ではパソコンを充電することはできませんのでご注意ください。

1989年当時の筑波大学心身障害学系小林重雄研究室において、演者らは系統的な不登校支援システム構築を目的とする研究を開始しました。当時の課題は、神経症以外の発現メカニズムによる不登校に対する問題解決要請でした。この問題に対して演者らは、多様な不登校発現メカニズムを解明する行動アセスメントを備えた積極的アプローチを提案しました。
その後、演者らは、この積極的アプローチを多様なタイプの不登校支援に適用し、およそ20年後、これらの研究成果によって構築した行動論的包括的支援アプローチ(小野、2010)を提案しました。
また、演者は全国各地の市町教育委員会の不登校対策スーパーバイザーを務めてきました。この対策では、教育委員会、学校側のご協力により学校現場における行動アセスメントが可能となり、学校関連の不登校発現前条件、不登校維持条件等の分析、介入が可能となりました。「教師のための問題行動解決10ステップ」を適用した効果的な不登校予防及び再発防止と再登校支援を並行して実施した結果、数市で不登校半減(不登校対策開始前との比較)という成果を上げることができました。
これらの結果から、市単位で不登校を減少させるためには、再登校支援、不登校再発防止、不登校未然防止の3つのことを同時に実施しなければならないことがわかりました。
現在演者は、さらに効果的な不登校減少・未然防止対策を開発すべく、対象小・中学校における「児童生徒の在籍学年相応の学力保障」による不登校誘発要因除去の効果を検討しています。
本ワークショップでは、まず、前述の不登校への取り組みを紹介して「不登校は学校復帰できる」ことを実感していただきます。次に、行動論的包括的支援アプローチ(小野、2010)と「教師のための問題行動解決10ステップ」を適用した事例演習を実施し、不登校状態を変える方法を習得していただく予定です。

ワークショップ29 J

8月25日(日)13:00~16:00

[成人/医学] 動機づけ面接 導入編

原井 宏明
なごやメンタルクリニック

動機づけ面接(MI)とはミラーとロルニックが開発したカウンセリングのスタイルである。変化に対するクライエント自身の動機づけとコミットメントを強めていくことを目指す、クライエント中心かつ準指示的な方法である。このワークショップによってMIの概略を把握し、今後の学習の手がかりにすることができる。
MIの利点は、状況や対象に合わせて柔軟なコミュニケーションスタイルを取れること、短時間でも効果を上げられること、他の治療法と合わせて使うことでその治療法の効果を高めることもできることなどである。MIを身につければ、対象や問題の種類がどのようであってもクライエントとの間のラポールが取れ、抵抗の強いクライエントにも楽に対応できるようになるだろう。
このワークショップで紹介するスキルを実際の臨床場面でどう使えばポジティブな方向への行動変容がクライエントに起こるだろうか?と参加者が考え、実際にいろいろ試してみるようになれば、このワークショップは目的を達したことになる。
このワークショップに参加する方は、実際のクライエントを対象にしたカウンセリングや臨床の経験があったほうが良い。MIや認知行動療法に関しては全くの初心者でも差し支えない。

アウトライン:

  • ポジティブなコミュニケーションがもつ一般的性質
  • 行動の変化についての会話がなぜ暗礁に乗り上げるか?-行動の変化を促す手段としての直面化や指示、心理教育の限界-
  • 究極のアンビバレンス:クライエントが口にすることvs実際にやること・やれること
  • MIのスピリットと原則 -包括的な臨床家の行動
  • MIのデモンストレーション、ビデオ提示
  • OARSのエクサイズ、チェンジトークを見つけるエクササイズ
  • 技術を身に付ける方法についてのグループディスカッション

ワークショップ30 J

8月25日(日)13:00~16:00

[子ども] 学校への認知行動論的介入-我々は学校の問題の改善に近づいているだろうか

杉山 雅彦
あかつき心理相談研究所

学校には様々な問題が生じている。暴力行為やいじめ、不登校など、社会的にも問題とされている。そういった問題に関して認知行動療法ができることは沢山あると言えるだろう。しかし、認知行動療法が最大限の貢献をするためには、学校という集団の特異性や、集団内の相互作用をまず理解する必要がある。同時に、様々な問題は学校集団の相互作用から生じ、また維持されてきているとするならば、基本的には改善もまた相互作用でなされるべきだし、改善された状態もまた集団の中で維持されなければならない。すなわち、問題行動が何らかの方法で(例えば認知行動療法を用いて)消失したとしても、必ずしも最終的な改善になっているとは言えない事になる。例えば強迫反応が強くて学校に行けなくなった生徒に対して、強迫反応を改善して登校するようになったとしても問題が解決したとは言えないかも知れない。教師がその生徒を心配して対応することが、その生徒にとっての嫌悪事態になっていたりしたら、学校に関する回避反応がより強くなる可能性がある。すなわち、学校における問題の改善とは、問題行動が目立たなくなることではなくて、少なくとも社会的な強化を取りに行くような状況あるいは、社会的な強化を予測して行動するような状況が生じ、その結果強化が「得られる」行動パタンが起こされていくことと考えられる。
ここでは学校という状況の相互作用を検討した上で、学校で生じる「問題行動」に関してどういった分析を行い、どのような介入が考えられるかを、実際のケースに即して検討して行く。

ワークショップ31 J

8月25日(日)13:00~16:00

[疾患別] 強迫性障害

堀越  勝
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター

強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder: OCD)は侵入的で執拗な強迫観念とそれに伴う儀式的な強迫行為で特徴付けられる精神疾患で、不安障害の一つに数えられている。
不安感、または不快感がその儀式的な行為の背後にあり、不安感や不快感が緩和するまで儀式行為(執拗な手洗いなど)や確認行為を繰り返す。OCDは慢性的な難治精神疾患と考えられているが、近年、認知行動療法が奏功していることは実証的な介入研究などからも周知のところである。OCDに対する認知行動療法的な介入法としては、認知に重きを置いた介入法と行動に重きを置いた介入法がある。本ワークショップでは、行動変容に重きを置いたOCDへの介入法として知られる曝露反応妨害法(ERP)を中心に学習する。本ワークショップの受講対象者は臨床家であり、参加者が日常診療の中で実際にERPを使うことを念頭になるべく実践的になるように、ステップ・バイ・ステップの手順を示し、直ぐに臨床現場で使えるようにデザインされている。本ワークショップはロールプレイやグループワークなどを含んだ参加型の研修であるため積極的な参加が望まれる。
内容的には、まずOCDの定義とERPとは何かについての全体像を学ぶ。本ワークショップでは特に汚染強迫と確認強迫をメインに扱っていくが、OCDに関連する問題として知られている、溜め込み(Hording)、抜毛癖(Trichotillomania)などの関連障害についても取り上げ、それらに対する介入法を紹介する。また、介入を実施するセッティング(外来、入院、ホームなど)に合わせてERPが出来るように、それぞれのセッティングにおける工夫ついても言及する。OCDに対する介入を行う際には、患者の家族への介入は必要不可欠である。巻き込まれなどによって家族がOCD患者の症状の維持要因なっている場合が多い。一般にそうしたOCD家族の問題は取り上げられることが少ないが、本ワークショップでは、特に家族問題に時間を割いて情報提供と実際に介入法などについて扱っていくことになる。

ワークショップ32 J

8月25日(日)17:00~20:00

[CBT-基礎から習熟まで] CBTをスキルアップしよう:質の良い治療、スーパーバイザーをめざそう

大野  裕
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター

「認知行動療法を始めてみたけれど、ちゃんとした治療ができているのだろうか?」「テキスト通りに進めているだけれど、どこかしっくりいかない」・・・そんな思いを抱いたことはありませんか?
このワークショップでは、認知行動療法の「質」を担保し、そして高めるために、知っておくべき点を教示します。
認知行動療法の品質のゴールドスタンダードである認知療法尺度Cognitive Therapy Rating Scale(CTRS)を解説し、ビデオをもちいて演習をします。さらに、質の良い治療にとってもう一つの重要な柱である、症例の概念化と治療計画についても演習を行います。
ワークショップは、構造化された個人認知行動療法の実践経験がある方を主たる対象とします。
慶應義塾大学認知行動療法研究会の協力を得ながらおこないます。

ワークショップ33 J

8月25日(日)17:00~20:00

[成人/医学] 行動療法と認知療法の第三の波を、どう使いこなすか

熊野 宏昭
早稲田大学人間科学学術院/応用脳科学研究所

わが国でも、過去5~6年の間に、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)、行動活性化療法(BA)、弁証法的行動療法(DBT)、マインドフルネス認知療法(MBCT)、メタ認知療法(MCT)など認知・行動療法の第三の波と呼ばれる一群の介入体系が広く紹介され、臨床の現場でも徐々に活用されるようになってきた。
これらの介入体系は、認知の機能やプロセスへの注目(それとともに文脈への注目)と、マインドフルネスやアクセプタンスといった介入要素の重視(それに伴う体験的理解の重視)という共通点を持っているが、これまでの認知・行動療法と当然重なる部分もあれば、かなり異質な面も含んでいる。そこで、実際にこれらの体系を臨床現場で使いこなそうとすると、どこがポイントなのかが分かりにくいところがある。
そこで、ACT、BA、MCTを取り上げて、それぞれを使いこなすためには、どういった壁を越えればよいのかが分かるように、実習なども交えつつ解説をしていく。具体的には、まずはACTとBAについて、演者が自らの臨床やスーパーバイズの現場で活用しているいくつかの質問紙やチェックリストなどを用いて、具体的にどのようにケースフォーミュレーションを進め、それに基づいてどのように介入するのかの理解を図る。次に、MCTについて、やはり質問紙やチェックリストなどを紹介しながら、S-REF(自己調節実行機能)モデルに基づくケースフォーミュレーションの進め方を解説するとともに、ACTやBAとの共通点と相違点に基づいて、お互いの使い分けができるようにしていく。
以上を通して、これまで使えそうで使えなかった認知・行動療法の第三の波を、参加者の明日からの臨床活動に生かせるようになってもらうことを、達成目標にしたい。
文献:『新世代の認知行動療法』日本評論社、2012/『メタ認知療法』日本評論社、2012

ワークショップ34 J

8月25日(日)17:00~20:00

[疾患別] 摂食障害の対人関係療法

水島 広子
水島こころの健康クリニック【対人関係療法専門】/慶應義塾大学部精神神経科

対人関係療法(interpersonal psychotherapy: IPT)は、期間限定の精神療法であり、もともとは大うつ病外来通院患者の治療法として1960年代後半からKlermanやWeissmanによって開発された。摂食障害に対しては、現在、個人療法・グループ療法ともに、認知行動療法(CBT)と同等の効果を示す唯一の短期精神療法として、NICEガイドラインをはじめとする国際的ガイドラインや我が国の治療ガイドラインでも位置づけられている。食症状に焦点を当てないため、個人療法での効果発現はCBTよりも遅れるが、治療の動機付けが低い患者にも用いることができるのが利点である。
IPTは臨床研究の中で開発された治療法であり、効果判定についてのデータは豊富にあるが、効果の検証が優先され、1992年にKlermanが亡くなった後にようやく一般臨床家への普及が始まったという特異な治療法でもある。
神経性大食症およびむちゃ食い障害の治療に対しては、過食症状を対人関係ストレスの指標と考え、食症状を直接扱うことなく、症状を維持している対人関係問題を治療焦点とする。技法よりも戦略が特異的な治療法であり、重要な他者との「現在の」関係に焦点を当て、対人関係の4つの問題領域「悲哀」「対人関係上の役割をめぐる不和」「役割の変化」「対人関係の欠如」から1つか2つを選んで治療を進める。神経性大食症に対する効果は、治療終了後も伸び続けるところが特徴であることが長期予後を追った研究で明らかになっている。我が国でも、神経性大食症に対してFairburnらのマニュアルを一部改訂したマニュアルを作成し、厚生労働科学研究において効果研究を行った。その結果、国際水準と同等の効果を有することが示された。
神経性無食欲症については、いかなる治療法についても大規模な無作為化比較対照試験(RCT)において効果が示されていないが、症例レベルではIPT的アプローチが大変理にかなっており効果を示したケースが多数ある。この適用についても、当日時間が許す限り紹介する。

ワークショップ35 J

8月25日(日)17:00~20:00

[疾患別] 社交不安障害

小川  成
名古屋市立大学

社交不安障害の認知行動療法

社交不安障害(Social Anxiety Disorder : SAD)は生涯有病率10%とも言われており、日常臨床でも遭遇する頻度の高い疾患と言えます。薬物療法としてはSSRIなどが用いられていますが、反応しない患者さんも少なくないというのが現状であり、効果的な治療法を模索されている医師、心理士の先生方は多数おられるのではないかと思います。
名古屋市立大学病院こころの医療センターでは2003年より社交不安障害に対するグループ認知行動療法を施行しております。この10年間で約130名の患者さんが治療を受けており、治療成績も欧米の先行研究と同程度となっております。
治療プログラムは毎週1回2時間、全部で12回です。具体的な治療内容は①心理教育 ②認知行動モデルの作成 ③注意訓練 ④認知再構成 ⑤安全保障行動と自己注目あるなしの実験;ビデオフィードバック ⑥段階的曝露+行動実験 ⑦再発予防となっております。
各回のセッションはPowerPointに従って進められ、これによりセッションの構造化が図られています。また、段階的曝露+行動実験についてはExcelを用いて治療技法の標準化等を図る等、患者さんにもあるいは見学する治療者にも理解しやすいセッションが施行できるようになっております。
本ワークショップでは現在施行している認知行動療法をご紹介しつつ、注意訓練や認知再構成、段階的曝露+行動実験等の治療技法を実習によって身につけていただくことを目指します。マニュアルの説明だけでなく10年間の臨床実践の蓄積からなるノウハウについても適宜ご紹介できればと思っております。また、初級者の方にも理解していただけるよう実際の治療例を多数取り入れつつ進めていく予定です。社交不安障害の認知行動療法にご関心のある方、ご自身でも認知行動療法を始めたい方の参加をお待ちしております。

ワークショップ36 J

8月25日(日)17:00~20:00

[子ども] 学級等をベースにした集団認知行動療法的アプローチ

嶋田 洋徳
早稲田大学人間科学学術院

伝統的に個や小集団を対象としていた認知行動療法が,学校現場に持ち込まれるようになって相応の年月が経過しました。そして,社会的スキル訓練(SST)やストレスマネジメント教育などとして,認知行動療法の理論的な背景を踏まえた,1次予防,2次予防として実践が数多く行われるようになってきました。集団認知行動療法は,多くの対象者に同時に効果を提供できるという大きなメリットがある一方で,標的行動をどのように設定すればよいのか,何をどのようにアセスメントすればよいのか,介入効果の維持や般化の問題をどのように考えればよいのか,予防的意味合いが強くなった際には効果指標をどのように用いればよいのか,などの独特の難しさも数多くあります。そこで本ワークショップでは,認知行動療法の理論的背景を踏まえながら,学級集団等を対象とした場合の基本的な取り組み方を概説するとともに,学校現場における集団認知行動療法の実践の際に,その効果を高めるためにはどのような手続きの工夫をすればよいのかについて考えます。主として,包括的で汎用性の高い「ストレスマネジメント教育」の枠組みを用いて,認知面,行動面,情動面に対する具体的なアプローチの方法について理解を深めることを目指します。
なお,本ワークショップは,学校現場の集団認知行動療法に関心があり,主に,初めて実践に取り組もうとしている方,すでに実践に取り組んでいるが理論的,技術的な再整理を行いたい方向けの内容になります。また,念頭においている児童生徒は,小学生中学年くらいから高校生です。
参考文献:嶋田洋徳ほか,中学・高校で使える人間関係スキルアップ・ワークシート,学事出版,2010.

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  • The 4th Asian Cognitive Behavior Therapy (CBT) Conference 2013 Tokyo
  • 第13回日本認知療法学会