ご挨拶

謹啓 時下 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

日本ヘルニア学会(JHS)は研究・手術の発展を目指した議論の場とし、会員数も1,100名を越えアジア太平洋ヘルニア学会(Asia Pacific Hernia Society ; APHS)を日本に招致するまでに大きく成長して参りました。これは冲永功太名誉会長を始め、日本ヘルニア学会にご尽力を下さった皆様のお力の賜物かと思う所でございます。

この度、第12回アジア太平洋ヘルニア学会(APHS2016)、第14回日本ヘルニア学会学術集会(JHS2016)を同時開催するにあたり、日本中の鼠径ヘルニアに携わる医師、看護師、技師、その他副医療の方々の英知を結集し、広く国外へ日本の力を示すべき、日本腹腔鏡下ヘルニア手術手技研究会代表 早川哲史先生、LPEC研究会代表 嵩原裕夫先生のご理解とご賛同を賜り、これら四つの学会の学術集会を同時に開催するという画期的な学術集会“HERNIA WEEK 2016”を開催させて頂く事に成りました。

2016年10月27日よりAPHS2016(~28日)、JHS2016(~29日)、第9回日本腹腔鏡下ヘルニア手術手技研究集会、LPEC研究会を東京ドームホテルにて開催します。
副会長として江口徹先生、執行友成先生に支援を頂いております。

APHSはインドのP. Chowbey先生(腹腔鏡手術が専門)、シンガポールのD. Lomanto先生(腹腔鏡手術が専門)が発起人となり、医療レベル、経済的、宗教的、民族的に違いや格差が存在するアジア諸国に最高の標準的な均一化したヘルニア治療をもたらすこと、国際的な合同研究活動を行うことを目的とする統括組織として2004年に設立されました。設立には8カ国16名がFounding member(インド4名、シンガポール2名、マレーシア1名、インドネシア1名、オーストラリア1名、中国・香港4名、フィリピン1名、日本2名:冲永功太先生、山川達郎先生)として参加、2005年に第1回学術集会がマレーシアで開催されました。しかし JHS とは異なりAPHSは発足当初よりアジア諸国ばかりではなく欧米にも目を向けており、J.B.Flament(仏)、J.H Alexandre(仏)、V. Shumpelick(独)、R. Bittner(独)、R.J. Fitzgibbons(米)、G. Campanelli(伊)、M. Miserez(ベルギー)、T. Heniford(米)を名誉会員として迎え、さらに毎年の学術集会には欧州ヘルニア学会EHS、米国ヘルニア学会AHSから10名程度の著名な外科医を招聘するなど、EHS、AHSとの間に深い交流・絆を築いてきました。

1997年に創刊されたEHSとAHSの機関誌である”Hernia”にはAPHSからChowbey先生、Ma先生(中国)が編集委員として携わっていましたが、2016年から”Hernia”はAPHSの正式な機関誌となり、多くのAPHS会員が査読者として活躍の場を広げております。
さらに2016年にはEHS、AHS、APHS、Australasian Hernia Society、Afro Middle East Hernia Societyの会員が共同作成した、”International Guidelines for Treatment of Groin Hernia in Adult Patients”が公開される予定です。

2014年には私がAPHSのExecutive memberに、2015年11月にはAPHSのSecretary Generalに就任し、今回いよいよAPHS2016をJHS2016と合同開催させていただくことになりました。
JHSとして此れ迄、冲永功太名誉会長、稲葉毅先生(APHSのNational ChapterであるJHSの事務局長として)、坂本昌義先生、吉田和彦先生には国際委員会としてEHS、AHSとの交流に努力をして頂いておりました結果、今回の開催へと繋がっております。

さて、日本には詳細な膜解剖の理解に基づいた術式と繊細な手技、JHSヘルニア分類、JHS鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015など自信を持って世界に示せるものは沢山ありますが、エビデンスの発信など残念ながらその努力がまだまだ不足していたことは私自身も認めざるを得ません。
さらに日本内視鏡外科学会の調査(2012年、2013年症例)によると、鼠径部ヘルニア術後の再発率は鼠径部切開メッシュ法1~1.6%であったのに対し、TAPP法4%、TEP法5%と腹腔鏡手術後の成績には改善の余地が大きいことが判明しました。
腹壁瘢痕ヘルニアに対しては本邦でも腹腔鏡下手術が盛んにおこなわれるようになってきました。しかし手術適応、経過観察はどうなのか?、腹腔鏡下手術は腹部前方切開手術より本当に優れているのか?、腹腔鏡手術ではヘルニア門は縫合閉鎖すべきか?、どのメッシュが最適か?、感染リスクの高い症例に対する手術は?などまだまだ未解決の点が残されています。

APHS2016にはアジア各国ばかりでなく欧米で著名な方々も招請出来る様に最大限の努力をさせていただきます。
JHS会員の実力を世界に向けて披露し、国際的な合同研究・活動などに自信もって参加できるように努力しようではありませんか。是非とも多数の方々に御参加頂き、この学会をJHSの皆様にとって絶好の機会として頂きたく考えております。

皆様からのお叱りを承知で端的に申し上げると、世界ヘルニア学会に打って出るにはAPHSに参加し、利用することが最も近道であると私は思っております。
“Let’s open the door to the international hernia world!”

今後のJHSにはヘルニア手術症例の登録プラグラムを設立して日本の手術成績を明らかにし、前向き研究を行うなど、世界に向けて有用なエビデンスを発信する義務があり、JHS2016における重要な課題であると考えています。もちろん若い先生方の業績の発表の機会を確保することは非常に大切なことであり、JHS2016はAPHS2016に合わせ27日より開催する予定です。これまでにも増して多くのご演題の発表、あつい討議をよろしくお願いいたします。スライドは全て英語、発表はAPHSは英語、他は日本語でもかまいません。APHS前会長のSathien Tumtavitikul先生(タイ)が常におっしゃる通り、“For those whose native language are not English, don’t consider English as a barrier, let’s go for it!”です。

2015年9月吉日

会長 柵瀨 信太郎(聖路加国際病院)

Page top

The 12th International Congress of the Asia Pacific Hernia Society
第9回日本腹腔鏡下ヘルニア手術手技研究集会
LPEC 研究会

日本ヘルニア学会
Asia Pacific Hernia Society(APHS)
日本腹腔鏡下ヘルニア手術手技研究会

Copyright © 第14回 日本ヘルニア学会学術集会. All Rights Reserved.