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会頭挨拶

第65回日本東洋医学会学術総会開催にあたって
<アートの復権―人間的な医学・医療を求めて> 新潟医療福祉大学 教  授
東京女子医科大学 名誉教授
佐藤 弘

 現在の東洋医学界の動きをみると、Evidenced Based Medicine (EBM)が最大の課題であるかのように思えてしまいます。確かに漢方医学の科学化は必要ではありましょう。しかし科学化すればそれでよいのか?科学化によって漢方医学も近代医学と同じ轍を踏むことになりはしないか?という疑問や懼れを以前より感じていました。診療の基本である、話をよく聞き、丁寧な身体観察という患者と人間的に向かい合っていく姿勢が希薄になるのではないかとの懼れです。

 最近の自分の外来診療をみても、過去の報告や教科書の記載からは、どう考えたらよいのか分からない症例も多く経験するようになりました。また文字化された情報のとおり処方を応用しても効果のないことも少なくありません。自分なりに工夫をしながら、また経験を重ねることで、何とか自分なりに治療の感触をつかんだかなということもあります。しかし感触を得たからと言って、必ずしも文字化できるものばかりではありません。

 第65回の日本東洋医学会学術総会の会頭をお引き受けしましたのも、科学化という声が高まる中、現実の医療においては、先に述べたように、自分なりの工夫や経験が大きな部分を占め、文字化できないことを感じ取るということが必要なのではないか、これをテーマとして取り上げたいとの思いからです。つまり、サイエンス(学)と対比されるアート(術)の重要性を再認識したかったからです。文字化できないことを感じ取るためには、自らの感覚を研ぎ澄ます必要があり、このことが治療者と患者との人間的な関係を築く大きな手段となって、人間的な医学・医療につながるものと思うのです。

 今回の総会では、アートの復権と題して、臨床医学の基本に立ち返るプログラムを企画しました。横断的かつ全人的な視点を大切にして、有効例だけではなく、難渋した症例にも着目したシンポジウムも取り上げました。また、“Basic Seminar”では、各科の標準的な漢方治療を2日間で集中的に習得できるようにしました。

 特にベテランの先生方においては、文字化しにくいあるいはしていないアートをたくさんお持ちだと思います。こうした先生方のアートを学会という場において、是非とも引き継いでいただければと思っています。

 

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